貴重な文化財を未来へ。東京国立博物館がクラウドファンディングを開始【インタビュー】
2025年10月23日
歌川広景 お笑い江戸名所/太田記念美術館

歌川広景 江戸名所道戯尽 二十二 御蔵前の雪 安政6年(1859)9月 太田記念美術館蔵
太田記念美術館にて、「歌川広景 お笑い江戸名所」が2025年12月14日まで開催中です。
本展では、「東海道五拾三次之内」で著名な歌川広重の弟子である歌川広景(うたがわひろかげ)の代表作「江戸名所道戯尽(えどめいしょどうげづくし)」全50点を一挙に公開します。
江戸っ子たちの日常に起きた笑いのハプニングが満載の「江戸名所道戯尽」。
浮世絵の初心者でも気軽に楽しむことができる内容になっています。
今回紹介する歌川広景の「江戸名所道戯尽」は、幕末の江戸を舞台にした「お笑い江戸名所」とも言えるシリーズです。
浮世絵に描かれている江戸っ子たちに注目すると、とっても面白いハプニングがたくさん!

歌川広景 江戸名所道戯尽 二十七 芝飯倉通り 安政6年(1859)9月 太田記念美術館蔵
本作は、ことわざの「鳶に油あぶら揚あげをさらわれる」を元に描いた浮世絵です。
このことわざは、自分のものになると思っていたものや、大切にしていたものを不意に横取りされ、呆然とするという意味があります。
それを表すかのように、取られた油揚げがぺチっと男性の顔に当たっているようすは、虚しいながらもクスッと笑ってしまう面白さがあります。

広景の「江戸名所道戯尽」は師匠である歌川広重の「江戸名所百景」と似ている構図がいくつかあります。
本展では、広重と広景の作品を並べて展示。
師弟の作品が並ぶのも、浮世絵を専門とする太田記念美術館ならではの紹介方法です。
師匠だけではなく、広景は葛飾北斎も手本としています。

歌川広景 江戸名所道戯尽 七 新シ橋の大風 安政6年(1859)4月 太田記念美術館蔵
急な突風に吹かれて驚いている江戸の人びとを描いた「新シ橋の大風」は、『北斎漫画』十二編をそのまま写している作品なのだそう。
広景は、「風」の中に登場する人物の位置を変えつつ、『北斎漫画』にはいない人物を加えるアレンジも施しています。

葛飾北斎 『北斎漫画』十二編「泥田棒」 天保5年(1834)
師匠・広重はもちろん、当時の人気絵師である北斎などが後世の絵師にどのような影響を与えたかについても観ることができますよ。
本展では、プラスアルファとして、広重のもう一人の弟子である二代歌川広重の作品20点も同時に公開します。
広重一門の多彩な世界を味わえる貴重な機会となっていますので、こちらもお見逃しなく。

太田記念美術館では2017年以来、8年ぶりに「江戸名所道戯尽」全50点を一挙に公開する本展。
浮世絵を初めて鑑賞する人でも、気軽に楽しめる内容になっています。
より、展示作品について知りたい!という方は、学芸員によるスライドトークの開催日の来館がオススメです。
日時:
・11月28日(金) 10:50
・12月3日(水) 10:50 各回30分程度
定員:50名
会場:太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法:10:30より美術館受付にて整理券を配布します。展覧会入場券ご購入時にお申し出ください。(お申し出のない場合整理券はお渡ししません)
聴講には「歌川広景 お笑い江戸名所」展の当日入場券と整理券が必要です。
整理券は展覧会にご入場の方1名につき1枚まで。