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2024年11月1日
「10分でわかるアート」は、世界中の有名な美術家たちや、美術用語などを分かりやすく紹介する連載コラムです。
作家たちのクスっと笑えてしまうエピソードや、なるほど!と、思わず人に話したくなってしまうちょっとした知識など。さまざまな切り口で、有名な作家について分かりやすく簡単に知ってもらうことを目的としています。
今回は、スペインを代表する建築家「アントニ・ガウディ」について詳しくご紹介。
「この作品を作った作家についてもう少し知りたい!」「美術用語が難しくてわからない・・・」そんな方のヒントになれば幸いです。
アントニ・ガウディ(1852-1926)は、スペインのカルターニャ地方出身の建築家です。
銅細工師の家に5人兄弟の末っ子として生まれたガウディ。
バルセロナの建築学校に入学し、学校に通いながら建築設計事務所でも働き、建築を学びました。
ガウディのアイディアは学生時代からすでに「天才なのか、狂人なのか紙一重で、のちにどちらかわかるだろう」と言われたほど奇抜だったのだそう。
スペインの首都バルセロナには、未完の傑作として知られるサグラダ・ファミリアなど、ガウディの建築作品が7つあります。
それらは「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されています。
曲線を上手く使用し、奇抜でありながら自然の形にインスピレーションを得たデザインが特徴であるガウディ建築。
7つある世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」の中から、スペイン旅行の際はぜひ観てほしい作品をピックアップしてご紹介します。
ガウディが手掛けた最後の邸宅建築で、あるカサ・ミラ。バルセロナ中心部の多くのレストランなどがあるグラシア通りにあります。
地中海やカタルーニャの雪山をテーマに造られており、1984年に世界文化遺産に登録されました。
当時は市民から不評で、醜悪な建物という意味で「石切場(ラ・ペドレラ)」と呼ばれていましたが、現在ではバルセロアを代表する建築で、マンションとして人が住んでいるそうです。
1904年にガウディが、大繊維業者のジュゼップ・バッリョ・イ・カザノバスから邸宅の改築依頼を受けて手掛けたカサ・バトリョ。
ガウディの特徴である曲線に、色とりどりのガラスやタイルが施されています。
このタイルやガラスは、地元の会社から廃棄してしまうものをもらって、利用しているのだそう。
建物の外観は海面を、内部は海底をイメージして造られました。
グエル公園は、バルセロナの街を一望することができるバルセロナの観光名所です。
元々は公園ではなく、イギリス風の庭園都市として庭付き住居がある場所を構想されていたのだそう。
ところが、交通の便が悪いなどの理由から施主のグエル家の住宅を除くと、60区画中ガウディが購入した1区画ともう1区画しか売れず、グエル伯爵の死後、バルセロナ市に売却されて、公園となりました。
グエル公園内のカラフルなモザイクが施された大トカゲのモニュメントは、バルセロナのシンボルとなっています。
1984年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
ガウディの代表作《サグラダ・ファミリア》。カトリック教の大聖堂で、未だ完成されていない大作です。
建設途中ではあるものの、建築物の一部が世界遺産として登録されています。
《サグラダ・ファミリア》の正式名称は「聖家族贖罪教会(せいかぞくしょくざいきょうかい)」といい、イエス・キリスト、聖母マリア・、養父ヨセフの聖家族に捧げる、罪を贖う(あがなう)貧しき者たちのための聖堂として造られました。
ガウディの建築として名高いですが、実は1882年にフランシスコ・デ・バウラ・デル・ビジャールによって建築が始まりました。
ガウディがメインで関わるようになったのは翌年の1883年。以降、不慮の事故で亡くなるまでサグラダ・ファミリアの建築に携わりました。
事故によりガウディが急逝したため、未完となったサグラダ・ファミリア。
現在は最先端の技術を駆使しながら工事は継続され、順調に進めば2026年に完成する予定です。
ガウディの独創的な発想力を支援したのが、グエル伯爵(1846-1918)です。
グエル伯爵はバルセロナ生まれの実業家で、のちに国会議員になります。
ガウディがパリ万博に出展するために制作したショーケースを見て、彼の作品に一目ぼれしたことがきっかけなのだそう。
当時は奇妙と捉えられることもあったガウディの建築ですが、グエル伯爵はガウディの最大のパトロンとして彼の制作を支援しました。
自身の表現を貫き、世界遺産を7つも誕生させたアントニ・ガウディ。その姿勢から学ぶことがたくさんありました。
最後まで情熱を注いでいた未完のサグラダ・ファミリア。
きっとガウディも天国から完成の日を心待ちにしていることだと思います。
【参考書籍】
・池上英洋『いちばん親切な西洋美術史』株式会社新星出版社 2016年