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2024年11月1日
ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる/目黒区美術館
戦前の日本におけるベルギー美術の受容について探る展覧会が、目黒区美術館にて開催中です。
戦前、「芸術留学」と言えばフランスがほとんどでした。戦前の日本人画家の留学中の作品を多く収集する目黒区美術館の収蔵品の中にも、ベルギー留学をしていた画家・太田喜二郎の作品があります。
当時、ベルギー留学をする者はごく少数だったそう。たとえば、画家の児島虎次郎や彫刻家の武石弘三郎です。
本展では、太田、児島、武石3名の芸術家を中心に、戦前日本でのベルギー美術への受容に迫ります。
第1章「光をえがく:ベルギーの印象派絵画と日本」では、ベルギーの印象派の画家、エミール・クラウスから学んだ太田喜二郎と児島虎次郎の作品を紹介します。
太田はさまざまな光の表現を試しました。展示室では、太田の光の表現、そして師匠のエミール・クラウスの作品も鑑賞することができます。
展示室の中でもひときわ目を引くのが大型作品の《赤い日傘》。
赤い日傘を差した女性に、日傘の色が移り込んでいるようすが描かれています。顔や服に思い切った赤色を入れるのが大胆です。
全体で見ると光の表現を確かに感じますが、近くで見ると複雑な色の重なりで構成されていますよ。
ぜひ実際に会場でじっくりと観てほしい作品です。
太田と一緒に学んだ児島虎次郎の作品《和服を着たベルギーの少女》は、本展のメインビジュアルにもなっています。
鮮やかな着物の柄に壁紙というインパクト大なこちらの作品は、絵具をひっかくようにして描かれています。
光の表現は、太田も児島もちょっと似ている気がしますね。
第2章「命をかたどる:ベルギーの彫刻と日本」では、彫刻家の武石弘三郎の作品を紹介しています。
武石は、ブリュッセル王立美術学校を優秀な成績で卒業し、帰国後は肖像彫刻家として活動します。
こうした華々しい経歴を持ちながら、武石はこれまで忘れ去られた存在でした。それは、戦争の武器を作るために武石の制作したブロンズ像のほとんどが回収されてしまったからだそうです。本展では大理石を用いた彫刻が多く出品されていますよ。
これまで3人の芸術家を中心にベルギー美術にふれてきましたが、最後の第3章「伝える・もたらす:ベルギー美術の紹介」では、日本でベルギー美術がどのように紹介されたかについて、展示しています。
こちらでは現在でも人気のあるルネ・マグリットの作品も展示。
詩人・評論家の瀧口修造が、当時マグリットを力を入れて紹介しました。紹介雑誌なども展示されています。
しかし、当時の日本でマグリットに似た作風の画家はほとんど見られなかったそうです。
あまりなじみのない、ベルギー美術。それが戦前日本でどのように受け入れられたかを知ることができるユニークな展覧会です。
本展はこの後、高梁市成羽美術館(岡山県)、新潟県立近代美術館へと巡回します。2館それぞれが、ベルギー留学をしていた児島虎次郎、武石弘三郎を収蔵作家としています。
こちらもお見逃しなく。