大阪の日本画/東京ステーションギャラリー

近代大阪で活躍した奇才たちの作品が現代の東京に降臨!【東京ステーションギャラリー】

2023年4月27日

大阪の日本画/東京ステーションギャラリー

江戸時代から続く商人の街であった大阪では、日本画壇は東京や京都とは一線を画す独自の文化が花開きました。

妖艶で退廃的な画風から悪魔派と呼ばれた、当時の大阪の雄・北野恒富(きたの つねとみ)を始めとした、50名の奇才たちの日本画が東京ステーションギャラリーに集結しています!

独自の文化が華開いた大阪の日本画壇

江戸時代から大阪は、商工業が発展した街でした。東京や京都とは一線を画した文化が花開き、「文人画」(中国の水墨画を色濃く影響を受けた画風)、「船場派」(船場界隈を牙城としていた画家たち)の画家たちが活躍する一方、新たな人物画、南画、風俗画が生まれてきます。

本記事では、大阪の日本画壇で目覚ましく活躍した画家たちをご紹介!

近代大阪の美術界を席巻した北野恒富

明治13年石川県金沢市の生まれであった北野恒富。金沢では新聞の版下彫刻を仕事にしていましたが、明治30年に画家を志し大阪へ。画家・稲野年恒の門下生となります。すると新聞小説の挿絵画家として人気を得ました。そして、明治43年に文展(現在の日展)に初入選を果たすと、北野の名は全国に轟きます。

大正時代になると、退廃的で妖艶な画風を確立。世間からは「悪魔派の北野恒富」と呼ばれるようになりました。大正末頃より、関西特有の「はんなり」とした優雅さな特徴を持つ画風に変化します。時代とともに画風を変化させた北野。画業だけでなく「白耀社」という画塾を開き若き才能たちの育成に力を注ぎ、大阪の日本画の発展に貢献しました。


北野恒富《宝恵籠》1931年頃、大阪府立中之島図書館

《宝恵籠》は、北野がはんなり画風の時代に描いた作品です。まだあどけなさが残る舞妓さんの憂いを的確に表現していますよね。

日本画を新しい感覚で描いた天才・中村貞以

北野が創設した画塾「白耀社」出身の中村貞以(なかむら ていい)。明治33年大阪市船場生まれの中村は、幼いころ、手を火傷する悲劇に見舞われます。しかし中村は苦難のなか、手と手の間に筆を挟んで絵を描く手法を編み出しました。

苦しみを抱えながらも、絵画に真摯に向き合うなかで中村は、日本画でありながら、洗練されたモダンテイストな作品を発表します。大阪の日本画に新風を吹きこんだ中村。下記の作品「失題」は、師である北野の画風とは異なり、脇息にもたれかかる女性の目元は、なんとも愛らしさがありますよね。


中村貞以《失題》1921年、大阪中之島美術館

大正14年に母を亡くし、スランプに陥りますが、千代子夫人との結婚を期に創作意欲を取り戻し、昭和9年には画塾「春泥会」を創設。大阪の日本画壇の後進の育成に力を注ぎました。

女性をしなやかに描く魔術師!浪速の上村松園こと島成園

明治25年大阪府堺市生まれの島成園(しま せいえん)。兄も同じく画家の島御風(しま ぎょふう)という芸術一家で育ちます。兄・御風の仕事を手伝いながら、独学で日本画の技法を習得した成園。大正6年には文展に入選を果たしました。


島成園《祭りのよそおい》1913年、大阪中之島美術館

その後、入選常連になると、成園の名は日本中に知られるようになります。京都の上村松園、東京の池田蕉園とともに、「三都の三園」と称されるようになりました。

同性から見た視点で、女性の髪の毛ひとつにしても丁寧に描く成園の画法は、人気を博します。

年齢を重ね、戦後には女性の画家仲間と交流を深め人脈を広げると、近代大阪の美術の発展に貢献。存在感を示していきました。

日本画家である父と幼くして死別した苦労人・菅楯彦

明治11年鳥取県生まれの菅楯彦(すが たてひこ)。菅の父は日本画家でしたが、菅が12歳のときに病に倒れ、菅少年は一家を支える身の上になります。

父が亡くなってからの菅青年は、父のような日本画家になり大成したいと願うようになり、漢学、国学、書法などの教養を学ぶようになりました。

若き日に学んだ教養を活かした《管紘船図》などのほかに、大正末期になると、幼少期の大阪の下町の風景を題材とした「浪速風俗画」を描くようになります。


菅楯彦《赤日浪速人》1955年、大阪中之島美術館(5月14日までの展示)

昭和37年には大阪市で初めてとなる名誉市民賞に選ばれました。

都会の中心にある穴場スポットで日本美に出会う

現在、東京ステーションギャラリー内で開催中の「大阪の日本画」展。丸の内北口改札からすぐという好立地。駅構内にあるため、新幹線の待ち時間にも最適です!

1階エントランス、2階展示室など東京駅創建当時のレンガが活かされた空間は、なかなか趣きがあります。


2階展示室 ©Tokyo Tender Table

日本画独特の落ち着いた風情を感じながらも、明治大正といった当時の大阪の活気も絵から伝わってきました。

都内では初の大規模な大阪の日本画展!ぜひ東京駅にお越しの際は日本美に触れてみませんか。

Exhibition Information

展覧会名
大阪の日本画
開催期間
2023年4月15日~6月11日 終了しました
会場
東京ステーションギャラリー
公式サイト
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
注意事項

※会期中、展示替えをおこないます