アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦/東京国立近代美術館

女性美術家14名の作品およそ120点を紹介【東京国立近代美術館】

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2026年1月15日

「アンチ・アクション」をキーワードに女性美術家14名の作品およそ120点を紹介【東京国立近代美術館】

「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展示風景

東京国立近代美術館にて、「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が開催中です。

本展の主役は、1950~60年代に活躍した女性美術家たちです。

「アンチ・アクション」をキーワードに、草間彌生、田中敦子、福島秀子ら14名の作品およそ120点を紹介します。

50~60年代、前衛美術で活躍した女性美術家

本展で取り上げられる1950~60年代は、高度成長の時代でした。そのため、労働運動が活発だった時代でもあります。

美術の領域では、短期間ながら前衛美術で活躍した女性美術家が注目を集めました。


「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展示風景

きっかけとなったのは「アンフォルメル」という美術運動でしたが、一時的な流行、また欧米からの輸入的な動きと捉えられて、これまで考察される機会が多くありませんでした。

しかし実際は、「アンフォルメル旋風」と呼ばれ、男性美術家・女性美術家それぞれにとって重要な戦後美術への転換期でもありました。

アクション・ペインティング

しばらくすると、アンフォルメル旋風も沈静化。さらに「アクション・ペインティング」という様式概念が導入されたことで、女性美術家たちは批判対象から外され、評価そのものも忘れられていきました。

アクション・ペインティングとは、カンヴァスを「出来事の舞台」として捉えるものです。これまでの「完成された」絵画のイメージではなく、身振りや速度、時には反復といった、身体的な行動による「行為の痕跡」という考え方でした。

力強く豪快なアクション・ペインティングは、男性性と親密と考えられ、女性美術家たちを見落とす要因になったのです。

アンチ・アクション

ここで本展のキーワード「アンチ・アクション」が登場します。

この言葉は、『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(中嶋泉[本展学術協力者]著、2019年)から引用されたものです。

「アクション」の時代に女性たちがどのように創作したのか?ジェンダー研究の視点も持ちながら、約120点の作品を通してその軌跡をたどることができます。


「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展示風景

「アンフォルメル」の意味は非定型=かたちを持たない、ということ。絵筆にもカンヴァスにもこだわらない、自由な創作が並ぶ展示室には、鑑賞の順路がありません。

展示室のはじめには、14名の女性美術家の作品が並びます。誰がどんな表現をしたか、ぐるりと見まわして鑑賞をスタートしましょう。

本記事では、14名の中からピックアップしてご紹介します。


草間彌生《No.AB.》1958年 ©YAYOI KUSAMA

大画面に無数の網の目を描いた草間彌生。その細かい網目模様を、誰でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

瞬間的な痕跡ではなく、持続的な画家の作業によるこの網目模様は、まさにアンチ・アクション。

草間自身も自分の作品を「アクションとは反対」と捉えているそうです。


白髪富士子《白い板》1955/1985年 兵庫県立美術館蔵

白髪富士子は、前衛美術グループ「具体美術協会」の初期メンバーです。夫の白髪一雄も同じ協会に在籍していました。

10m近い木の板をのこぎりで「挽き割」って作られた《白い板》。白髪富士子の作品は、和紙、ガラスといったさまざまな素材を用いているのが特徴です。

ガラスや板の強さからは、人間のアクションを脅かすようなパワーが感じられます。


山崎つる子《作品》1957/2001年 芦屋市立美術博物館蔵
© Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo

強烈な色彩、軽やかな抽象表現が特徴的な山崎つる子。

本展では、ブリキ板を用いた立体作品も展示されます。ピンクの照明で照らされたブリキ板は、見る角度によって光り方が変わります。


山崎つる子 《作品》 1964年 芦屋市立美術博物館蔵
© Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo

戦後、それまで抑制されていた塗料の使用が一気に緩和され、次々と新商品が誕生します。

カラフルなネオン、ビビッドな合成塗料が都市風景を大きく変えていったことが容易に分かりますね。


多田美波《周波数37303055MC》1963年 多田美波研究所蔵

多田美波のインパクト大な立体作品も!多田はもともと絵画出身でしたが、次第に表現の場を立体へと変えていきます。

アルミをハンマーで叩いて作り上げた本作。道具を使うことで、自身の想いや衝動を読み取らせない、これもアンチ・アクションですね。


田中敦子《地獄門》1965ー1969年 国立国際美術館蔵
©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association

3mを超える超大型作品、田中敦子の《地獄門》。

繰り返し描かれる丸、こちらも合成塗料を使用しています。田中は電気回路をモチーフにしたことでも有名です。

このエネルギー、是非会場で体感してみてほしいです。

「フェミニズム」という言葉も浸透していなかった時代に、女性美術家たちはどのように「アンチ・アクション」したのか?

順路がないからこそ、作家同士の似た部分や違う部分をじっくり鑑賞できる展覧会です。

配布のzineも

本展の会場の至るところにある小冊子。

展覧会にまつわる小話を全14枚配布しており、全て集めるとオリジナルZINEになります!

より展覧会への理解を深めるために、ぜひアクションしてみてくださいね。

Exhibition Information