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2025年10月15日
装いの翼/ちひろ美術館・東京

ちひろ美術館・東京にて、「装いの翼 いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子」が開催中です。
本展では、2025年9月刊行の行司千絵・著『装いの翼 おしゃれと表現と──いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子』(岩波書店)を起点として、「装い」をテーマに3人の女性作家の素顔に迫ります。
いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子は、第二次世界大戦後、それぞれ絵本作家、詩人、美術作家として活躍しました。
3人のあいだに交流はありませんでしたが、彼女たちの作品を辿ると共通する部分がみえてきます。
今回の展覧会では、ちひろ、のり子、淑子の共通の思いを、それぞれの作品とことば、愛用品の品や写真などで紹介。
三者三様の美意識や生き方、そして自由と平和を求める思いを浮き彫りにします。

いわさきちひろは、大正デモクラシーの機運が高まる東京で、比較的裕福な家庭で育ち、恵まれた幼少期を過ごします。
幼いころから絵を描くことが好きだったちひろは、絵雑誌「コドモノクニ」を愛読し、将来の夢を思い描きます。
女学校に入学後、洋画家・岡田三郎助に師事して本格的に絵を学ぶようになると、画家として生きることを望みましたが、戦争と家制度に阻まれます。
戦後、ちひろは改めて画家になることを決意。子どもの本を舞台に活躍の場を広げました。

ちひろは55年の生涯の中で、子どもの絵を描き続けました。
描かれた子どもたちを彩る装いには、生きる希望や自由、未来が重ね合わされているようです。
それは、ちひろの装いにも通じています。
本展で展示されている彼女の装いは、どれも少女のようなみずみずしさがあります。

茨木のり子は、戦後の混乱期を生きた女性の心情を代弁する詩から、「現代詩の長女」と称される詩人です。
プライベートでは、プロ顔負けの料理をつくったり、住まいを心地よく整えたり。さらには、洋服も自作していたといいます。
本展では、のり子が愛用したセンスの溢れる品々を展示。

また、のり子の没後に発見、そして発表された最愛の夫への想いをつづった詩を収めた「Yの箱」も紹介します。

1950年頃から独自のコラージュ作品を制作し始めた美術作家の岡上淑子。
淑子は美術家・美術評論家で詩人の瀧口修造に見いだされて、7年ほど美術家として活動した後、長らく美術の世界とは距離を置いていました。

2000年に再び注目を集めてから、現在に至るまで、国内外で作品が展示されて、その先駆性が再評価されています。
1950年代のモードを色濃く映したコラージュ作品ともに、淑子のことばや書簡を展示しています。


青春時代を戦時下に生き、戦後、それぞれの表現で道を拓いた3人の女性作家たちの服と人生の物語を紹介する本『装いの翼 おしゃれと表現と──いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子』。
作家でありながらも、独学で洋裁を習得し、自身と身の回りの人の服を作っている行司は、「装いの翼をまとうとは自由闊達に生きる」ことだと言います。
本展では、本書の著者である行司千絵のことばを起点に、3人が美意識を育んだ幼少期、戦争のただなかにあった青春時代をたどります。

装いの翼 おしゃれと表現と──いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子 2,640円(税込)
多感な時期に、装うことや表現の自由が抑圧されていた時代を生きたちひろ、のり子、淑子。
その3人の感性から、自由と平和の大切さを知ることができる展覧会でした。
ミュージアムショップ*では、本展関連書籍である『装いの翼 おしゃれと表現と──いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子』も販売中です。
著者・行司千絵のサイン入りなので、欲しい方はミュージアムショップもお見逃しなく(数に限り有り)。
*館内ミュージアムショップの利用は、ご入館された方に限ります。