稲垣慎 個展「キッチンカーが来た」

稲垣慎は、鳥や亀、魚、虫などの身近な生き物や自然、建築などの構造物をモチーフに、抽象的かつ有機的な彫刻作品を制作してきました。
木の塊から彫り出す伝統的な木彫をベースに、制作過程で偶然現れた形状との対話や素材の触感、空間との関係性を探求しながら、力強さと繊細さを兼ね備えた独自の表現を追求しています。

今回の展示準備のためにギャラリーを訪れた稲垣は、小さな入口から見た間取りから、今年まで6年間勤めた東京藝術大学に毎日来ていたキッチンカーを連想したと言います。本展では、限られた空間で機能と遊びを混在させたものの見せ方の仕組みを持つキッチンカーに着想を得て、箱状の空間の中に箱が現れ、またその中に箱が入れ子状に連なっていくようなイメージを展開していきます。一つ一つの要素がそれぞれに関係性を築きながら、多様な物語と奥行きのある独特な世界を感じることができます。

真摯に彫刻に向き合いながら制作を続ける、稲垣の作品をぜひ間近でご覧ください。