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2024年11月1日
「おまけ」と「ふろく」展/神奈川近代文学館
神奈川近代文学館 外観
神奈川近代文学館は、神奈川県ゆかりの文学を中心に、日本近代文学に関するさまざまな資料や図書・雑誌を収集、保存・公開する日本近代文学専門の博物館、専門図書館です。
会場風景
同館では現在、お菓子や雑誌の販売促進に大きな役割を果たした「おまけ」と「ふろく」にフィーチャーした展覧会が開催中です。
本展では、子どもにとって身近でささやかな宝物である、お菓子のおまけや雑誌のふろくなど約400点を展示。
おまけやふろくを通して、少年少女を取りまく世相の移り変わりをたどります。
「おまけ」と聞いて真っ先に想像するのは、食べ物についてくるおもちゃではないでしょうか。
お母さんやお父さんと一緒にスーパーへ行き、お菓子コーナーのおまけ付きお菓子をおねだりしたり、または、ファストフード店でおもちゃ付きのセットを買ってもらったり。
おまけは、いつの時代の子どもたちにとって小さな宝物でした。
会場風景
お菓子のおまけは、1922年に江崎商店(現・江崎グリコ)から発売されたキャラメル「栄養菓子グリコ」によって広く定着しました。
当時のキャラメル市場は、森永製菓と東京菓子(現・明治)の2社がシェアを占めていました。
江崎グリコの創業者・江崎利一は「栄養菓子グリコ」を売るため、広告や販売方法に工夫を重ね、おまけを付けることを思いつきます。
会場風景
現代でも、子どもたちの他、多くのコレクターにも愛されている「グリコのおもちゃ」は、これまでに、なんと約3万種類、約55億個も開発されているのだそう!
グリコのおまけ(北原照久氏蔵)
本展では、時代ごとに進化するグリコのおもちゃの歴史も辿ることができますよ。
展示室最後に、ずらりと展示されている戦後のおもちゃは圧巻!それぞれ、細かなところにこだわりがあって、実際に集めてみたくなります。
終戦後の数年間も、社会の混乱と不況が続き、食料などあらゆる物資が統制下に置かれていました。
1949年に水あめの統制撤廃以降、100社を超える企業がキャラメル製造に参入します。
大手製菓会社よりも安く、目新しいおまけを採用したカバヤキャラメル(カバヤ販売、現・カバヤ食品)が、爆発的に売り上げを伸ばしました。
会場風景
カバヤキャラメルのおまけは、世界の名作文学を収録した『カバヤ児童文庫』(通称・カバヤ文庫)で、活字に飢えた戦後の子どもたちにとって、最高の娯楽品でした。
本展では、神奈川近代文学館が所蔵するカバヤ文庫全131冊を、一堂に展示します。
現在70~80代の方は、とても懐かしく感じるのではないでしょうか。
お孫さんを連れて、当時、一生懸命キャラメルを食べて集めたカバヤ文庫を見ながら展示を楽しんでみては?
ちなみに岡山県立図書館のデジタル岡山大百科では、カバヤ文庫をインターネット上で読むことが可能です!
気になる方は「カバヤ児童文庫」と入力し、検索してみてくださいね。
デジタル岡山大百科:http://digioka.libnet.pref.okayama.jp/
印刷技術の向上や運送規定の制限の緩和などにより、ふろくはそれぞれの雑誌の個性を表すものとなりました。
本展では、個性的なふろくも紹介しています。
東京タワー(小学館蔵)
中でもスフマート編集部が驚いたふろくはこちら。
1968年9月に刊行された『小学二年生』(小学館)の東京タワーです。
サイズは150センチと大型の紙製ふろくである本作。当時の子どもたちは、この大きなふろくを組み立てていたということですよね。
手先の器用さに脱帽です!
神奈川県は、夏目漱石や芥川龍之介、太宰治など、日本の近代文学史に欠かせない作家たちと深いゆかりのある県です。
常設展示室では現在、「常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち」第1部 夏目漱石から萩原朔太郎まで」が開催中です(会期:2023年9月24日まで)。
会場風景
本展では、明治維新から関東大震災までの時代を代表する夏目漱石から萩原朔太郎まで、10人の作家を取り上げて紹介します。
企画展示を楽しんだあとは、神奈川県ゆかりの文豪についても学んでみましょう。
会場風景
子どもたちにとって大切な宝物である「おまけ」と「ふろく」を紹介する本展。
展示されているすごろくや組立おもちゃ作りが楽しめる「かなぶんひろば」も会期中、開館日は毎日開催しています。
「かなぶんひろば」 参加無料(要展示観覧料)・申し込不要
また、神奈川近代文学館に2023年4月20日に新しくオープンした鮨喫茶「すすす」では、文学をテーマにした料理を楽しむことができます。
鮨喫茶「すすす」
港の見える丘公園の豊かな自然を眺めながら、鮨喫茶「すすす」でゆったりくつろいでみては?
メニュー詳細などは、鮨喫茶「すすす」公式Instagramをご確認ください。