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甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性

《幻覚(踊る女)》 1920(大正9)年頃
絹本着色、183.5×105.0 cm 、京都国立近代美術館

《横櫛》 1916(大正5)年頃
絹本着色、195.0×84.0cm、京都国立近代美術館

「歌妓のポーズをとる友人」
ガラス乾板からのプリント、京都国立近代美術館

『旗本退屈男 謎の暗殺隊』衣裳
衣裳製作者:三上剛、東映株式会社京都撮影所蔵
©東映 (映画公開:1960年、監督:松田定次、
製作会社:東映株式会社、衣裳着用者:市川右太衛門)

本展は、様々な領域を越境した表現者・甲斐荘楠音(かいのしょうただおと、1894-1978)の生涯にわたる創作の全貌を回顧するものです。

甲斐荘は大正期から昭和初期に日本画家として活躍し、革新的な日本画表現を世に問うた美術団体「国画創作協会」の会員としても知られています。通念としての理想美を描き出すのではなく、美醜相半ばする人間の生々しさを巧みに描写した甲斐荘の画風は、戦前の日本画壇で高く評価されました。
しかし、1940年代初頭に画業を中断した後は映画業界に転身。長らくその成果が顧みられることはありませんでしたが、1970年代半ばから再評価の機運が高まり、没後20年を経た1997年には回顧展が開催されます。そこで日本画家としての活動の全貌が初めて紹介され、同時に「京都画壇の異才」という定評を確立して今日に至ります。

美術館での二度目の回顧展となる本展では、日本画家という枠組みに収まりきらない甲斐荘の「越境性」を紹介します。画家としての評価の影に隠れてしまった甲斐荘の別の側面――溝口健二ら稀代の映画監督を支えた風俗考証家、歌舞伎など演劇を愛好し又自らも素人芝居に興じた趣味人としての活動は、これまでほとんど注目されてきませんでした。さらには、女形としての演技や異性装による「女性」としての振る舞い、セクシュアルマイノリティでもあった甲斐荘の嗜好/指向は、彼の表現活動を解釈する上で重要な要素です。

本展ではスクラップブック・写生帖・絵画・写真・映像・映画衣装・ポ
スターなど、甲斐荘に関する資料のすべてを等しく展示します。
異色の日本画家から「複雑かつ多面的な個性をもつ表現者」へ、甲斐荘楠音を再定義する展覧会です。

Event Information

展覧会名
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
開催期間
2023年2月11日~4月9日 終了しました
開館時間
10:00~18:00
※毎週金曜日は20:00まで
※入館は閉館30分前まで
休館日
月曜日
入館料

一般:1,800円、大学生:1,100円、高校生:600円

公式サイト
https://www.momak.go.jp/
お問い合わせ

075-761-4111(代表)

Venue Information

会場
京都国立近代美術館
主催
京都国立近代美術館、日本経済新聞社、京都新聞
巡回情報

東京ステーションギャラリー

会期:2023年7月1日~8月27日