塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
まもなく終戦から77年を迎える日本。
近頃、世界の情勢が悪化したり憲法改正の動きがあったりと、日本も世界も大きく変わろうとしている時期なのではないかと思います。
こうした状況の中、ちひろ美術館が「ちひろ 憲法カード」を作りました。
子どもたちが安心して暮らせる世の中の実現を目指し、活動を続けるちひろ美術館。ちひろ憲法カードのこと、そして平和へのさまざまな取り組みついてご紹介します。
安曇野ちひろ美術館
日本の子どもたちには、恒久平和(9条)、幸福追求の権利(13条)、思想、信教、表現、学問の自由、健康で文化的な最低限度の生活を送る権利が保障されています。
「ちひろ 憲法カード」は、子どもたちの幸せや平和について考えるために作られました。
カードには日本国憲法の前文、そして9条の文言と、かわいらしいいわさきちひろの作品があしらわれています。
すべての人間は生まれながらに自由、平等で、幸福を追求する権利をもつという思想に基づいて生まれた今の日本国憲法。
今、この憲法を変えて、日本を戦争ができる国に変えようとする動きが急激に進んでいます。
このカードは、子どもや孫を戦争の被害者にも加害者にもさせないために、また戦争ではなく話し合いで平和をつくる世界に変えるために、ちひろが今生きていたらどうしただろうと考え、生まれました。
「ちひろ 憲法カード」は、日々の暮らしのなかで自分なりにその思いを伝えたい、発信したいとき、また家族や友人と平和や憲法について話し合うときに、活用してほしいとのこと。
日本国憲法を大切に守りながら、平和な世の中が続くためにできることとは。ご自分の大事な人たちと一緒に考えてみませんか?
ダウンロードはコチラから
※A4サイズで出力し、真ん中のグレー線でカット、それぞれを2つ折りにするとポストカードサイズになります。
上段:前文 下段:9条
いわさきちひろ ひまわりと赤ちゃん 1971年
絵本を通した活動で、子どもたちの平和を願い続けるちひろ美術館。子どもの平和を強く想うのには理由があります。
いわさきちひろは若いころを戦争とともに過ごし、戦争の悲惨さに直面します。戦争は子どもたちから夢も希望も、時には命も奪う、一番弱いものが犠牲になると痛感しました。
戦後、絵本画家として自立したちひろは、一人の子どもの母親となります。「世界中のこども みんなに平和としあわせを」という言葉には、すべての子どもたちへのちひろの想いが込められています。
いわさきちひろ記念事業団では、現在もちひろの想いを受け継いださまざまな取り組みを、ちひろが今生きていたらどうしただろうと考え、さまざまな活動を実施しています。
安曇野ちひろ美術館、ちひろ美術館・東京にも平和について学べるコーナーや機会があります。
ちひろ美術館では、展覧会やイベントを通して、ちひろの思いを伝えています。ちひろが亡くなった8月8日は、「ちひろ忌」として、ちひろが生涯願い続けた世界中の子どもたちのしあわせと平和を考える日とし、平和パネルの展示や、平和の絵本の読み聞かせ、来館者から寄せられたメッセージを展示します。
今年もちひろ忌を安曇野ちひろ美術館では8月8日(月)、ちひろ美術館・東京では8月7日(日)に開催します。※内容は各館で異なる場合があります(ちひろ美術館・東京は8月8日は休館します)。
また、国内外の絵本3000冊がある「絵本の部屋」には、ちひろがベトナム戦争を題材にした絵本『戦火のなかの子どもたち』をはじめ、平和について考えるきっかけとなる絵本も自由に手に取って読むことができます。
その他館内では、平和絵はがき・平和の絵セットなどが販売されています。こちらの商品の売り上げは、世界中の困っている人びとへ寄付されます。ぜひ来館の際には手に取ってみてくださいね。
平和の大切さを伝え続けるちひろ美術館の取り組みについてご紹介しました。
最後に未来をつくる子どもたちへ伝えたいメッセージを聞くと、こう答えてくれました。
ひとりひとりの個性が守られるためには、まず平和な世の中であることが大切です。
ちひろ美術館は、平和を願ったいわさきちひろや世界の絵本画家の作品や絵本を通じて、お客様が心穏やかな時間を過ごせる場、そして未来への希望を発信する存在であり続けたいと思います。
まずは知ることから。戦争のない、自由が尊重された平和な世界になることを願って、自分たちにできることを考えていきましょう。