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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
「手わざ -琉球王国の文化-」/東京国立博物館
かつて琉球王国として独自の文化を築いていた沖縄県。
きらびやかな漆器や、色彩豊かな染織品など、数多くの工芸品が王府の管理下で製作されていたほか、海洋交易によってもたらされた中国などの宝物で満ちていたと伝えられています。
しかし、近代化の波や日本で唯一の地上戦が起こった第二次世界大戦より、その多くの有形無形の文化遺産が失われてしまいました。
現在、東京国立博物館では、失われた琉球文化財の模造復元品を紹介する「手わざ -琉球王国の文化-」が開催中です。
展示風景より
本展では、琉球王国の美しい文化財8分野(絵画、木彫、石彫、漆芸、染織、陶芸、金工、三線)を、現代によみがえらせるために職人と研究者が協力し、製作した模造復元品を中心に展示。
模造復元の製作工程や、琉球王国の美意識を紹介する展覧会です。
※展覧会詳細はこちら
沖縄県立博物館・美術館は平成27年度より、明治以降の近代化や戦争で失った文化財とその製作技術を復元する、琉球王国文化遺産集積・再興事業を行っています。
本事業での復元製作にあたっては、県内外の専門家で構成する8分野24人の監修者をはじめ、100人以上の人材の力が結集。
可能な限り製作当時と同じ材料と技術を使って製作される模造復元品は、途絶えた製作技法の復元を行うため、学術的な意義があるとされ、注目を集めています。
本事業の詳細は、沖縄県立博物館・美術館の特設サイトをご覧ください。
本展で展示されている模造復元の一部をご紹介します。
孔子及び四聖配像 平成30年度(原資料:19世紀)沖縄県立博物館・美術館蔵【前期展示】
本作は、那覇の久米村の孔子廟(こうしびょう)にあった、琉球の信仰の一端を示す貴重な絵画です。
本作は先の戦争で消失し、沖縄文化研究の第一人者である鎌倉芳太郎氏が、戦前に撮影した写真でしか見ることができないと思われていました。
しかし、2005年(平成17年)に、本作の存在を確認。その後、蛍光X線調査などの情報を参考に復元製作されました。
画面中央にきらびやかな衣服を着ている人物は、教科書でもおなじみの中国の思想家である孔子です。
左右前方に2人ずつ並ぶ人物は孔子の弟子(聖人)で、彼らはほぼ同じ衣服を着て似たような構図で描かれています。
孔子と4人の弟子(四聖)の配置や背景の細かな描写などは、琉球王国の肖像画と似ている点が多いそうです。
黒漆雲龍螺鈿東道盆 令和2年度(原資料:19世紀)沖縄県立博物館・美術館蔵【前~中期展示】
東道盆と書いて「とぅんだーぶん」と読む本作品は、首里王府の漆器製作を担った貝摺奉行所(かいすりぶぎょうしょ)で作られた典型的な作例だそう。原資料は、(一財)沖縄美ら島財団が所蔵しています。
本来、東道盆は客人をもてなすときに使われた器ですが、このタイプは中国皇帝への献上品などとして製作されたものだと考えられています。
約0.08mmの薄さに削ったヤコウガイを、龍や雲の形に切り出し、うろこなどを針で彫って表現する螺鈿(らでん*)技法を駆使しています。
*螺鈿:ヤコウガイなど、真珠光を放つ貝がらを文様に切って、木地や漆塗りの面にはめこんだり、貼りつけたりする漆工芸の技法のこと。
かつて琉球王国に伝わった「手わざ」を紹介する本展。
沖縄県は2022年に、復帰50年を迎えます。この記念すべき節目の年に、琉球王国の文化とそれを現代までに守り伝えてきた人びとの努力に、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
なお、東京国立博物館では5月3日より、沖縄復興50年記念 特別展「琉球」も開催されます。
こちらでも、本展で紹介された模造復元が展示される予定です。こちらもお楽しみに。
※展覧会詳細はこちら
※会期中、一部の作品は展示替えあり。
【前期展示】2022年1月15日(土)~2月6日(日)
【中期展示】2022年2月8日(火)~2月20日(日)
【後期展示】2022年2月22日(火)~3月13日(日)
※会期・開館日・開館時間・展示作品・展示期間・開催内容等については、今後の諸事情により変更する場合があります。最新情報は、東京国立博物館HP等でご確認ください。