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2024年12月17日
ファンタジーの力/大田区立龍子記念館
龍子記念館にて、 川端龍子(かわばたりゅうし、1885-1966)と高橋龍太郎コレクションのコラボレーション企画展「ファンタジーの力」が、2025年3月2日まで開催されています。
川端龍子は、大正から昭和にかけて活躍した日本画家です。
「会場芸術」という新しい日本画のスタイルを確立し、独自の画風で日本画壇に大きな影響を与えました。
本展では、日本最大級の現代美術コレクターとして知られる精神科医・高橋龍太郎のコレクションと、龍子の作品とのコラボレーションを楽しむことができます。
展覧会のテーマは「ファンタジー」。これは単なる空想の世界ではなく、誰もが自由に心に描ける世界のことをいいます。
草間彌生や奈良美智など23名の現代アーティストの作品が、龍子の作品とともに展示され、ファンタジーの世界へと誘います。
会場には、ブックディレクター・幅允孝(はばよしたか)が、展覧会の各章のテーマにそって選んだ本も置かれています。
本は展示室内で読むことができ、アートと文学の両面からファンタジーの世界にアプローチできるようになっています。
展示は6つの章に分かれており、「旅立ち」から「日々の物語」まで、自然、夢、海、日常など6つのテーマで、ファンタジーの世界を探求しています。
第1章「旅立ち」では、現実世界から空想世界への旅立ちをイメージさせる作品が並んでいます。
展示室に入ると、幅7メートルを超える龍子の大作《花摘雲》が来場者を出迎えます。中国の大草原に広がる雲を天女に見立てた幻想的な絵画です。
時間と記憶を視覚化する作品で知られる宮永愛子は、使用済みの旅行カバンや鍵を樹脂の中に閉じ込めました。
龍子が実際に使用していたカバンも展示されています。鍵がたくさんついているのですが、 どれを使っても開けることができないそうです。
第2章「そこにいるのは誰?」では、不思議で謎めいた存在が感じられるような作品が並んでいます。
第3章「土と光、風の物語」では、土や光、風といった自然の要素を、ファンタジーのように表現した作品を見ることができます。
龍子の《土》と《日々日蝕》が、日光のイメージを独自の方法で表現した伊勢周平、風の動きを抽象的に捉えた李禹煥(リーウーファン)の作品などとともに展示されています。
一見、異質に思える組み合わせですが、展示室内ではまったく違和感なく調和し、龍子の大胆な構図や色彩が、現代アートの自由な表現とも通じるものがあることが実感できます。
第4章「夢の領域」では、平泉中尊寺で発見されたミイラにインスピレーションを得た龍子の《夢》、刺しゅうでドクロを表現した青山悟の《Ring》など、夢の中の一場面のような不思議な雰囲気の表現が楽しめます。
第5章「海の物語」では、タコをモチーフにした西ノ宮佳代の《蝶恋花-蛸》、サメやクラゲなど海洋生物が竜巻に巻き上げられるようすを描いた龍子の《龍巻》、草間彌生の《海底》など、海をテーマにした異なる表現が楽しめます。
第6章「日々、物語はつづく」では、子どもや動物、日用品や身近な風景をモチーフにした作品が集められています。
奈良美智の作品は、子どもや動物の姿を通して、観る者の心に語りかけます。
西ノ宮佳代の《猫だるま》は、愛らしい3匹の猫をモザイクで表現した作品です。
小林孝亘は、テレビなどの日用品や日常の風景を題材にしながら、静かで不思議な雰囲気の世界を創り出しています。
名和晃平は、動物のはく製などを透明な球体で覆う「PixCell」シリーズで知られています。
今回はその中から、こども用スニーカー、トランペット、寿司をモチーフにした作品が展示されています。
1938年に建てられた旧川端龍子邸のアトリエは、 1945年の空襲にも耐え、当時の面影のまま残っています。
今回は、この国の有形文化財に指定されているアトリエにも作品が展示され、歴史ある空間で現代アートを楽しむという、ぜいたくな時間が過ごせます。
アトリエで本を読むという特別な体験も用意されています。
アトリエでの作品鑑賞、読書体験は事前予約が必要です。詳細は美術館ホームページでご確認ください。
この展覧会では、現実と幻想が混じりあう不思議な世界を、それぞれのアーティストの視点を通して体験することができます。
日常から少し離れて、ファンタジーの世界にひたることで、新しい視点や気づきが得られるかもしれません。
ぜひ会場で、龍子と現代アーティストが織りなす「ファンタジーの力」を体感してみてください。