自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」/国立西洋美術館

名品がいっぱいの「⾃然と⼈のダイアローグ」展 国立西洋美術館で開催中!

2022年7月1日

自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで/国立西洋美術館

約1年半の大規模改修を経て2022年4月に再開館した国立西洋美術館。現在、そのリニューアルオープンを記念した展覧会⾃然と⼈のダイアローグが開催中です。

印象派を代表するモネやルノワール、ポスト印象派のゴッホやゴーガンから、ドイツ・ロマン主義のフリードリヒやドイツが生んだ現代アートの巨匠リヒターまで、自然を表現した西洋美術の名品100点以上が一度に楽しめます。

本記事では、4章からなる展覧会の見どころや新しくなった国立西洋美術館のようすを、西洋美術に興味津々なインフルエンサーのYUKIさんとともにレポート! おさえておきたいフォトスポットや注目グッズも紹介します。

※「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」公式サイトはこちら

リニューアル語初の特別展「自然と人のダイアローグ」

国立西洋美術館と、開館100周年を迎えるドイツのフォルクヴァング美術館は、どちらも個人コレクターのコレクションをもとに設立された美術館です。
本展では両館の共同企画のもと、珠玉のコレクションから風景画を中心に自然をとらえた作品を展示します。

うれしいことに、展示室内は一部の作品を除いて撮影OKです。会場入り口には、記念撮影にピッタリのフォトスポットも出現!
見る角度によってガラスの色がグラデーションのようになる仕掛けがとても綺麗ですよ♪

見逃せない作品をピックアップ!

印象派からリヒターまで、鮮やかな風景画がお出迎え

19世紀ヨーロッパでは近代化が進んだことによって、自然との距離感が大きく変わりました。そうした劇的な変化によって生まれてきたのが印象派です。彼らはアトリエから戸外へと制作現場を移し、うつろいゆく光や流れゆく時間をとらえようとしました。

「I章 空を流れる時間」では、印象派の巨匠モネの作品を中心に、ブーダンやマネ、コローら印象派に影響を与えた画家たちの作品など、華やかな作品がずらりと並びます。

クロード・モネ《舟遊び》とゲルハルト・リヒター《雲》の競演は必見!

時代も作風も異なる両者が、それぞれの表現で自然の中に現実と虚像のゆらぎを描き出した作品は圧巻ですよ。

知る人ぞ知る魅力的な作品も!

続く「II章 『彼方』への旅」では、未知の風景を求めて自身の内面や異国の地へと目を向けた画家たちの風景画を紹介。描き手の感情が託されている分、観る者の心も揺さぶられます。

特に目を奪われるのが、ドイツ・ロマン主義の画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《夕日の前に立つ女性》です。小ぶりな作品ですが、その色彩に思わず引き込まれてしまうはず!


カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ 《夕日の前に立つ女性》 1818年頃
油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館
© Museum Folkwang, Essen

背を向けてたたずむ女性の視線の先に広がるのはどんな風景なのでしょうか? いろんな想像や思いを巡らせながら鑑賞してみると新しい発見があるかもしれません♪

新収蔵品を初お披露目!

「III章 光の建築」では、移ろいゆく自然の中に法則や秩序を見出し、新しい造形表現をめざした芸術家たちの試みを紹介しています。ポスト印象派を代表するセザンヌや新印象派のシニャックなど、それぞれが編み出した多様な自然表現は観ていて飽きません。

ぜひじっくり鑑賞してほしいのが、国立西洋美術館に新たに収蔵されたアクセリ・ガッレン=カッレラの《ケイテレ湖》。世界的に注目を集めるフィンランドの画家、ガッレン=カッレラが母国の湖を描いた作品です。


アクセリ・ガッレン=カッレラ 《ケイテレ湖》 1906年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館

画面のほとんどが水面という大胆な構図と、湖面の上をジグザグに走る帯状の線が目を引きますが、こちらはさざ波を表現しているそう。湖面に垂直に映る雲や木々と相まって、どこか幾何学的でユニークな風景画です。

ゴッホの晩年の代表作が初来日

最終章は「IV章 天と地のあいだ、循環する時間」。自然の循環的な時間のめぐりに、人の生を投影させたような作品が並びます。

今回が初来日となるフィンセント・ファン・ゴッホの《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》は、晩年ゴーガンとの共同生活が破綻して精神を病んだゴッホが療養中に描いた風景画の代表作です。


フィンセント・ファン・ゴッホ 《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》
1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館
© Museum Folkwang, Essen

麦を刈る人物に「死」を、刈り取られる麦のなかに「人間」のイメージを見たと、ゴッホは弟・テオへの手紙で語っています。しかし不思議と悲哀は感じず、輝くような黄金色と力強くうねるようなタッチからは、生命力があふれ出てくるようです。

また本章ではゴッホをはじめ、印象派の画家たちの作品も紹介しています。なかでも注目の作品は、モネが描いた《陽を浴びるポプラ並木》です。


(左)モーリス・ドニ《踊る女たち》1905年
(右)クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 いずれも、国立西洋美術館、松方コレクション

