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2024年11月1日
ちひろ美術館セレクション 2010→2021 日本の絵本展/ちひろ美術館・東京
こんにちは。日々子連れで楽しめる美術館や展覧会を探求しているSfumart読者レビュアーのかとうあつしです。
今回は東京都練馬区にあるちひろ美術館・東京で開催中の企画展「ちひろ美術館セレクション 2010⇒2021 日本の絵本展」ならびに「いわさきちひろ やさしさと美しさと」に1歳、4歳、8歳の子どもたちと一緒に家族で行ってきましたのでそのようすをレビューしたいと思います。
ちひろ美術館・東京は1997年に開館した世界で初めての絵本美術館で、いわさきちひろが最後の22年間を過ごし、数々の作品を生み出した自宅兼アトリエ跡に建てられています。
いわさきちひろといえば「子ども」を生涯のテーマにし、絵本や教科書など子どものための本にたくさんの絵を描いた画家で、水をたっぷり使ってにじみやぼかしといった水彩技法で描かれるやわらかなタッチの子どもたちの絵は、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
それではさっそく緑豊かな中庭を横目に館内に入ります。
入館時には、小学生を対象に「子どもガイド」をもらうことができます。
表紙のちひろの絵が美しいこのガイドは、美術館の概要がわかりやすく説明されている他、美術館でのおやくそくや、いわさきちひろクイズなど、子どもたちが美術館を楽しむための工夫が施されており、子どもたちが人生で初めて訪れる「ファーストミュージアム」として親しんでいただきたいという館の想いを強く感じました。
展示室は4つあり、今回は展示室1と2が「ちひろ美術館セレクション 2010⇒2021 日本の絵本展」、展示室3と4が「いわさきちひろ やさしさと美しさと」となっています。
残念ながら展示室は撮影禁止のため写真はありませんが、それぞれに実際に手に取れる絵本が設置されており、子どもたちは原画を見ながら気になった絵本を持ってきては「これ読んで-」と楽しそうでした。
特に日本の絵本展の方は、子どもたちもよく知っているヨシタケシンスケやtupera tupera、荒井良二などの作品も紹介されており親しみ深く展示を眺めていました。
私自身初めて知る作家さんも多く、2010年以後の時代を代表する作家たちの絵本を一気に眺めることのできる贅沢な展示空間でした。
また、展示室3に併設されている「ちひろのアトリエ」もみどころの一つです。
1972年頃のようすを復元したもののようで、左利きだったちひろの手元が暗くならないような向きに設けられていた机の上には画材などが置かれ、画家の部屋を見たことない子どもたちは興味津々でした。
2階のガラスの通路に設置された椅子に座り、窓の外の「ちひろの庭」を眺めながらひと休み。
疲れたとき座れる場所が多いのも子連れには嬉しいポイントです。
さて、展示室以外でもちひろ美術館には絵本の世界に触れられる場所がいくつもあります。その一つが2階にある「図書室」。
ちひろ美術館・東京が選んだ国内外の絵本約2000冊をはじめ、ちひろに関する本、ちひろが生きた時代を知る本、子どもの幸せや平和に関する本が配架されています。
息子は好きな作家の読んだことのない絵本を発見し、その場で読んでいました。親も昔親しんだ絵本を見つけるとテンションが上がります。
企画展で紹介されている絵本も置かれているので、展示を見た後にここでゆっくり読むのもいいですね。
一歳児でも手の届く場所に本があり、一貫して子どもに優しい美術館です。小さな椅子に座れて満足そうです。
さらに「こどものへや」といわれるくつを脱いで入る部屋もあります。
赤ちゃんや小さい子どものための部屋で、明るい日差しが入る部屋で赤ちゃんを寝かせて遊べるプレイマットや、木や布のおもちゃ、子ども向けの絵本が置いてあり、子どもたちがのんびり過ごすことができます。
授乳室があるのも赤ちゃん連れには嬉しいですね。
こどものへやにある変な顔になるボードに釘付けの子どもたち。靴を脱ぐプレイルームがあると子どもたちも気分転換できて良いですね。
ミュージアムショップでは、ちひろのグッズはもちろん、美術館が選んだ絵本やおもちゃ、画材が並んでいます。定番の絵はがきから、Tシャツなどのアパレル用品、お弁当箱やお菓子までちひろファンにはたまらない充実のラインナップでした。
紹介した以外にも「ちひろの庭」や「絵本カフェ」などがあり、緑豊かな中庭に出て過ごすこともできるようでしたが、この日は雨のため断念。
ただ雨だからこそ、緑に囲まれた館内でしずかに雨の音に耳を傾けながら、作品をみたり絵本を読んだりと心地よく過ごすことができました。
これも見るものの心を穏やかで優しい気持ちにさせてくれるちひろの絵の力かもしれません。ちひろ美術館・東京、雨もまた良きです。
以上、今回訪問したちひろ美術館・東京は、展示室も子どもが歩いて回るのにちょうど良いスケールで、かつ館内随所に子どもたちが遊んだり休んだりすることができる場所が設置されていて、大人も子どももゆっくりとちひろの作品や世界の絵本を楽しむことができる子連れに優しい美術館でした。