塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
特別展「東福寺」/東京国立博物館
東京国立博物館にて、京都を代表する禅寺の一つである「東福寺」を紹介する展覧会が開催中です。
本展では、絵仏師・明兆(みんちょう)による重要文化財「五百羅漢図(ごひゃくらかんず)」現存全幅を修理後初公開するとともに、東福寺の寺宝をまとめて紹介します。
東福寺は、鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家の発願により、開山として円爾(聖一国師)(えんに(しょういちこくし))を招いて創建されました。
その名は、奈良の東大寺と興福寺になぞらえて、その一字ずつをとったことに由来しています。
東福寺伽藍図縁起 江戸時代 17世紀 東福寺
鎌倉時代の東福寺は、禅寺として中国風の七堂伽藍(しちどうがらん)とともに密教の堂舎も兼ね揃え、真言・天台・禅の3つの宗派を総合する他に類を見ない大伽藍でした。
ところで京都の寺院には、それぞれの特徴を表す親しみやすいあだ名があるのはご存知でしょうか。寺院の場合は「○○面(づら)」という俗称が付けられています。
例えば、俵屋宗達が描いた国宝「風神雷神図屛風」を所蔵する建仁寺は、学問や文学に秀でた禅僧を多く輩出したことから「学問面(がくもんづら)」、千利休などの茶人を輩出した大徳寺は「茶面(ちゃづら)」など。
本展で紹介されている東福寺は、圧倒的なスケールを誇る巨大な建造物群を有することから、「東福寺の伽藍面(がらんづら)」とも呼ばれています。
本展は、東福寺を拠点に活動した絵仏師・吉山明兆(きっさんみんちょう)の大作「五百羅漢図」のほか、巨大伽藍に相応しい特大サイズの大仏や書画類など東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の機会となる展覧会です。
吉山明兆は、東福寺を拠点に活躍した絵仏師です。江戸時代までは、多くの水墨画で有名な雪舟とも並び称されるほどに高名な画人でした。
そんな明兆は、東福寺では仏殿の荘厳(*)などを行う殿司職(でんすしょく)を務めたことから「兆殿司(ちょうでんす)」とも呼ばれています。
*荘厳(しょうごん):仏像や仏堂を飾ること、またその装飾具のこと。
東福寺の巨大伽藍にふさわしい巨幅や連幅を手掛けた明兆。彼の代表作として挙げられるのが、修理後初公開となる「五百羅漢図」です。
羅漢は釈迦の弟子で、仏教修行の最高段階に達した人のことを指します。
五百羅漢は、釈迦の入滅後に経典や戒律を編さんするために集まった500人の仏弟子がモデルとして描かれています。
本展では、明兆の代表作である「五百羅漢図」の世界をより分かりやすくするために工夫された解説パネルも、一緒に展示!パネルと照らし合わせながら本図を鑑賞することをオススメです◎
本展では、一部エリアの撮影が可能です。
こちらは、東福寺を代表する観光スポットである「通天橋」を再現した展示です。
通天橋は、境内の渓谷である洗玉澗(せんぎょくかん)にかかる橋で、1380年に春屋妙葩(しゅんおくみょうは)によってかけられたといわれています。
秋の紅葉シーズンには国内外から大勢の観光客が訪れる東福寺の通天橋。近年では、新緑の季節の青モミジも人気なのだそう!
今年のゴールデンウィークは、東福寺の通天橋で美しい新緑を楽しんでみてもいいかもですね◎
大陸との交流を通して花開いた禅宗文化の全容を、東福寺の豊富な寺宝から紹介する本展。
それらの貴重な品から、東福寺が日本の文化にどのように関わってきたかについて、触れることができますよ◎
春の上野エリアでは、本展以外にも数多くの展覧会が開催中です。特別展「東福寺」と合わせて、こちらの展覧会も楽しんでみては?