風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
ますむらひろしの 銀河鉄道の夜―前編/八王子市夢美術館
愛らしい“猫”のキャラクターと、独特のファンタジーな世界観を描くことで知られる漫画家ますむらひろし(1952-)。
3月26日まで、八王子市夢美術館にて「ますむらひろしの銀河鉄道の夜―前編」が開催中です。
本展では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を、ますむらが新たな研究成果を踏まえ漫画化した『銀河鉄道の夜・四次稿編』(原作・宮沢賢治、作画・ますむらひろし)の全4巻のうち前編(1・2巻)を紹介します。
ますむらひろしは、1952年山形県米沢市に生まれました。初めて描いた漫画『霧にむせぶ夜』で1973年に第5回手塚賞準入選。同年『1975』で「月刊ガロ」に入選し、1975年に同誌で『ヨネザアド物語』を発表します。
翌年から「月刊マンガ少年」に『アタゴオル物語』を発表、同作は初期代表作となり長期に渡ってシリーズ化されました。
どの作品も登場人物は人ではなく”猫”!特に代表作『アタゴオル物語』の主人公ヒデヨシは、ファンに広く知られているキャラクターです。
1983年からは『注文の多い料理店』など教科書でもおなじみの詩人・童話作家の宮沢賢治(1896-1933)の作品を多数漫画化し、その功績により2001年に宮沢賢治学会イーハトーブ賞を受賞。
本展で紹介されている『銀河鉄道の夜・四次稿編』は、宮沢賢治の数多くの作品の中でもひときわ謎めいた作品である『銀河鉄道の夜』を、ますむらが新たな研究成果を踏まえ漫画化したもの。本作は、全4巻・約600頁からなる大作です。
本展では、『銀河鉄道の夜・四次稿編』既刊の第1巻・第2巻の漫画生原稿すべてと創作資料、メモ、ラフスケッチなどを展示し、ますむらひろしによる「銀河鉄道の夜」の世界を紹介します。
ますむらはこれまで3度と賢治の『銀河鉄道の夜』を漫画化しています。今回展示されている『銀河鉄道の夜・四次稿編』は、最新の研究成果を踏まえた作品です。
さまざまな資料を元に創作された『銀河鉄道の夜・四次稿編』。本展では、原画やラフスケッチのほかに、創作で用いられた資料も合わせて展示されています。
日本の漫画はモノクロの原稿が主流とされています。
本展で展示されている原画を観ると、鮮やかな色彩が印象的なカラー原稿が多数あります。漫画でこれほどのカラー原稿があるのは、日本の漫画では珍しいとのことです。
カラー原稿はますむらの妻である増村昭子が着彩を担当しているのだそう!夫婦が力を合わせて本作を描いているのも魅力的ですね◎
京王プラザホテル八王子の「日本料理〈みやま〉」(15階)と、ますむらひろしの代表作「アタゴオル」シリーズから、葛飾北斎に挑んだ画集「アタゴオル×北斎」とコラボレーションしたメニューにも注目です。
会席「匠の饗宴~アタゴオル×北斎~」は、ヒデヨシと江戸時代の風景が溶け込んだ浮世絵から着想した料理です。数量限定で3月31日まで提供されています。
また、八王子夢美術館での「ますむらひろしの銀河鉄道の夜―前編」会期中(3月26日まで)に、「匠の饗宴」を注文した方限定で、本展の入場割引券をプレゼント!詳しくは京王プラザホテル八王子公式サイトをご確認ください。
ますむらひろしが描いた「銀河鉄道の夜」の世界を余すことなく紹介する本展。
受付の後ろにある部屋には、本展の感想が書き込めるノートと貼り紙パネルが設置されています。
こちらに書かれた感想はますむらに届くのだそう!さらに、原画の複製パネルは撮影OK(展示室の撮影はできません)!SNSで展覧会を観た記念をシェアしてみては?