これから開催
スピリチュアル・フィクションズ
海野林太郎、王之玉、アレキサンダージュリアンによる展覧会「スピリチュアル・フィクションズ(Spiritual Fictions)」を開催します。
異なる背景と実践を持つ3名のアーティストは、それぞれの視点から「スピリチュアル(精神的・霊的)」と「フィクション(創作)」という概念に向き合い、それを既存の現実から離れるための装置ではなく、むしろ現実を手繰り寄せ、確かめるための回路として用いるような表現活動を展開しています。
想像力と現実の接点
本展では、映像、オブジェ、華道、文章、インスタレーションといった多様なメディアを横断しながら、スピリチュアルな想像力と現実との間に生じるズレや重なりに焦点を当てます。
プロジェクト名にある「スピリチュアル(spiritual)」は、一般的に「精神的なもの」や「目に見えない力」を指す言葉であり、魂や意識の深層、あるいは宗教的・非物質的な感性を内包しています。また、「SF」は本来サイエンス・フィクション(Science Fiction)を意味しますが、ここでは「スピリチュアル・フィクションズ」として再解釈され、新たな想像力のかたちとして提示されます。
現実を取り戻すための回路
現代において、スピリチュアルな言説はしばしば資本や政治と無自覚に結びつき、個々の現実感や判断力を奪う装置としても機能しています。アーティストたちはそうした状況に対して強い危機意識を持ちながらも、スピリチュアルな想像力そのものを否定するのではなく、それを「現実を取り戻すための回路」として捉え直そうとしています。
日常に潜む違和感の瞬間や誤解、繰り返される言葉の空転など、作品には現実の裂け目から立ち上がる微細なエピソードが散りばめられています。これらは単なる記録ではなく、それぞれの現実から紡ぎ出された個別のフィクションであり、既存の枠組みに依存しない「見たことのない現実」の兆候として現れます。
フィクションは再接続の手段
かつてサイエンス(科学)が、現実とフィクションをつなぐメディアとして機能したように、彼らは今、スピリチュアルな想像力を媒介として、精神と現実のあいだに新たな接点を見出そうとしています。フィクションとは逃避ではなく、再接続の手段であり、分断された現実をもう一度手繰り寄せるための試みです。
本展では、日常の断片から立ち上がる言語的・視覚的装置を通じて、3名のアーティストによる「スピリチュアル・フィクションズ」の実践を紹介します。既存の価値観や制度から距離をとりながら、新たな現実のあり方を探るその姿勢は、現代社会への批評性を帯びつつも、未来への希望を静かに照らし出します。ぜひご高覧ください。(文・海野林太郎)
Event Information
- 展覧会名
- スピリチュアル・フィクションズ
- 開催期間
- 2025年9月5日~9月28日
- 開館時間
-
20:00~03:00
(※13日のみ24:00まで)
- 休館日
- 月曜日
- 入館料
無料
- 公式サイト
- https://decameron.jp/
Venue Information
- 会場
- デカメロン