【秋の特別展】 おまもりとハンコとコイン/古代オリエント博物館

小さすぎる工芸品!おまもり、ハンコ、コインから古代の人びとの生活を読み解く【古代オリエント博物館】

2023年10月21日

【秋の特別展】 おまもりとハンコとコイン -古代オリエントの偉大なる小さきものたち-/古代オリエント博物館

古代オリエント博物館にて、秋の特別展が好評開催中です。

本展では、古代エジプトのおまもり、メソポタミアのハンコ、そして古代オリエントに生まれたコインなど、小さな工芸品を展示するとともに、その時代の人びとの生活や政治、宗教、経済などについても迫ります。

いつの時代も願いは同じ?小さなおまもりがいっぱい

毎日を平和に、健康に。家族と仲良く豊かに暮らせますように。いつの時代も、人びとの願いって変わらないのではないでしょうか。

本展では、古代エジプトや古代メソポタミアに人びとが想いをこめて作った小さなおまもりを紹介します。

人びとは、おまもりを身に着けて持ち歩いたり(今もお守りを身に着けること、ありますよね)、お墓に副葬することでご利益にあずかろうとしました。

古代エジプトのおまもりはスカラベと呼ばれ、これはタカオコシコガネという昆虫が語源になっています。

展示室には初公開のスカラベも。とっても小さいのでじっくり観察してくださいね。ガラスケースにぶつからないようにご注意!

おまもりからハンコへ。交易でも活躍した!

今から約8000年前、古代メソポタミアではハンコが使われ始めました。

当時のハンコは、粘土や石膏におして使われていました。たとえば、交易品を輸送するときや倉庫を管理するとき、荷物をまとめた結び目を粘土で多い、柔らかいうちにハンコをおします。

こうすることで、粘土が乾いて固まったとき、その粘土を割らなければ開封できない、という工夫がなされていました。

展示室には、動物の形などをしたスタンプ印章、赤や白のきれいな石に彫り込んだペルシアのハンコなど、さまざまな時代、地域のハンコがずらり。

お守りの役割を持つハンコもあったのだとか。ハンコには小さな穴が空いていることが多く、ぶら下げて使ったりしたそうですよ!

実用性のある工芸品“コイン”

コインは、現在も使われるモノの価値を示す金属でできた通貨です。ひとつひとつに刻印がされており、実用的な工芸品ともいえますよね。

金、銀、銅などで作られたコインは、金属の純度や重量を保証した印が刻印され、流通しました。

細かいさまざまな情報が刻まれたコインからは、当時信奉されていた神や、政治、文字、美術表現などを読み取ることができます。

まだまだある!小さいものたち

おまもり、ハンコ、コインの他にも、古代に活躍した小さいものたちも紹介。

たとえば、貴重品を軽量するのに欠かせなかった「分銅」、

こちらはパルミラと呼ばれるシリア砂漠のオアシス都市で使われた粘土製品です。

パルミラは、神殿で開かれる宗教行事へのぬゆ条件や、特定市民への食糧やぶどう酒配布の引換券などに使われてたと考えられています。刻印されているのは、当時の人びとであればすぐ理解できる神々のモチーフだそう。

 

展示室に並ぶのは、どれも小さい小さい工芸品ですが、当時の文化や美意識、人びとの生活までをも現代に伝えてくれています。

人びとはどんな思いを持っていたのか?どんなものをきれいだと思って暮らしていたのか?

この秋は古代オリエント博物館で、古代オリエントの世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

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