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2024年11月1日
35周年記念 かいけつゾロリ大冒険展/宝塚市立文化芸術センター
宝塚市立文化芸術センターで、「35周年記念 かいけつゾロリ大冒険展」を開催中です。
子どもに大人気の児童書『かいけつゾロリ』シリーズをご存じでしょうか?
35年の間に2回のペースで作られ続けて、今や74巻目に突入する『かいけつゾロリ』シリーズ。
驚くべきは70巻を超えてもなお、人気が衰えるどころか、ますます人気が増しているところです。
今もなお、面白い作品が作られ続けているのはなぜなのか?その秘密を探りに行ってきました。
第1巻『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』(1987年)手書原稿
『かいけつゾロリ』は、もともと『ほうれんそうマン』シリーズ(著:みづしま志穂)の中に登場する悪役でした。
『ほうれんそうマン』シリーズがいったん休止になるという時に、挿絵を担当していた原ゆたか先生は、著者のみづしま先生の了承を得て、悪役のゾロリを主人公にした本を作り始めます。
記念すべき第1巻『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』が出版されたのが1987年。それ以降、年2回のペースで出版し続けます。
71巻目に達した2022年7月に、原ゆたか先生が「同一作者によって物語とイラストが執筆された単一児童書シリーズの最多巻数」として、ギネス世界記録™に認定されました。
原ゆたか先生
原ゆたか先生が一番心がけていることは、大人が子どもに読ませたい本を作るのではなく、子どもの自分が読みたい本を作るということなんだそうです。
小学校のとき原ゆたか先生は、友だちにいつも漫画を作って見せていたらしいんですね。
そして、今なお、その頃の感覚のままに『かいけつゾロリ』の本を作り続けているというのです。
大人が読ませたい本と、子どもが読みたい本は違います。
大人が読ませたいのはやっぱり、ためになる本ですよね。勉強ができるようになる本とか、知識を得る本とか、文学と言われるような名作といったところでしょうか。
でも、子どもが読みたいのは「面白くてゲラゲラ笑える本」です。
原ゆたか先生は、それをちゃんとわかっていらっしゃるからこそ、徹底した子ども目線で『かいけつゾロリ』シリーズを作り続けているのでしょう。
それが35年もの長い間、子どもたちを夢中にさせ続けてきた『かいけつゾロリ』シリーズを生み出す、一番大きな理由かなと思います。
『かいけつゾロリ』シリーズは、その時代に流行ったものなども反映されています。
それもまた、その時代の子どもたちを面白がらせた理由の一つかもしれません。
例えば、33巻目の『かいけつゾロリのようかい大リーグ』。
この本が出版された2003年は、野茂英雄投手がメジャーリーグで大活躍し、ジブリの「もののけ姫」が公開された年でもあありました。
そこで原ゆたか先生は、野茂投手ともののけ姫をかけた「のものけ」という妖怪のピッチャーを生み出しました。
「のものけ」のほか、『かいけつゾロリのようかい大リーグ』には「王ダコ」や「首長島」、「ゴジ松」、「いちろう」などの野球選手が登場します。
第33巻『かいけつゾロリのようかい大リーグ』(2003年)手書原稿
誰がモデルになっているか、みなさんわかりますよね?
今回の展覧会では、原ゆたか先生のアトリエが再現されています。
原ゆたか先生のアトリエ
原ゆたか先生が創作の時に使うカードファイルやスケッチ集なども合わせて展示。
創作の秘密を知りたい方は必見ですよ。
カードファイル(物語構成用)
スケッチ集
35年間、子どもたちを面白がらせる本を作り続けて来た秘密はこんなところにあるのか・・・と、思わず見入ってしまうと思います。
長年子どもたちを笑顔にしてきた原ゆたか先生の展覧会ですから、もちろん、面白い仕掛けがいっぱいです。
例えば、いたずらのてんさいゾロリが、牢屋から脱走する物語描いた15巻目の『かいけつゾロリつかまる!!』のフォトスポットなど。
子どもたちと一緒に訪れて、ぜひ、写真を撮ってみては?
また展覧会開催期間中のみ、1階にて『かいけつゾロリ』のタオルやコップなどのオリジナルグッズが販売されています。
ファンの方はこちらも要チェックですよ。
展示会場を出たところには、原ゆたか先生へのメッセージや、ゾロリへ向けた手紙を書くスケッチブックが用意されています。
『かいけつゾロリ』ファンの親子はぜひ、このスケッチブックに、原ゆたか先生やゾロリにメッセージを書いてみてはいかがでしょう?
今の時代はテレビや映画、ゲームなど楽しい娯楽がいっぱいあります。
そんな時代に、子どもたちはどうしたってなかなか本は読みません。それなのに『かいけつゾロリ』シリーズは、子どもが進んで手を伸ばして読みたがるのです。
驚異的な魅力を持つ『かいけつゾロリ』シリーズの秘密が詰まった展覧会に、ぜひ、足をお運び下さい。
子どもと一緒に訪れても楽しめると思いますよ!