企画展「かたちのチカラ 素材で魅せる」/根津美術館

根津美術館で工芸品が持つ「かたちのチカラ」について紹介する展覧会が開催中

2022年3月8日

企画展「かたちのチカラ 素材で魅せる」/根津美術館

根津美術館では現在、企画展「かたちのチカラ 素材で魅せる」が開催中です。

スフマート Sfumart ニュース 企画展「かたちのチカラ 素材で魅せる」 根津美術館

同館のコレクションを軸に、3つの切り口で素材が形作る造形美を見つめる本展。漆工や陶磁、金工の名品を紹介しながら、文様がないからこそ鮮明になる、かたちのチカラ素材の魅力に迫ります。

※展覧会詳細はこちら

第1章 極まるかたち

文様にちりばめられた華やかさとは対照的な、装飾をそぎ落し素材の特性を活かしたミニマルな造形の美しさは、工芸ならではの魅力です。

第1章では、中国・宋元時代を中心とした文様のない漆器や磁器を展示。《黒漆輪花椀(くろうるしりんかわん)》など、洗練された唐物(からもの)のかたちを紹介します。

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《黒漆輪花椀》1口 木胎漆塗 中国・北宋時代 12世紀 根津美術館蔵 永田牧子氏寄贈

器のふちの部分を花の形にすることは宋元時代の金属器に多く見られており、漆器や磁器もそれを写して制作されたと考えられています。

《黒漆輪花椀》と非常によく似た形の華北の耀州窯(ようしゅうよう)で焼かれた椀である《青磁輪花椀》は、漆器を意識して制作されたのではないかと考えられています。

いずれもとても薄く作られており、洗練されたフォルムには緊張感がみなぎっています。本展では、こうしたかたちが持つ“チカラ”にも注目してみてください。

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《青磁輪花椀》耀州窯 中国・北宋時代 11世紀 東京黎明アートルーム蔵

第2章 用いるかたち

第2章では、春日大社と東大寺に由来する二つの盤(丸盆)を軸に、寺社で使用する朱漆器を中心とした祭器や什器の機能美を紹介します。

日本漆工の系譜のひとつに、朱漆器(しゅしっき)というものがあります。この朱漆器が文献史料に登場するのは、平安時代で、主に貴族や寺院などの上流階級で使われていたことが確認されています。

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《朱漆盤(連行衆盤)》木胎漆塗 日本・鎌倉時代 永仁6年(1298) 根津美術館蔵

現存作例の多くは中世以降のもので、いずれも実用性のあるシンプルで力強いかたちをしているのが特徴である朱漆器。長年の使用により上塗りの朱色が擦れ、中塗りの黒が表れているようすも見どころです。

第3章 挑むかたち

第3章ではかたち・バリエーションに富んだ花入と水指のほか、茶席では脇役としてさりげなく場を支える塗物の茶道具のかたちなどに焦点を当てて紹介します。

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《緋襷鶴首花入》備前 1口 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

《緋襷鶴首花入(ひだすきつるくびはないれ)》の重量感のある胴からすらりと伸びた首の傾きは、意図的につけられたものだとも、偶然についたものだとも言われています。

ころりとしたかわいらしいフォルムと、土の魅力をダイレクトに味わえる焼き締めの肌が相まって、独自の力強さを感じることができます。

 

文様をちりばめた華やかさとは対照的な、装飾をそぎ落とし素材の特性を活かしたミニマルな造形美を紹介する本展。

かたちと素材が持つ、独自のちからの魅力を根津美術館で堪能してみてはいかがでしょうか。

なお、本展は日時指定予約制です。詳しいチケット情報は、美術館公式サイトをご確認ください。

Exhibition Information

展覧会名
企画展「かたちのチカラ 素材で魅せる」
開催期間
2022年2月26日~3月31日 終了しました
会場
根津美術館
公式サイト
https://www.nezu-muse.or.jp/
注意事項

本展は【日時指定予約制】です。ご来館前に根津美術館公式ホームページより日時指定入館券をご購入ください。

※根津倶楽部会員、招待はがきをお持ちで入館無料の方も予約が必要です。