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2024年11月1日
かき氷大百科展/虎屋 赤坂ギャラリー
赤坂御用地の豊かな自然を望むとらや 赤坂店。「赤坂見附駅」からほど近い好立地であり、モダンな造りの店構えは、ちひろ美術館・東京や銀座線渋谷駅などの設計を手がけた建築家・内藤廣氏が手がけています。
売場のほかに、喫茶スペースの虎屋菓寮や菓子を作っている場面が実際に見られる御用場など見どころたっぷりの店内。地下1階のギャラリーでは、和菓子や日本文化を紹介するさまざまな切り口の展覧会を開催しています。
どこか懐かしい喫茶店をモチーフとしたフォトスポット! 椅子に座って撮影できますよ◎
虎屋 赤坂ギャラリーでは現在、日本の夏に欠かせない食べ物のひとつ「かき氷」に注目した展示「かき氷大百科展」が開催中です。
本展では近年ブームとなっているかき氷の氷、シロップ、器の3つの要素に注目するほか、その歴史も分かりやすく紹介します。
独自のこだわりの餡を使用した羊羹(ようかん)で有名なとらや。ちょっと頑張った自分へのごほうびはもちろん、大切な人へのお土産など多くのシーンで大活躍のお菓子ですよね。そんなとらやでなぜ「かき氷」の展示が開催されているのでしょうか。
今回の展示を担当した虎屋文庫の小野未稀さんに聞いてみたところ、「誰もが一度は食べたことのあるかき氷をテーマに、幅広い年代の方が楽しめる展示をと思い企画しました。とらやのかき氷についても知っていただけたら嬉しいです。」とのこと!
本展では、かき氷の歴史や、氷、シロップなどの紹介を通して「かき氷」を徹底解剖! かき氷の魅力に迫る展示です。
夏まつりの屋台や海水浴場の海の家の定番にもなっているかき氷。削った氷の上にイチゴやメロン、ブルーハワイ、レモンといったシロップをかけて食べる、夏を代表する食べ物のひとつです。
その歴史は古く、日本では1000年以上前の平安時代から貴族たちが食べるぜいたく品だったといいます。「氷を削って食べるだけなのに?」と思う方も多いのではないでしょうか。
現代では冷凍庫で氷を保存することができますが、当時、氷は冬にしか取れないため、大変な貴重品でした。冬のうちに取れた氷は「氷室(ひむろ)」と呼ばれる貯蔵庫で、夏まで大切に保管したそうです。
そんなぜいたく品であった「かき氷」が一般的になったのは、明治時代以降のこと。
「氷屋」が大流行したようで、東京や横浜では「5歩に1店、10歩に1舗」と書かれるほどたくさんの店があったのだとか! 値段も氷水(=みぞれ)は1銭(約0.01円)、氷れもん、氷みかんを2銭程度で買うことができました。
当時のあんぱんが1個1銭程度だったので、庶民でも楽しめる価格だったと考えられます。
『源氏物語』の作者紫式部と並ぶ平安時代の才女、清少納言は『枕草子』のなかで、甘葛(あまづら)がけのかき氷の上品な美しさを讃えています。
甘葛とは、古代から中世にかけて作られた甘味料のこと。冬に糖度がもっとも上がるというツタの樹液を煮詰めた高級シロップです。
本展では『枕草子』の「あてなるもの」の記述をもとに、平安時代のかき氷を再現した模型を展示。器に注目すると、金属のおわんが使われていますね。こちらも「あたらしき鋺(かなまり)に入(い)れたる」という描写を元にしています。
氷は新しい金属の器に入れて楽しんでいたのだそう。金属の器が平安時代から使われているのは驚きですね!
ギャラリー中央には、どこか懐かしい喫茶店をモチーフとしたフォトスポットを設置。SNS映え間違いなしの展示空間になっています。
喫茶店の奥に見えるパネルには、店舗・期間限定を含む12種類(予定)のかき氷が掲載された「とらやグループかき氷2022年度版」も展示。地域や期間限定のものを含めた、とらやグループのかき氷を一挙に紹介しています。
ちなみにパネル中央はかき氷型の鏡になっているので、そこで写真を撮ることもできますよ◎
かき氷の歴史も学びつつ、どこか懐かしい展示空間で楽しませてくれる本展。
展示の中で驚いたのは、かき氷にも東京と大阪で違いがあるということでした。
編集Sは東京出身ですが、なじみ深いのはシロップが上にかかっている大阪風のかき氷でした。皆さんも大阪風のかき氷になじみにがあるのではないでしょうか。東京風のかき氷はシロップを下に注いでいますが、その理由は「氷の美しさ」を楽しむためなのだとか。江戸っ子らしい粋な考え方ですね。
ギャラリー内には、機械製氷の工程を紹介する動画と「とらやの宇治金時ができるまで」という2つの動画が上映されています。「とらやの宇治金時ができるまで」は、とらや公式Instagramでショートバージョンが公開される予定です。
さらに、7月1日より虎屋菓寮の一部店舗にて日本酒を使った珍しいかき氷「満寿泉 貴醸酒氷」が期間限定で販売されます。展示を観た後は虎屋菓寮でこちらのかき氷も楽しんでみては?
「満寿泉 貴醸酒氷」の詳細はとらや公式サイトをご確認ください。