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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
モネ 睡蓮のとき/国立西洋美術館
現在、国立西洋美術館で「モネ 睡蓮のとき」が開催されています。
印象派の画家の中でも抜群の知名度と人気を誇るモネ。そのモネの代表作といわれれば、やはり〈睡蓮〉を思い浮かべる方が少なくないでしょう。
本展の中心となるのは、そのタイトルが示すとおりズバリ〈睡蓮〉です。なんと日本では過去最大規模の20点以上の〈睡蓮〉が集うということで、わが家の子どもたちと一緒に行ってきました。
本展は、「セーヌ河から睡蓮の池へ」「水と花々の装飾」「大装飾画への道」「交響する色彩」の4つの章と、エピローグ「さかさまの世界」によって構成されています。
それぞれテーマはありますが、いずれもモネ晩年の制作に焦点をあてたもので、会場全体を通して “光の画家”の集大成を通観できる究極のモネ展となっています。
ちなみに写真撮影は第3章のみ可能となっています。
小学生に配布されるジュニア・パスポートの一部
小学生には入場時にジュニア・パスポートが配られます。パスポートには展示されて作品の紹介や、モネの庭の見取り図などが掲載されており、展示をより深く鑑賞できる内容になっています。
残念ながら大人はもらえませんが、小学3年生の長男もパスポートを片手に楽しそうに会場を回っていました。
ジュニアパスポートはこちら
〈睡蓮〉に囲まれる第3章の空間
「大装飾画」とは、睡蓮の池を描いた巨大なパネルによって楕円形の部屋の壁面を覆うというモネが長年にわたり追い求めた装飾画の計画のことです。
最終的にパリのオランジュリー美術館に設置されましたが、本展ではこの楕円形の部屋を再現した空間が登場します。
それぞれの違う〈睡蓮〉の色彩を楽しむことができる
モネが晩年の10年間以上にわたって追求した装飾画の特徴の一つが、画面の大きさです。この時期の〈睡蓮〉は多くの場合、長辺が2メートルにおよび、1909年までに手掛けられた〈睡蓮〉と比べると面積にして4倍を超えるサイズとなっています。
第3章では、この装飾画である9つの〈睡蓮〉に囲まれる没入的な体験ができ、この展覧会の醍醐味を味わえる空間となっています。
第3章「大装飾画への道」展示風景
近年、技術の進化とともに大画面の没入型デジタルアートなども話題になり、それも素晴らしいことですが、この部屋ではやはり本物の発する力を感じずにはいられませんでした。
会場内に充満する70代の画家の驚嘆すべきエネルギーを是非現場で感じてみてください。
上部が欠損している〈睡蓮、柳の反映〉も展示されている
さて、今回注目すべき展示として、2016年に再発見された旧松方コレクションの〈睡蓮、柳の反映〉があります。同作はモネが生前に唯一売却を認めた4メートル以上の巨大な装飾画ですが、再発見時には上部の大半が欠損していました。
今回、マルモッタン・モネ美術館所蔵の類似した作品と共演して展示されることで、かつての姿に思いを馳せ鑑賞することができました。
最晩年のモネは、悪化の一途をたどる白内障と闘いながら複数の独立した小型連作が手掛けました。それが第4章で紹介されている〈日本の橋〉や〈ばらの小道〉などです。
不確かな視覚を振り払おうとするような荒い筆致と鮮烈な色彩は鬼気迫るものがありました。是非現地でその迫力を感じてみてください。
夜の上野公園に光る看板も美しい
以上、「モネ 睡蓮のとき」のレポートでした。
正直一部しか写真で紹介できないのが悔しいほど、全体を通してみどころが盛りだくさんです。そして本や雑誌、映像媒体やアパレル雑貨など、さまざまな場所で目にするモネの〈睡蓮〉だからこそ、本物のもつ力を改めて感じることのできる展覧会でした。
子どもたちも「筆の太さが違うね」「モネって端っこあんまり塗ってないね」など、本物ならではの気づきを得ていました。芸術の秋、ぜひ国立西洋美術館でモネの光りに浸ってみてください。