2022年1月14日

北斎ゆかりの地・墨田区で、浮世絵で日本史を学べる企画展が開催中!

北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―/すみだ北斎美術館

2021年11月22日に開館5周年を迎えたすみだ北斎美術館。浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)が生まれ、生涯のほとんどを過ごしたゆかりの深い地・東京都墨田区に位置しています。

同館では現在、日本の歴史に焦点をあて、北斎やその弟子などが歴史上の人物や事件を描いた作品を紹介する企画展「北斎で日本史―あの人をどう描いたか―」が開催中です。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館

本展では、徳川家康や上杉謙信、紫式部など、主に高校の日本史の授業で取り上げられる歴史上の人物を描いた作品を、歴史の解説とともに展示。

神話の時代から安土・桃山時代、そして北斎の生きた江戸時代、北斎の弟子が活躍した明治時代の作品を集めて紹介します。

※展覧会詳細はこちら

本展の見どころ作品

『富嶽百景』の最初のページに描かれた神「コノハナノサクヤビメ」

北斎が描いた富士図を約100図収蔵した版本『富嶽百景』。本図は、その最初のページに描かれたコノハナノサクヤビメです。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館
葛飾北斎『富嶽百景』初編 木花開耶姫命 天保5年(1834) 通期展示 すみだ北斎美術館蔵

コノハナノサクヤビメとは、『古事記』『日本書紀』に登場する神で、アマテラスオオミカミの孫・ニニギノミコトの妻です。

山の神のオオヤマツミノカミの娘であるため、富士山麓の浅間神社の御神体としてまつられています。

衣服にみられるチリチリとした線は、北斎の特徴とのこと。こちらにもぜひ注目してみてください。

『日本書紀』に載る片岡山の飢人と「聖徳太子」

こちらは、北斎の弟子・葛飾為斎(かつしか いさい)が描いた『北斎人物画譜』です。本図の右上には、聖徳太子(右上)が描かれています。

本図は『日本書紀』に掲載された、片岡山の飢人(きじん/左上)と聖徳太子の話が、もとになっています。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館
葛飾為斎『北斎人物画譜』 聖徳太子 仏像を難波の堀江に棄らる 明治30年(1897) 通期展示 すみだ北斎美術館蔵

太子一行が片岡山にさしかかったとき、その道端で飢えと寒さで息も絶え絶えの飢人が倒れていました。太子は飢人に、食事と衣服を与えたものの、翌日亡くなったため墓を作ります。

数日経ったのち、太子は「(あの飢人は)普通の人ではない」と感じ、供に彼を埋葬した墓を調べさせます。するとそこに遺体はなく、棺の上に衣服があったそう。その飢人は、禅宗の開祖の達磨であったといわれています。

『源氏物語』を執筆する「紫式部」のようすを描いた作品

本図は、江戸時代後期の画家・森高雅(もり たかまさ)が描いた紫式部です。

森高雅は、北斎の弟子である名古屋の牧墨僊(まき ぼくせん)に絵を学び、風俗画や名所絵などを描いた画家です。のちに、大和絵で有名な土佐派も学びました。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館
森高雅 紫式部(部分) 年代不詳 前期展示 すみだ北斎美術館蔵

紫式部が月明かりのもとで、宮廷貴族の生活を題材にした長編小説『源氏物語』を執筆するようすを描いた本図。

このような紫式部が『源氏物語』を執筆している姿は、紫式部をを画題とする際よく好まれて描かれたといいます。

北斎が描いた、迫力ある戦国大名の一騎打ち

こちらは、川中島の戦いの名場面として伝わる、上杉謙信と武田信玄の一騎打ちのようすを描いた、北斎の『画本武蔵鐙』(えほんむさしあぶみ)の一図です。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館
葛飾北斎『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄 天保7年(1836) 通期展示 すみだ北斎美術館蔵

4度目の川中島の戦いで混戦のなか、白手ぬぐいで頭を包んだ武者(のちに謙信とわかる)が馬に乗って刀を振り突進してきたところを、その攻撃を軍配(ぐんぱい)で信玄が受けたと軍学書に書かれています。

本図はその記述に近い描かれた方をしており、躍動感ある構図で表現されています。

北斎が描いた謙信と信玄、また宮本武蔵や佐々木巌流(佐々木小次郎)といった、歴史上有名な人物の武者絵は、本作以外にも『和漢絵本魁』(わかんえほんさきがけ)や『絵本和漢誉』(えほんわかんのほまれ)に収載されており、その数は約90図ほどに上ります。

浮世絵師が江戸幕府将軍を描いた珍しい作品

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館
二代葛飾北斎 徳川家康束帯座像 年代不詳 前期展示 すみだ北斎美術館蔵

北斎の弟子である二代葛飾北斎が描いた、徳川家康を描いた肉筆画です。

当時、浮世絵師が江戸幕府の将軍を描くのは珍しいとのこと。徳川家康のくっきりとした顔立ちが印象的な作品です。

向かって右側に「恐惶頓首百拝 北斎拝写」とあることから、敬意を持って描いたことがわかると同時に、当時の人びとの幕府への見方も示しています。

浮世絵とともに日本史を学べるリーフレットも発売中

「北斎で日本史―あの人をどう描いたか―」のリーフレットが、1階ミュージアムショップにて発売中です。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館
「北斎で日本史―あの人をどう描いたか―」リーフレット

歴史上の人物や事件が、北斎や弟子の作品にどのように描かれているのか、歴史用語の解説も交えてオールカラーで紹介されています。

また、本展では展示室(3F)入り口付近で「なにかしら学べるワークシート」も配布しています。

こちらのワークシートでは、展示作品に登場する「あの人」「あの事件」をクイズ形式で学べるため、作品に対しても、歴史に対してもより理解が深まります。

親子で展示を、ワークシート片手にじっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。

スフマート Sfumart 取材レポート 北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか― すみだ北斎美術館

葛飾北斎ゆかりの地・すみだ北斎美術館で開催中の「北斎で日本史―あの人をどう描いたか―」展。

北斎や弟子たちが描く歴史上の人物や、事件の作品が多く展示されている本展では、自分が知っている「あの人」の凛とした姿のほか、イメージとはちょっと違った姿の作品も多く観ることができました。

神話の時代から明治時代までの、歴史的背景や活躍した人物、事件などの解説が作品とともに並んでいるので、会場を一周するころには、歴史に関する新しい解釈が生まれているかもしれません。

歴史が好きな人はもちろん、これから学びたい人も楽しめる展示になっているので、ぜひ足を運んでみてください。

Exhibition Information

展覧会名
北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―
開催期間
2021年12月21日~2022年2月27日 終了しました
会場
すみだ北斎美術館
公式サイト
https://hokusai-museum.jp/
注意事項

※前後期で展示替えあり。

前期:12月21日~1月23日
後期:1月25日~2月27日