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2024年11月1日
GOMA ひかりの世界/GYRE GALLERY
こんにちは!
美術館巡りが趣味のかおりです。
今回は表参道にあるスタイリッシュなファッションビルGYRE(ジャイル)のなかにあるギャラリー「GYRE GALLERY」で開催の「GOMA ひかりの世界」展へ伺ってきました。
シンプルな空間のなかで、生と死のはざまにあるひかりの世界をゆったりとたゆたう不思議な体験ができました。
本展は、アーティストGOMAの個展です。
GOMA氏は、オーストラリアの先住民であるアボリジナルの伝統楽器「ディジュリドゥ」の演奏家として活躍されていました。
しかし、2009年交通事故に遭い高次脳機能障害により活動休止を余儀なくされます。
一方で、この事故をきっかけに緻密な点描画を描き始めるようになりました。
現在では画業をはじめ、映画出演や作曲、アートと、幅広く活躍されています。
彼の描くひかりの世界は、交通事故の後遺症で何度も意識を失ったときにみた世界なのです。
いわゆる臨死体験をしたことのある人はなかなかいないと思いますが、この展覧会を通していつか辿り着く世界を覗き見してみることができます。
いったいどんな世界なのでしょうか。
入り口から入ってまず現れるのが、真っ白なひかりの世界。
目に眩しくもやわらかい白のひかりが表現された作品の数々が、正面のひときわ大きな作品を中心に視界いっぱいに展示されます。
近づいて見てみると、描かれた線には凹凸があり、きらきら光っています。
スノーボードで雪山を滑走するときにときおりあらわれる、平衡感覚を失うような、起きていない耳鳴りを感じさせるような、そんな白。
ざらざらとした表面の様子もあり、《ひかりの珊瑚》というタイトルはまさにそれ。
GOMA氏によると、この真っ白な世界は、生の世界からいちばん遠く、死に近い場所の景色だといいます。
白という色もないようなまばゆい発光体の世界。
臨死体験を研究している人は、国籍や性別、年齢を問わず、臨死体験中に同じような光景を目にしたと言うそうです。
次のフロアに行くと、白だけではなく、色のついた世界が広がります。
色がある世界は、より現世に近いのだそうです。
中央にある青と白の作品が目を惹きます。
左の波打ったような白い円は動を、右のきれいな白い丸は静を表現しているそうです。
近づくと小さな円が集まってできているのがわかります。
同じ一つの作品でも、遠くから見たときと近くからみたときとで、違った印象を受けるのが不思議です。
近づいたり離れたりしていると、なんだか絵が動いているような、伸び縮みしているような錯覚を起こします。
ヒマラヤの水晶を使ったという作品もありました。
乱反射するひかりから立体感がうまれ、アクリルでの点描とはまた違った印象を抱きます。
GOMA氏は大量の水晶に囲まれながらこれらの作品を制作したそうなのですが、水晶にはやはり何か秘められたパワーがあるのか、制作中に浮遊感を感じていたそうです。
感覚の鋭い方は、鑑賞しているときに何か感じるものがあるかもしれませんね。
音楽と映像の作品も展示されており、さまざまな表現方法で「ひかりの世界」が表現されています。
椅子もあるので、ぜひ座って鑑賞してみてください。
次のフロアに移ると、世界はさらに色づいていきます。
明るい色づかいの作品がならび、なんだかわくわくしてきます!
前のフロアの、しんとした深海の底のような作品にも惹かれますが、こちらのフロアからのカラフルな世界にいると、なんだか前向きな気持ちになれます。楽しい!
現世に近づいているのだという、元の世界に戻るのだという期待感もあるのかもしれません。
描かれているものも、円形、流線状など、さまざまな作品があるので、ぜひ好みの作品を選んでみてくださいね。
最後は鳳凰に見送られながら、またもとの世界に帰っていきます。
真っ白な世界からカラフルな世界をへて、現世へと戻る。
その過程を擬似体験して、「そうだ、今の生をワクワク楽しみたいんだ!」というすごくポジティブな気持ちになっている自分に気づきました。
GOMA氏にとっては、ひかりの世界の絵は風景画のようなものだといいます。
今のところは戻ってこれているので、今のところはキャンバスへ描けている。
ときに死の世界への旅立ちは痛みや苦痛をともなうこともあるけれど、いろんな体験をキャンバスに落とし込んだ瞬間、ポジティブに変換される。
そうしたGOMA氏の経験が作品をとおして私たちに届けられることで、私たちもまた、今目の前にある「生」の瞬間をあらためてポジティブに捉え直すことができます。
本展は、そんな体験ができる、少し不思議な感覚になれる展示でした。
これからの人生で、毎日を辛く感じたり、苦しくなったりしたときに、あるいは色褪せてみえたりしたときに、今回の展示を思い出す気がします。
表参道でショッピングやカフェを楽しむ途中に、ぜひ気軽に足を運んでみてください。
ギャラリーでの鑑賞を終えてにぎやかな表参道の街にでたとき、入る前よりももっといつもの風景がいろめきたち、軽やかな気持ちになれますよ!
それでは愉しいアートライフを!