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2024年11月1日
「心のレンズ」展/WHAT MUSEUM
東京・天王洲アイルにあるWHAT MUSEUMで、TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展が開催されています。
美術品の保管などのビジネスを展開する寺田倉庫が、作家やコレクターから預かるアート作品を公開するこちらのミュージアム。「現代アート」と「家具」の個人コレクションをあわせて展示する本展をご紹介します。
「TAKEUCHI COLLECTION」は、「ビズリーチ」などの事業で知られるビジョナル株式会社の取締役CTOである竹内真氏によるコレクション。約5年間に収集されたものです。
TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展 展示風景
そのコレクションの特徴は、「現代アート」と「家具」から構成されていること。本展では、抽象画を中心とした現代アート作品と、家具のコレクションを、独創的な方法で展示しています。
会場に入ると、はじめに3つの作品が私たちを迎えてくれます。1作品目は、晩年パブロ・ピカソによる版画作品。5年前にこの作品をインターネットのオークションで購入したのがきっかけでコレクションがスタートした記念的な作品です。
《nothing (man)》/ 大久保紗也 (2018)
© Saya Okubo, courtesy of the artist and WAITINGROOM
続いて、新作として初めて購入した大久保紗也の作品。それから、アーティストの思考に強く共感して購入したという神楽岡久美の作品です。
《Extended Finder No, 02》/ 神楽岡久美 (2022)
© 2023 KUMI KAGURAOKA. All rights reserved
作品をコレクションする際、竹内氏は直感的に「いいな」と思う作品を購入しているのだそう。共感や、自身の考え方とリンクした作品に魅力を感じ、それを収集するというコレクションの特徴が反映された3作品です。
「現代アート」の作品では、抽象画を中心に展示しています。
特にSPACE3の展示室には、大判の抽象画が並びます。特に目を引くのは、今回の展示で最大のサイズとなる、ポーランドのアーティスト ヴィルヘルム・サスナルによる油彩画。自身で撮影した写真などをもとに、そのイメージを単純化・抽象化した作品を制作しています。
《untitled》/ ヴィルヘルム・サスナル (2022)
Wilhelm Sasnal, Untitled, 2022, oil on canvas, 228.6 x 302.3cm ©Wilhelm Sasnal, courtesy Sadie Coles HQ, London
手前のシャルロット・ペリアンのローベンチに腰掛けてゆったりと作品を楽しむことができます
また、別の展示室では、絵の具をスキージ(へらのようなツール)で動かして制作したゲルハルト・リヒターによる赤い画面が印象的な作品と、イヴ・クラインによる、”クラインブルー”の色彩の画面が印象的な2作品が並べて展示されています。
左から 《Untitled Blue Monochrome (IKB 317)》/ イヴ・クライン、《14.2.88》/ ゲルハルト・リヒター © Gerhard Richter、《トライアングル ローテーブル》《Xレッグアームチェア》/ ピエール・ジャンヌレ
リヒターといえば、昨年、東京で開催された大規模な回顧展が記憶に新しいですが、竹内氏もまさにその回顧展で「抽象でありながらも、その中に景色が見える」と衝撃を受け、その衝撃を留めておくために購入したのだそうです。
最後の展示室には、加藤泉、小西紀行、掛井五郎という3名のアーティストの、具象にも抽象にも見える作品が展示されています。具象と抽象の中間的な表現であるため、作品の中に人間の存在感を感じつつも、観る人やその時の気持ちによって見え方が変わってくるような作品です。
左から 《untitled》/ 加藤泉 (2019)、《untitled》/加藤泉(2019)、《PYRO》/加藤泉(2020)
© 2019 Izumi KatoCourtesy of the Artist and Perrotin
抽象画を多くコレクションする理由について、竹内氏は、「抽象的なもののほうが頭を強制的に動かされたり、考えさせられるというようなことが多い」ためと述べています。抽象だからこそ、描かれているものに想像を巡らせたり、作家が観ているものや、同じ作品を観て他の人が感じることにも想像を巡らせられるんですね。
また、コレクションのもうひとつの核となるのは「家具」です。「現代アートがある空間に家具があると、現代アートとの距離を近づけてくれる」のだそう。
《フローティングバックチェア》/ ピエール・ジャンヌレ
座面の高さや奥行きなど、個体ごとに異なる個性を持った椅子は、360度からそのかたちを楽しめるよう吊って展示されています
SPACE4の展示室では、コレクションの家具で書斎の空間を表現。ル・コルビュジェ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン、ジャン・プルーヴェと、同時代に活躍した4名の作家による家具がコラボレーションした空間になっています。
TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展 4名の作家の家具がコラボレーションした展示風景
その壁面や棚には、リー・キットによる写真作品や、フランシス・アリスによる油彩作品など、小さな作品を複数展示。気に入った作品たちを身近に感じながら生活するような感覚を想像しやすい展示になっています。
《Portfolio》/ リー・キット (2020)
Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts
コレクションの家具は、生活の中でも実際に使用しているそうで、今回の展覧会では、一部の椅子などに座ることもできます。例えば、ジャコメッティが椅子をモチーフに描いた絵画の前には、シャルロット・ペリアンのテーブルとスツールが置かれ、腰掛けてゆったりと作品を楽しむことも。コレクターのおうちを訪問した気分で、ゆったりと鑑賞できますね。
奥《スタジオの椅子 (表面) / サドルの上の彫刻とスタジオの椅子 (裏面)》/ アルベルト・ジャコメッティ (1961-1962)、手前《レ・ザイク用パイン・スツール》《レ・ザイク用パイン・丸テーブル》/ シャルロット・ペリアン
展覧会のタイトル「心のレンズ」は、竹内氏による言葉。それは、抽象的な絵画を描くアーティストたちが、自分たちと同じ世界を観ているのにも関わらず、彼らの”心のレンズ”を通した結果、なぜこのような作品が生まれるのか?と、彼らの世界の見方について想像したところからだそう。
竹内真氏
展覧会で同じ抽象画の作品を観ても、観る人によってその観え方は異なるかもしれません。自分の、アーティストの、そして自分以外の人の”心のレンズ”に想像力を働かせることで、作品から感じられることがより豊かになりそうです。
TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展 展示風景
抽象画を観るのはやや難しい印象もありますが、無料の音声ガイドの解説を聞きながら、その作品の意味や描かれた背景、アーティストの考えていることを想像する楽しみを感じられる展覧会です。
心地の良い家具に囲まれた空間で、アーティストの”心のレンズ”を想像してみませんか。
TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展は、2024年2月25日 (日) まで、天王洲のWHAT MUSEUMで開催されています。