
国宝「風神雷神図屏風」も。日本美術の名品が京都に集結【京都国立博物館】
2025年5月12日
特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」/京都文化博物館
足利将軍御膳再現模型 京都文化博物館蔵
科学や歴史など、多角的な視点から和食の魅力に迫る特別展「和食 〜日本の自然、人々の知恵」が、京都文化博物館で開催中です。
日本全国8会場をまわる巡回展として、バラエティに富んだ標本や資料を展示する本展。
京都会場では「足利将軍御膳」を再現するなど、自然や歴史を絡めながら「和食」について学ぶことができます。
みなさんは「和食」と聞いて、何を思い浮かべますか?
特別展「和食」は、そんな問いかけから始まります。
本展は5つの章で構成。1〜2章では水やキノコ、野菜、魚介類、酒などのさまざまな「食材」について紹介しています。
例えば「水」。日本の天然水の多くは軟水です。
しかし、採水地の地質や降水量の違いによって、それぞれに特色があります。
“ご当地”の水が並んでいます
本展では、実際に全国各地の水を展示。初めて見るパッケージもあり、日本でもこんなに種類があるんだとびっくりです。
ふだんよく食べる野菜ももとは海外から日本へ入ってきたものだそう
続いて登場するのが、「野菜」。
きゅうりや玉ねぎ、トマト、ピーマン、キャベツなどの身近な野菜のほとんどは、もともと海外から日本に伝わってきたものです。
会場では、その渡来時期も合わせて紹介しています。
「多彩な地ダイコン」は、おすすめ撮影ポイントにもなっています
さらに、「多彩な地ダイコン」の展示では、形や大きさ、色が異なるダイコン20種類以上が並びます。
スーパーでよく見かけるものから、絵本でしか見たことないようなものまで、展示されているのはレプリカですが、とてもリアル。
こちらも同じくおすすめ撮影ポイントの「実物大模型」
リアルといえば、その奥のエリアにある「魚介類」。
マグロの仲間が大集合した実物大模型があるほか、本物さながらの日本近海の魚たちが展示。その精巧さはもちろんですが、数にも驚きです。
3章の「和食の成り立ち」では、さまざまな時代の食卓を再現。
縄文時代から始まり、弥生時代の食、織田信長が徳川家康をもてなした本膳料理などを展示しています。
なかでも注目は、京都文化博物館のみの展示となる「足利将軍御膳」。
足利将軍御膳再現模型 京都文化博物館蔵 写真中央の人物が室町幕府第12代将軍・足利義晴
「足利将軍御膳」とは、室町幕府第12代将軍・足利義晴が祇園祭を見物した際に、もてなしとして提供された料理のこと。
この料理については、「祇園会御見物御成記」に記録が残されています。
その古文書からレシピを再現するため、京都府立大学和食文化学科と、大和学園京都調理師専門学校の学生たちがタッグを組み、試行錯誤を重ねました。
再現された献立のひとつ「御ゆづけ」
醤油や砂糖が使えないなど、現代とは違う室町時代の調味料や調理法に苦戦したこともあったのだそう。
約1年をかけて、なんとか三献13品を再現させました。
再現された献立のひとつ「五献」
再現された御膳は、どれも本当においしそう。
将軍の食事を鑑賞しながら、当時の食文化についても思いを馳せることができます。
さらに展示横のQRコードを読み取ると、足利将軍が食べた「まんぢう」の現代版レシピを入手することができます!
自宅で将軍気分が味わえるかも・・・!?
今回会場内は、写真撮影OKとなっています*。
*一部例外あり、動画は不可
おすすめ撮影ポイントは全部で5箇所です。
すでに記事内でも紹介した、「多彩な地ダイコン」やマグロの「実物大模型」、京都展オリジナル展示の「足利将軍御膳」に加えて、あと2つ。長さ約16mの「昆布」です。
壁から天井へなが〜い昆布が展示されています
食材としては「海藻」であり、和食には欠かせない「だし」ともなる“ながーい”昆布が、天井をゆらゆらとそよぐように展示されています。
昆布の端から端まで写真に収められるよう、ベストアングルを探ってみてくださいね。
ただし、上を見過ぎて転ばないようにご注意を・・・。
「江戸の屋台」を再現したコーナーも、おすすめポイント
もうひとつのおすすめポイントは、江戸の屋台を再現したコーナー。
そば、天ぷら、寿司の3つがあるので、お気に入りの屋台で、店主になりきって撮影してみてはいかがでしょうか。
会場併設のミュージアムショップでは、「和食」をモチーフにしたグッズを販売しています。
これまでの開催会場でも、人気だった特別展「和食」の応援キャラクター・リラックマのグッズも並んでいます。
リラックマのグッズはおひとり様1種5個までの販売です
京都・宇治で伝統の京飴を製造する岩井製菓の京野菜をかたどった手作りの飴は、京都土産としてもおすすめです。
「缶入り京やさい飴」(550円)
ほかにも、展覧会オリジナルグッズとしてダイカットポストカード(220円)や、お寿司や天丼、カツ丼などの食品サンプルも販売されていますよ(7,700円〜)。
特設ミュージアムショップのようす
大阪・関西万博が開催されている今、同展を通して「和食」の魅力を海外へ発信しつつ、日本人として「和食」の良さや歴史を改めて知ることができる機会となっています。
和食に興味ある人はもちろんですが、京都文化博物館では各時代の食文化に触れた展示もあるので、歴史好きの方も楽しめるのではないでしょうか。
※会期等は変更になる場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。