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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
装飾の庭/東京都庭園美術館
(左から)ルネ・ラリック 立像《噴水の泉 ガラテ》/ルネ・ラリック 立像《噴水の泉 カリプソ》
ルネ・ラリック 立像《噴水の泉 ダフネ》/ルネ・ラリック 立像《噴水の泉 ティルフューズ》
いずれも、1924年頃 大村美術館(秋田・角館)
東京都庭園美術館は、2023年10月1日に開館40周年を迎えました。
同館では現在「装飾の庭 朝香宮邸とアール・デコと庭園芸術」が、開催中です。
本展では、「庭園」をキーワードに東京都庭園美術館の建築や空間を読み解くと共に、第一次・第二次世界大戦間期のフランスの近代庭園を巡る動向を、約120点の作品で紹介します。
アール・デコ時代の「庭園芸術」を特集する日本では初となる「装飾の庭」展。ここでは、本展の見どころを紹介していきます。
東京都庭園美術館の前身である朝香宮邸は、1933年に東京・白金の御料地の一部に竣工しました。
広々とした芝生が広がり、日本庭園、盆栽、花卉園(かきえん)が備わった約一万坪の敷地の庭園。そこには、鶴や孔雀などの動物たちが自由に歩いたのだそう。今考えると、とてもエキゾチックな空間ですよね。
アンリ・ラパン 壁面(小客室) 1933年
朝香宮邸内の主要客室の装飾画は、装飾芸術家アンリ・ラパン(1873-1939)によって描かれたものです。
こちらは、小客室の壁面です。
小客室とは、来客にくつろいでもらうための空間のこと。同室の壁面には、カンヴァス地に油彩で森の風景が描かれています。
描かれているモチーフをよく見ていくと、滝や湖、小川などの水の描写に銀彩が使われており、水が高所から低地へと流れていくさまが表されているように感じられます。
アンリ・ラパン 壁面装飾パネル(大客室) 1933年
こうした水の流れは、小客室からはじまり、次室や大客室、大食堂にも同様に見られるのだそう。
ラパンによって描かれたこの一連の装飾画は、朝香宮邸のコンセプトをひも解く鍵であり、同時に当時のフランスにおける庭園芸術を知ることができる重要な資料とされています。
大食堂
ウインターガーデン
「Winter Garden(ウインターガーデン)」とは元々、冬の寒さが厳しい北欧や北米において、冬季の植物の生育の場として発展した室内庭園のことを指します。
東京都庭園美術館 本館の最上部に設けられたウインターガーデンには、室内の至るところにアール・デコの意匠がちりばめられています。
黒と白の市松模様の大理石とドイツ製の鋼管家具との取り合わせが印象的な東京都庭園美術館のウインターガーデン。
本展では、モダンかつ魅力的なこの空間の用途本来の魅力を引き出すために、イミテーショングリーンを用いて、特別な空間演出をしています。
こちらもお見逃しなく。
新館では、1910年から1930年代のフランスにおける「庭園」をめぐる動向について紹介しています。
フランスの庭園と言えば、ヴェルサイユ宮殿の庭を思い出す方が多いのではないでしょうか。
ヴェルサイユ宮殿の庭の様式は整形式庭園と言い、これはルイ14世の絶対王政下に造園家ル・ノートルによって確立された、幾何学的な図形を主として構成される庭園様式を指します。
17世紀に完成した同様式は、欧州の庭園を席巻します。しかし、その反動としてもたらされたイギリス風景式庭園に取って代わられ、多数のフランス庭園が風景式へと改造されました。
それに対抗するようにフランスでは、新しい庭園の造形、理念の構築がなされます。
造園家のアンドレ&ポール・ヴァラ兄弟は、1910年代に意欲的な著書を通じて、この動向の中心をなしました。
展示風景
こうした動きを背景に開催された1925年のアール・デコ博覧会は、庭園を装飾芸術の一分野として捉え、5つあるカテゴリーのひとつとして掲げられた初めての国際博覧会でした。
展示風景
実験的かつ独創的な庭園が多数発表された1925年のアール・デコ博覧会。
その後、1930年代以降の博覧会では、庭園の社会的な利用・経済的な効果の探求に関心が置かれました。
本展では、そうした「庭園芸術」の発展の軌跡をさまざまな作家の作例を通して紹介します。
「庭園」をキーワードに、東京都庭園美術館の建築や空間を読み解き、また戦間期のフランスのアール・デコの動向を紹介する本展。
本展で「庭園芸術」の魅力への理解を深めた後は、敷地内の庭園をゆったりと歩いてみてはいかがでしょうか。
展覧会を観た後だと、きっと新しい発見があるかもしれません。
なお、本展は日時指定予約制を導入しています。