石岡瑛子 I (アイ)デザイン/兵庫県立美術館

石岡瑛子の熱情を“ここ”に感じる企画展【兵庫県立美術館】

2024年10月16日

石岡瑛子 I (アイ)デザイン/兵庫県立美術館

没後10年を経て国内外から再び注目を集めるデザイナー石岡瑛子

石岡を今“ここ”に感じるデザイン展が、2024年12月1日まで兵庫県立美術館で開催中です。

本展では、石岡が東京を拠点にしていた1960-80年代の仕事を中心に400点以上の作品を一挙に公開。

広告、舞台、映画など、国境やジャンルを越えて世界的に活躍した石岡の、いまなお熱を放つ生命力を感じられる企画展となっています。

会場は、神戸市中央区の兵庫県立美術館。
同館の設計者は、石岡とも親交があった建築家の安藤忠雄です。

安藤設計の展示空間ならではの、石岡の「今」を感じられるダイナミックな展示方法にも注目です。

デザイナー石岡瑛子について

石岡瑛子は1938年に東京に生まれました。

1961年、東京藝術大学を卒業後、資生堂宣伝部に入社。
まだ働く女性が少なかった時代、石岡は重役面接で「お茶くみはしたくない」「給料は男性社員と同じだけいただきたい」そう啖呵を切った、というエピソードが残されています。

入社後、次々と斬新なアイデアを発表した石岡。

イラストが主流だった広告デザインに写真を用いるなど、注目を集めるデザインを連発していきます。

資生堂「ホネケーキ」(1964年-1965年)

日本中の度肝を抜いたポスター
「太陽に愛されよう」

石岡の代表作であるポスター「資生堂ビューティケイク:太陽に愛されよう」(1966年)。

モデルに起用した前田美波里の真っすぐなまなざしと強い意志を感じさせるポーズは、1枚の製品広告ポスターでありながら、当時の日本の「美人」像を覆すものとして、大きな注目を集めました。

PARCOでの活躍も紹介

1970年、フリーランスとなった石岡は、オープンしたばかりの渋谷PARCOのデザインを担当します。

同年開催の大阪万博のポスターやブックデザインなどにも活動の幅を広げていきます。

本展では、渋谷PARCOをはじめとする広告ポスターも多数展示。

ひときわ目を引く真っ赤なテント内では会場限定の映像資料も公開されています。

また、今回初公開となる教科書の表紙や雑誌など、石岡が編集者目線としてもこだわった数々のブックデザインも必見です。

究極のブックデザインとも言える自身の作品集で、米国デビューのきっかけともなった『EIKO BY EIKO』も展示されています。

世界に認められた数々の作品にも注目

1980年代以降はエンターテイメントの世界でも活躍しました。

美術監督を務めた映画「MISHIMA」(1985年)では、カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞。

グラミー賞最優秀レコーディング・パッケージ賞を受賞したマイルス・デイヴィスのアルバム「TUTU」(1986年)、衣装デザインでアカデミー賞を受賞した映画「ドラキュラ」のポスターなど、国や表現分野を超えたさまざまなデザインも展示しています。

石岡は、ジャズ・ミュージシャンのマイルス・デイヴィスの大ファンだったのだそう。

そのため、何とかしてマイルスの仕事を取りたい、という石岡の「推し活」の賜物であったのだとか。
人間らしいエピソードも公開されています。

まとめ

3カ所目となる兵庫会場では、非常に珍しい本人映像で肉声を聞けることもあり、サブタイトルの「石岡瑛子がここにいる」をまさにひしひしと感じる、熱情にあふれた展示内容となっています。

ここ兵庫会場においても、来場者は石岡のほとばしるエネルギーと、「I=私」にインスパイアされることでしょう。

会場は神戸の中心街にもほど近い場所。秋の1日、神戸観光も兼ねてぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

Exhibition Information

展覧会名
石岡瑛子 I (アイ)デザイン
開催期間
2024年9月28日~12月1日
会場
兵庫県立美術館
公式サイト
https://www.artm.pref.hyogo.jp/