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2024年11月1日
歌枕 あなたの知らない心の風景/サントリー美術館
皆さんは「歌枕」という言葉を知っていますか? 和歌の中に多く詠みこまれた名所のことを「歌枕」といいますが、例えば国語の教科書でおなじみの『小倉百人一首』に登場する在原業平の「ちはやぶる 神代もしらず 龍田川 からくれないに みづくゝるとは」。この“龍田川”が歌枕となります。
サントリー美術館では現在、絵画や工芸などさまざまな美術作品を通して、和歌の中で詠まれてきた歌枕を紹介する展覧会が開催中です。本記事では、第五章からなる本展の見どころピックアップして紹介します。
※展覧会詳細はこちら
日本美術では桜と楓を描いた作品を、日本の名所である「吉野」と「龍田」を描いたものとして説明しています。それと同じように、ススキの生い茂る野原に月が沈む光景は「武蔵野」、川に掛かる橋と柳、それに水車の組み合わせは「宇治」などとされています。
これらの情景はすべて、和歌の詩的なイメージである「歌枕」によって表されたものです。
柳橋水車図屛風 桃山時代 十六~十七世紀 京都国立博物館蔵(展示期間:6月29日~8月1日)
第一章「歌枕の世界」では、歌枕で表された日本の名所を屏風絵で紹介。京都国立博物館所蔵の「柳橋水車図屛風」は、川に掛かる橋と柳、水車が描かれていることから京都の名勝地「宇治」を表していることが分かりますね。
左隻に描かれている水車は、終わりのない苦しみや輪廻をイメージさせる仏教的なモチーフでもあるそうです。
歌枕は、そのイメージや知識によってその場に居ながらにして名所を知ることができたため、実際に名所の風景を見なくても和歌を詠むことで理解することができました。
江戸時代、幕府は江戸と全国を結ぶ道路である、 東海道、中山道、甲州街道、奥州街道、日光街道という五街道を整備します。これにより、庶民たちも自由に旅を楽しむことができるようになり、それまで和歌でしか知ることができなかった「歌枕の世界」を実際に見たいと思う旅人が現れました。
第4章「旅と歌枕」では、日本人の旅の原動力となった「歌枕」について紹介。旅と歌枕の関係に迫ります。
実際の風景よりも、その土地を象徴する景色や物によって表されてきた歌枕は、デザイン化されやすい性質を持っていました。そのため、多くの工芸品のデザインにも取り込まれてきました。
重要文化財「小倉山蒔絵硯箱」室町時代 十五世紀 サントリー美術館蔵(展示期間:6月29日~7月25日)
サントリー美術館が所蔵する名品、重要文化財「小倉山蒔絵硯箱」は、京都西部にある歌枕・小倉山を描いたものです。しかし、小倉山を象徴する鹿が描かれておらず、代わりに木々が風に吹かれているようすから、嵐が読まれた嵐山とする説もあるといいます。
どちらの山が描かれているのか、作品をじっくりと観て考えるのも楽しいかもしれません。
本作と「野々宮蒔絵硯箱」(展示期間:7月27日~8月28日)のみ、写真撮影OKとのこと。展覧会の思い出に、撮影してみてはいかがでしょうか。撮影の際は美術館の指示に従ってくださいね。
「まるごといちにち こどもびじゅつかん!」は、サントリー美術館が“こども専用びじゅつかん”になる特別イベントです。
今年は3年ぶりに、展示室やホールで複数の館内プログラムを実施(事前予約制)。さらにオンラインでは、展覧会や日本美術に関連した動画も公開されます。
館内プログラム:2022年8月16日(火)
※事前予約制、8月1日より期間限定ウェブサイトにて予約受付開始
オンラインプログラム:2022年8月1日~8月28日
※8月16日には、美術館からの生配信も予定
期間限定ウェブサイト:suntory.jp/kodomobi2022/
家族で展覧会を楽しめるプログラムにも注目です。
現代では忘れ去られようとしている歌枕の世界を紹介する本展。
毎年暑さが増す夏に涼しい美術館で、かつての日本人が思いを馳せた歌枕の世界を辿ってみてはいかがでしょうか。あなたの知らない心の風景が見えてくるかもしれませんよ。
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
※会期は変更の場合があります。最新情報は美術館公式サイトでご確認ください