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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
【開館55周年記念特別展】速水御舟と吉田善彦/山種美術館
展示風景より、速水御舟《名樹散椿》1929年
山種美術館は、1966(昭和41)年、日本初の日本画専門美術館として開館しました。
2021(令和3)年で開館55周年となるのを記念して開催された特別展では、コレクションの「顔」でもある速水御舟(はやみ ぎょしゅう/1894-1935)と吉田善彦(よしだ よしひこ/1912-2001)の作品に焦点をあてて展示。
速水御舟の《名樹散椿(めいじゅちりつばき)》《炎舞(えんぶ)》【いずれも重要文化財】。22年ぶりに公開される、吉田善彦の作品7点なども出品されています。
卓越した技法で描かれた展示作品のなかから、見どころをご紹介します!
速水御舟は、尋常高等小学校を卒業後、自宅近くの画塾に入門。さまざまな古画の模写を続けながら自作を絵画展に出品し、早くから日本画壇で頭角を現します。
その後も伝統的な技法に独自のアレンジを加え、40歳で急逝するまで、新たな画風に挑みつづけました。
展示風景左奥:速水御舟《翠苔緑芝》1928年*
例えば、《翠苔緑芝(すいたいりょくし)》の紫陽花に入った細かなひび割れは、経年劣化によるものではなく、厚塗りの胡粉(ごふん)に意図的に入れられたものとのこと。
本画を間近に見ると、苔や芝などにも表現の工夫が施されているのがわかります。
さらに、その翌年に描かれた《名樹散椿(めいじゅちりつばき)》では、「撒(ま)きつぶし」*という新たな技法が使われています。
*撒きつぶし:通常は背景に金箔を貼りあわせて金地とするところを、金箔を粉状にした「金砂子(すなご)」を密に巻いて地一面に使う技法。
展示風景より、 速水御舟《和蘭陀菊図》1931年
修復された後、本展で初公開されている《和蘭陀菊図(おらんだぎくず)》も必見です!
近年の調査で、花の一部に西洋の顔料が使われていたり、画面の裏側からも彩色されていることが判明しました。
会場には、作品に使用されている画法の解説やサンプルも展示されています。
本画と合わせて鑑賞することで、精緻で独創的な画風の秘密に迫ることができるのではないでしょうか。
展示風景より、吉田善彦《桂垣》1960年 © Noriko Yoshida 2021 /JAA2100171>
吉田善彦は、17歳のときに親戚の速水御舟に弟子入り。戦中から戦後にかけて奈良の法隆寺金堂壁画の模写事業に参加した後、東京に移って制作を続けます。
古画の風化した美しさに惹かれた善彦が編みだしたのが、「吉田様式」*といわれる独自の画法です。
会場には、初めて吉田様式を用いて描かれ、画風のターニングポイントとなった《桂垣》(かつらがき)も展示されています。
*吉田様式:彩色した紙をもみほぐして金箔のヴェールをかぶせ、その上から彩色する技法
展示風景より、吉田善彦《大仏殿春雪》1969年 © Noriko Yoshida 2021 /JAA2100171>
その後も善彦は各地を訪れ、やわらかな色あいで繊細に表現された風景画を描きました。
会場では、22年ぶりに公開される作品7点のほか、《大仏殿春雪》など他所の所蔵する作品も観ることができます。
第2展示室には、速水御舟の作品7点が展示されています。
入口正面に展示されているのは、重要文化財にもなっている《炎舞》。
展示風景より、速水御舟《炎舞》1925年
御舟はこの作品を描く際、毎晩焚き火をして、炎や蛾を観察したとのこと。
燃えさかる炎や、炎にむらがる蛾に目を奪われますが、「もう一度描けといわれても、二度とは出せない色」と自ら語ったという、背景の暗闇にも注目です!
チケットは、山種美術館のWEBサイト「入館日時オンライン予約システム」より購入することができます。
来館当日に、美術館の受付で購入することもできますが、混雑時にはすぐに入場できないこともあります。
待ち時間なく入館したい場合は、オンラインで事前に入館日時を予約して購入するのがおすすめです。
1階の「Cafe 椿」では、並木道に面した明るい店内で飲み物やランチを楽しむことができます。開催中の展覧会や季節にちなんだオリジナル和菓子もあります。和菓子はテイクアウトもできますよ!
御舟と善彦の作品をまとめて鑑賞できる貴重な機会です。日に日に秋めいて過ごしやすくなってくる季節。ぜひ足を運んでみてください。