同一のモティーフを、光や色彩、構図を変えて何回か描くという「連作」をいくつも残しているモネ。1890年に制作された「積みわら」や1892年から94年に描かれた「ルーアン大聖堂」などがその作例に挙げられ、ほぼ同一のモティーフで、朝、白昼、夕方などの異なった時刻を、さまざまな光の効果で巧みに描き出しています。

《陽を浴びるポプラ並木》も、モネが1891年の春から夏にかけて何度も描いたモティーフである「ポプラ並木」の連作のうちの1点。大きく前景に描かれた3本のポプラと、モネの豊かな色彩によって生みだされた晴れやかさが印象的な作品です。

また、モネの作品は晩年に描いた《睡蓮》も最後の展示室で紹介されています。こちらは国立西洋美術館に行ったら必ず鑑賞したい作品ですよね。

本作は、モネが住むフランスのジェヴェルニーを訪れた松方幸次郎が直接モネから購入した作品なのだとか。モネが作り上げた「庭」という小宇宙をしかと目に焼き付けてくださいね。

国立西洋美術館ここが新しくなりました!

リニューアルオープン記念展とあわせて、新しく生まれ変わった美術館自体にもぜひ目を向けてみてください♪

開館当初の姿に近づいた前庭

1959年に開館した国立西洋美術館。その建物は、世界的に有名な建築家ル・コルビュジエが設計し、世界遺産にも登録されています。

リニューアルオープンを経て大きく変わったのが前庭です。植栽を最小限にし、見通しのよい柵にしたことで、外から見ても開放的な美術館であることが伝わってきますよ。

また、来館者の動線にもなるような床面の目地や、屋外展示されているロダンの彫刻《考える人》や《カレーの市民》の配置も、ル・コルビュジエの設計意図に沿う形で開館当初の姿に近づけたそうです。来館したら注目してみてくださいね!

「19世紀ホール」は無料公開に

常設展示室の入り口に広がる吹き抜け空間「19世紀ホール」も、より親しみやすくなりました。

リニューアル以前は有料エリアだった「19世紀ホール」ですが、当面の間は無料で公開されるとのこと。奥にあるジグザグのスロープを上っていくと、2階の常設展示室へとつながっています。


その生涯において、繰り返し美術館計画を練り続けたというル・コルビュジエ。「19世紀ホール」は、そんなル・コルビュジエのアイデアを反映してつくられたホールです。
ホールに来たら、ぜひ上を見上げてみてください。三角形に切り取られた天井から差し込む光がかっこいいですよ!

写真撮影も可能ですのでおしゃれな写真を撮ってみてはいかがでしょうか。

また、「19世紀ホール」を囲むように広がる常設展示室では新たに収蔵された作品がリニューアルオープンに花を添えています。「⾃然と⼈のダイアローグ」展のチケットで同日に限り常設展も鑑賞可能なので、西洋美術三昧の一日を過ごしてみてはいかが?

注目のグッズのキーワード「ドイツ」と「自然」

ミュージアムショップも見逃せません。ポストカードやマスキングテープなどの定番商品から、展覧会テーマの「自然」や共同企画のドイツ・フォルクヴァング美術館にちなんだアイテムまで、幅広いラインナップがそろいます。

中でも目立っていたのが、ドイツの最高級テディベアブランド「シュタイフ」とのコラボレーションで生まれたテディベア。モネの《睡蓮》柄に本展とシュタイフのロゴが入ったスカーフを巻いたおしゃれなテディベアです♪ 数量限定なので、お目当ての方はお早めに!


シュタイフベア 5,000円(税込)※数量限定 なくなり次第販売終了

また、「自然」を連想させるグッズも本展ならではです。
展示作品に描かれていたジギタリスや百日草の種をオリジナルパッケージに包んだ「花の種」は、「この絵の花が咲きます」なんてメッセージといっしょにギフトとして贈るのもいいかも♪


(左)バンブータンブラー 2,420円(税込)
(中央)花の種(ジキタリス/百日草)各550円(税込)
(右)蜜蝋ラップ 2,200円(税込)

他にも、竹の繊維をパウダー状にして樹脂で固めた素材でできた「バンブータンブラー」や、洗って何度でも使える「蜜蝋ラップ」など、エコを意識したアイテムも充実しています。

音声ガイドは声優・駒田航さんが担当!

音声ガイドのナビゲーターは、ドイツで10年ほど過ごした経験があるという声優・駒田航さん。作品の見どころだけでなく、芸術家たちの言葉も交えながら、本展を案内してくれます。

さらにBGMは、ベルリン芸術大学で学んだ世界的ピアニストの福間洸太朗さんが選曲・演奏を担当。クラシックの名曲とともに名画を楽しめば、優雅な気分になること間違いなしですよ♪

風景画を中心に西洋美術の巨匠たちの名作がずらりと並ぶ本展。まさに見渡せば名画だらけです! 展示室の壁の所々に散りばめられた芸術家たちの言葉にもぜひ注目して、作品との対話をゆっくり楽しんでみてください。

なお、本展は新型コロナウイルス感染防止対策のため、日時指定制となっています。詳しくは展覧会公式サイトをご確認ください。

Ticket Present

本展のチケットを「5組10名様」にプレゼント!
〆切は2022年7月24日まで。
※当選は発送をもって代えさせていただきます。