芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル/三菱一号館美術館

国芳の弟子・芳幾と芳年。その全貌を個人コレクションで紹介【三菱一号館美術館】

2023年3月2日

芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル/三菱一号館美術館

三菱一号館美術館で、幕末の浮世絵を代表する絵師、歌川国芳の弟子として腕を磨いた落合芳幾(よしいく)と月岡芳年を紹介する展覧会が開催中です。


(左)月岡芳年《ま組火消しの図》赤坂氷川神社蔵
(右)落合芳幾・四代鳥居清忠《吃又》看板絵(芳幾)《文覚》看板絵(四代鳥居清忠)早稲田大学演劇博物館蔵

本展では、浮世絵衰退期である明治を生きた芳幾と芳年の活躍を、貴重な個人コレクションから紹介。浮世絵衰退の時代を自らの力量で抗った二人の姿に迫ります。


国芳門下の二大ライバル!芳幾と芳年

中国の英雄を一人ずつ描いた武者絵シリーズ「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」で大ブレイクし、美人画や戯画、子ども絵など幅広いジャンルで活躍した浮世絵師、歌川国芳。幕末を代表する絵師の一人です。


(左から)歌川国芳《浮世絵よしづくし》/歌川国芳《当世流行見立》いずれも、浅井コレクション

親分気質な国芳の元には、100以上の弟子がいたといいます。
本展では、国芳の弟子の中でも「二大ライバル」として取り上げれることが多い、落合芳幾月岡芳年の二人を紹介します。

国芳の元で互いに腕を磨き、良きライバルとして育った芳幾と芳年。二人は慶応2~3年(1866-67)に、幕末の不穏な風潮を反映させた《英名二十八衆句》を共作で発表しています。

本作は歌舞伎や講談の残酷なシーンを分担して描いた、芳幾と芳年の初期の代表作です。

パッと観ると、一人の絵師が描いたようにも感じる本作。二人の作品の特徴がつかめないと、なかなか見分けるのが難しいと思います。

本展では、キャプションに芳幾の作品には「赤いマーク」、芳年の作品には「青いマーク」がつけて展示しています。
これらのマークは、芳幾と芳年の落款(らっかん)と呼ばれる、作品が完成した際に作者が署名・捺印するものがモチーフになっています。

《英名二十八衆句》の中にも、芳幾と芳年の落款があるので探してみてくださいね。

芳幾と芳年の「肉筆画」にも注目!

これまで芳幾と芳年の画業は、浮世絵版画を中心に紹介されてきました。本展では、芳幾と芳年の珍しい肉筆画も多く出品し、それぞれの特徴を比較します。


(左から)落合芳幾《幽霊画》福岡市博物館蔵/落合芳幾《鳴神上人》早稲田大学演劇博物館蔵
落合芳幾《婦女風俗図》千葉市美術館蔵

浮世絵らしく明快で鮮やかな色彩が特徴とされている芳幾の肉筆画。写真右の《婦女風俗図》は、ぜいたくな彩色が施されており、裕福な依頼主から制作依頼を受けた作品だと考えられています。

《婦女風俗図》は、落款から芳幾が63~65歳の作と推定されているのだそう。晩年に至っても、彼が高い技量を維持していたことがうかがえる貴重な作品です。


(左から)月岡芳年《猩々の山車》赤坂氷川神社蔵/月岡芳年《鍾馗》西井コレクション
月岡芳年《鍾馗図》東京国立博物館蔵

対する芳年の肉筆画は、墨のグラデーションを多用した空気感のある表現が特徴とされています。

芳年は国芳の弟子になる前、江戸後期に栄えた文人画の派閥である「四条派」を学んでいたという説があります。こうして見比べてみると、師匠が同じでも画風が全然違うことが分かりますね。

三菱一号館美術館、長期休館前最後の展覧会です

三菱一号館美術館は本展終了後、2024年秋まで設備入れ替えおよび建物メンテナンスのため長期休館します。

同館は、1894円に丸の内初のオフィスビルとして創建され、その後も老朽化により解体された三菱一号館を可能な限り忠実に復元し、2010年4月6日に「三菱一号館美術館」として開館しました。

本展を含め、40本の展覧会を開催し、東京・丸の内の文化発信拠点として活動してきた三菱一号館美術館。メンテナンス中は、同館のロゴマークを担当したグラフィックデザイナーの服部一成氏のデザインによる大型の仮囲い装飾が設置されます。


(上)南西面/(下)北西面

三菱一号館美術館が所蔵するアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック作品をモチーフに、全28作品をコラージュした大型の仮囲いです。

まるでロートレックが描いた19世紀末のパリの賑わいが、時空を超えて東京・丸の内にやってきたようなデザインですね◎

仮囲い設置期間は、2023年5月中旬から2024年夏ごろまでを予定しています。最新情報などは、三菱一号館美術館公式サイトをご確認ください。

 

長期休館前、最後の展覧会となる「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」展。

同館併設のミュージアムカフェ・バー「Café 1894」とミュージアムショップ「Store 1894」も、長期休館に入ります。「Café 1894」「Store 1894」では、本展にちなんだメニュー、グッズを販売していますよ。


(左上)タイアップランチ:江戸の開化ランチ(コーヒーor紅茶付)2,420円/販売時間11:00~14:00
(右上)タイアップランチデザート:江戸の看板娘 550円/販売時間11:00~14:00
(左下)タイアップランチデザート:抹茶ババロアの「梅やしき」1,280円/販売時間14:00~17:00
(右下)夜のタイアップデザート:ばばろあの洋風あんみつ1,180円/販売時間18:00~23:00
※いずれも、税込価格

また、「#推しカラーコーデででかけよう」というユニークなSNS連動企画も行なっています。

【参加方法】

①芳幾の「赤」、あるいは、芳年の「青」いずれかのカラーコーディネートを取り入れて、来館。

②「#推しカラーコーデ」の該当ツイートをリツイートし、そのリツイート画面を提示する。

①と②を行うと、入館料が100円割になります◎該当ツイートは以下をご覧ください。


※チケット窓口での購入に限ります。
※他の割引との併用は不可。

Exhibition Information

展覧会名
芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル
開催期間
2023年2月25日~4月9日 終了しました
会場
三菱一号館美術館
公式サイト
https://mimt.jp/ex/yoshiyoshi/
注意事項

※展示替えあり(展示替え作品の詳細は後日公開)