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2024年11月1日
三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions/千葉市美術館
日本を代表する彫刻家・三沢厚彦の個展が千葉市美術館で始まりました。
テーマである「多次元(Multi-dimensions)」は千葉市美術館の建築や空間からイメージされた言葉で、彫刻と空間の関係性を追究する三沢氏らしさとこだわりが詰まっています。
作品数約220点と規模が大きく、見応えたっぷりの展覧会です。
三沢厚彦は1961年、京都府に生まれた作家です。
小学生の頃から将来の夢は彫刻家で、東京藝術大学と同大学院の彫刻科を卒業しました。
2000年に、等身大の動物の姿を樟(くすのき)で彫る「ANIMALS」シリーズの制作を始めました。
三沢氏は樟について「木の硬さや彫り味が良い」と話しています。
「ANIMALS」は全国各地で展示され、今までに平塚市美術館やあべのハルカス美術館などでも個展を開催しています。
三沢氏は彫刻を展示する上で、空間の関係性を重視しています。
今回は会場となった千葉市美術館の成り立ちや構造に注目し、展示のイメージを膨らませたそうです。
千葉市美術館の1階に保存されている「さや堂ホール」は、戦前から千葉市の歴史を色濃く残す場であり、市の指定有形文化財となっている建物です。
1927年に川崎銀行千葉支店として建てられ、1971年からは中央地区市民センターとして機能しました。
1995年の美術館建設時に新しい建物で覆うように保存され、クラシカルで重厚な雰囲気が魅力です。
天井が高く、窓から外光の差す開放的な空間には、神秘的なペガサスの姿が似合います。
三沢厚彦《Animal 2010-03》 2010年 三沢厚彦氏蔵
また、展覧会のテーマとなった「多次元(Multi-dimensions)」は、三沢氏が下見とリサーチのために千葉市美術館を訪れて思いついたキーワードの1つです。
多次元を表す試みとして、今回は企画展示室だけではなく「びじゅつライブラリー(図書室)」や屋外にも作品が置かれています。
(左)三沢厚彦《彫刻家の棚(彫刻家へのオマージュ)》1993年 三沢厚彦氏蔵
(右)三沢厚彦《彫刻家の棚(画家へのオマージュ)》1993年 三沢厚彦氏蔵
三沢厚彦《Animal 2013-B》2018年 三沢厚彦氏蔵
本展は8階で「ANIMALS」、7階で1990年代から近年までの多様な作品を展示する構成となっています。
8階では代表作でもある「クマ」をはじめ、さまざまな動物たちに出会えます。
クマの中には「スピリットベア」のように神聖な対象として表現されたものもあり、動物の多面的な要素に気付かされます。
(左)三沢厚彦《Animal 2017-02》2017年 三沢厚彦氏蔵
(中央)三沢厚彦《Animal 2011-01》2011年 三沢厚彦氏蔵
(右)三沢厚彦《Animal 2011-03》2011年 三沢厚彦氏蔵
三沢厚彦《Animal 2017-03》2017年 三沢厚彦氏蔵
1994年から1999年にかけて制作された「コロイドトンプ」シリーズは、台風が過ぎ去ったある日の海岸で、流木を見つけて着想を得たといいます。
また、コロナ禍で制作された「Strut」シリーズもミクストメディアの彫刻であり、木彫とは異なる表現を堪能できる作品です。
三沢厚彦《コロイドトンプ(ヒトウマ)》1998年 三沢厚彦氏蔵
三沢厚彦《Strut 2020(15点)》 2020年 三沢厚彦氏蔵
よく観ると、展示室の隅や天井近くの壁にも作品があります。意外なところに潜む動物たちをお見逃しなく。
特に、5階の常設展示室にある2作品はとても小さいので、よく探してみましょう!
三沢厚彦《Animal 2016-01》 2016年 三沢厚彦氏蔵
(左)三沢厚彦《Animal 2014-01》 2014年 三沢厚彦氏蔵
(中央)三沢厚彦《春の祭典》 2016年 三沢厚彦氏蔵/
(中央)三沢厚彦《Animal 2015-06》 2015年 三沢厚彦氏蔵
(右)三沢厚彦《Animal 2005-05》 2005年 三沢厚彦氏蔵
三沢厚彦《Animal 2013-01》 2013年 三沢厚彦氏蔵
7階の最後の部屋では、キメラが初公開されています。
キメラや麒麟(きりん)、フェニックスなど空想上の生物は、近年で作家が注力して制作しているものです。
照明を落とした空間でデジタルな明かりが星のように瞬き、宇宙のような非現実感や無限の創造性を感じられます。
三沢厚彦《Animal 2020-03》2020年 三沢厚彦氏蔵
本展では、会期中に三沢氏が滞在制作を行う部屋を設け、「中庭部屋」と名付けています。
千葉市美術館の建築家である大谷幸夫氏の「住宅を設計する際には中庭から考える」という設計思想に基づくもので、制作の他には作品の補修やライブなど、さまざまな計画がなされています。
制作中の彫刻を見られるのはとても貴重!かすかに削りたての樟の香りを感じられます。
中庭の制作風景
(手前)三沢厚彦《Animal 2018-01》 2018年 三沢厚彦氏蔵
(奥)三沢厚彦《Painting 2018-38》 2018年 三沢厚彦氏蔵
今回の企画展に合わせて、「ANIMALS」のフィギュアシリーズ第2弾となる「トラ」がミュージアムショップで先行販売されます。
海洋堂から発売されている人気商品で、ゴールドは日本限定、ピンクは中国限定です。
[海洋堂] 三沢敦彦 ANIMALS トラ 29,700円(税込)
動物の愛らしさはもちろんのこと、大型のワニやサメからは恐ろしさも感じられます。
ポップ、偶像、聖性、親しみやすさ、そして自然の雄大さと脅威——「ANIMALS」および三沢氏の作品は、さまざまなイメージの宝庫とも言えるでしょう。
会期中は併設カフェやレストランとのコラボもあり、お食事も一緒に楽しめます。
図書館は子供向けの書籍が充実しているので、ファミリー層にもおすすめです。
ターミナル駅である千葉駅からアクセスしやすい立地!ぜひ足を運んでみましょう。
三沢厚彦《Animal 2016-01》 2016年 三沢厚彦氏蔵