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イマーシブ空間でミュシャの美しい世界に入り込む。ホリデーシーズンにおすすめの展覧会【渋谷ヒカリエ】
2024年12月17日
館内風景
深紅の壁と豪華なシャンデリア。壁一面に飾られた絵画。ヨーロッパの貴族の館と見紛うこの部屋は、なんと日本の美術館の展示室なのです。
名古屋の中心部に位置する美の殿堂、ヤマザキマザック美術館をご紹介します。
美術館外観
JR名古屋駅から市営地下鉄東山線で7分。「新栄町」駅直結という交通の便に恵まれたヤマザキマザック美術館は、2010年に開館しました。
母体は世界的な工作機械メーカーのヤマザキマザック株式会社。創立者の山崎照幸氏が蒐集した18世紀~20世紀にかけてのフランス絵画や、アール・ヌーヴォーのガラス工芸・家具調度品のコレクションを、雰囲気溢れる展示室で鑑賞することができる美術館です。
早速フランス絵画の展示室からご案内しましょう。
フランソワ・ブーシェ《アウロラとケファロス》1745年頃
展示室に入るとまず目を惹くのは、同美術館が誇るロココ絵画の傑作・フランソワ・ブーシェの「アウロラとケファロス」。縦横2m以上ある作品は圧巻です。まばゆい深紅の壁布が作品を引き立てます。
ご注目いただきたいのが、作品が並ぶ美しい展示室。まるで海外の美術館のようですね。
展示風景
ヤマザキマザック美術館では、18世紀以降のフランス絵画300年の流れを順を追って鑑賞することができます。時代ごとに3つの部屋に分かれ、時代のイメージに合わせて「赤」「黄」「青」の壁布でゾーニングされています。
ここは「赤の間」と呼ばれる展示室。ヴーシェ、ヴァトー、フラゴナールら18世紀ロココ様式の優美な作品を中心に、アングル、ドラクロワの作品も並びます。
ジャン=アントワーヌ・ヴァトー《夏の木陰》1715年頃
ヴァトーの小さな作品の前にあるのは拡大鏡。ヤマザキマザックの工作機械で作られた仕掛けです。レンズがボタンで昇降するようになっていて、作品の細やかな表現を観ることができます。
(左)カミーユ・ピサロ《ルーアンの波止場・夕陽》1896年 (中央)クロード・モネ《アムステルダムの港》1874年 (右)アルフレッド・シスレー《サン=マメのロワン運河》1885年
次の部屋に進むと壁の色が黄色に。優美で重厚な「赤の間」から、軽快で明るい雰囲気へがらりと空気が変わります。
「黄の間」に並ぶのは、印象主義やナビ派の作品。作品をより身近に感じられるよう額はガラス板やアクリル板が外されており、印象派の軽やかなタッチを直に鑑賞することができます。
(左)ルノワール《果物皿》制作年不詳 (右)ルノワール《母の愛、あるいは息子ピエールに授乳するルノワール夫人》1916年
あまり目にすることのないルノワールのテラコッタが展示されていました。若き日のルノワールの妻アリーヌと長男ピエールの姿です。ルノワールが晩年、彫刻家リシャール・ギノーの助けを借りて制作したもの。アリーヌの幸福に満ちた柔らかな表情が印象的。
(左)モーリス・ユトリロ《サノワの風車》1910年頃 (中央)アメデオ・モディリアーニ《ポール・アレクサンドル博士の肖像》1909年 (右)モーリス・ユトリロ《マルカデ通り》1911年
「青の間」には、ユトリロやモディリアーニなどエコール・ド・パリの作品、ブラックやピカソのキュビスムの作品が展示されています。
マリー・ローランサン《3人の若い女》1935年
ローランサン特有の柔らかな色彩が青い壁布に映えます。
当館展示室に使われた「赤」「黄」「青」の壁布は、ハプスブルグ皇帝家御用達のオーストリア・バックハウゼン社のもの。展示室のイメージで特別に誂えたそう。各展示室に置かれているソファも共布。他の美術館では味わえない贅を尽くした空間で、ゆったりと作品を鑑賞できるのが大きな魅力です。
ルイ・マジョレル《書斎机》1910年頃
フロア変わってこちらはアールヌーヴォーの世界。この美術館が誇るもうひとつのコレクション、アールヌーヴォーの家具調度品とガラス工芸作品です。今回は特別展が実施されていたためガラス工芸の展示はなく、家具のみのご紹介となります。
優美な書斎机は、エミール・ガレとともにアール・ヌーヴォーの工芸家グループ「エコール・ド・ナンシー」の創立メンバーとなったルイ・マジョレルの作品です。
ポール・アレクサンドル・デュマ《食堂用家具》1902年頃
アール・ヌーヴォーのデザイナー、ポール・アレクサンドル・デュマによるダイニングの家具。ただ家具を並べるだけでないのがヤマザキマザック美術館のすごいところ。当時の部屋をまるごと再現しているので、タイムスリップした感覚に浸れます。
ルイ・マジョレル《寝室用家具(ベッド)》1900年頃
こちらはルイ・マジョレルによる寝室用家具。藤の花や金蓮花(ナスタチウム)などが象嵌で施されています。これはいい夢を見られそう。
ルイ・マジョレル《寝室用家具(衣装箪笥)》1900年頃
寝室のクローゼットの上には猫の姿が。壁に猫ちゃんの影が落ちているのもキュート。
ジャック・グリュベール《食器棚》1904年頃
こちらは「エコール・ド・ナンシー」創設者の一人、ガラス工芸家のジャック・グルベールが手掛けた大型の食器棚。扉にはめ込まれたガラスが美しい。
エミール・ガレ《文函》1901ー03年
ガレといえばガラス工芸が有名ですが、家具も制作していました。アール・ヌーヴォー様式らしい優美な文函です。2段目の棚、右側にガレのサインも見えます。
オリジナルのポールパーテーション
展示室にはさまざまなこだわりが詰まっています。
床材は、硬く耐久性の高い「メルパウ」というマメ科の広葉樹。床下空調で空間の美観を損なわないよう配慮されています。
作品の前に置かれるポールパーテーションも、ヤマザキマザックの工作機械で削り出したもの。「Mazak」の刻印が輝いています。
ミュージアムショップ
小ぶりながらミュージアムショップも充実。美しいポストカードが並びます。
カフェテリア・トペ
鑑賞後は、館内併設の「カフェテリア・トペ」へ。立ち寄りやすいカジュアルなカフェ。アートの雰囲気に包まれながらひとときを過ごすことができます。
トペ特製のハヤシライスとフォンダンショコラ
おすすめの「トペ特製のハヤシライス」は、地下2階のイタリアン『トラットリア・トペ』の自信作。コクのあるトマトソースに生クリームがまろやかさを演出。ボリュームもしっかりあって、観覧の腹ごしらえにぴったりの一品。
アートに浸った後はオリジナルスイーツもぜひ。寒い季節、人気のフォンダンショコラとコーヒーであったまってお帰りくださいね。