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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
企画展「文様のちから-技法に託す-」/根津美術館
工芸品の魅力をさらに発揮させる文様(もんよう)。作品の外見と調和する文様は、作り手たちの高度な技術によって、さまざまな種類が生み出されてきました。
そんな文様に秘められた「ちから」を紹介する展覧会が、根津美術館で開催中です。
企画展「文様のちから-技法に託す-」 展示風景より
本展では、染織品をはじめとした工芸作品を中心に、「文様から技法を探る」「技法から文様を探る」という2つのテーマを設けて両者の関係に迫ります。
※展覧会詳細はこちら
第1章では、日本の代表的な古典芸能の一つ「能」で使われる衣装・能装束や、現代のきものの原型となった小袖などを中心に展示しています。
企画展「文様のちから-技法に託す-」 展示風景より
さまざまな種類がある文様ですが、その絵柄をあらわす技法との組み合わせは、特に決まりがないそう。しかし、文様の種類に応じて選択される技法には、それぞれ傾向が見られるといいます。
こちらの両作は、「唐織(からおり)」という技法で作られた能装束です。
唐織とは、横糸に色糸を使い、多彩な文様を縫取織(ぬいとりおり*)した織物、またはその技法のことをいいます。
唐織の制作は、16世紀の京都・西陣で始められたといわれており、「空引機(そらひきばた)」と呼ばれる特殊な織機の開発が必要だったそうです。
*縫取織:文様部分のみに色糸を往復させ、文様をあらわす技法のこと。
(左)《紫浅黄縹朱段秋草模様唐織》日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
(右)《紅浅黄段籠目草花模様唐織》日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
どちらも秋の草花をモチーフとした両作。その文様の色に注目して観てみましょう。
緑や青、紫といった寒色系の色彩を中心とした左の作品は、紅無(いろなし)といい、こちらは中年以上の女役が着る能装束です。
なぜ「紅無」と書いて「いろなし」と読むのか。それについては、右の作品を観るとわかります。
右の作品は若い女役が着用する能装束。こちらは、紅入(いろいり)と呼ばれています。
実は紅色は昔、若い女性をあらわす特別な色だったそうです。女性の若さを示す特別な色である紅系の色がないということから、左の作品は「紅無」と呼ばれているのだとか。
もしおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に、能の鑑賞の機会などがあれば、このことを話題に出すと喜ばれるかもしれません。
(右)《誰が袖図屏風》日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
本展では、江戸時代前期に流行した服飾をテーマとする《誰が袖図屏風》も、あわせて展示しています。
衣桁(いこう*)に掛けられた、さまざまなきものを描いた本作。当時の遊里の室内を描写したものと考えられているそうです。
画面には、衣桁に掛かったきもののほか、すごろく盤や子ども用の衣装、そして男性用の袴などが描かれており、太夫(たゆう)や彼女を世話する禿(かむろ)と呼ばれる少女、そして客の存在が暗示されています。
*衣桁:室内に置いてきものなどを掛ける家具のこと。
《扇丸草花模様裂》日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
文様の技法がわかるほどリアルに描写された《誰が袖図屏風》に描かれている衣装たち。本展では、これらの技法について、同時代の小袖裂(きれ)を展示し、詳しく紹介します。
絵と実物を交互に観ながら、文様に対する理解が深められるようになっていますよ。
第2章では、陶磁器や漆工品、金工品に使われている技法について紹介。技法の核となる、描く、彫るなどに着目し、それらの技法の特徴について迫ります。
《五彩龍鳳文尊式瓶》景徳鎮窯 中国・明時代 万暦年間(1573-1620)根津美術館蔵
展示室2に入ると、ひときわ目立つ本作。描かれている文様は、龍や鳳凰、そして牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)といった縁起のいいものが描かれています。
本作は、中国古代の祭祀用の酒器「尊(そん)」にならった瓶で、明時代の万暦期(1573-1620)に盛んに作られていました。
そのなかでも高さ70cmを超える本作は、大型で珍しいそう。細かな文様がくり返し描かれています。単眼鏡をお持ちの方は、そちらを使ってじっくりとご覧ください。
根津美術館では2010年の新創記念特別展以来となる、染織品を主要なテーマとした展覧会である「文様のちから」展。
2月26日からは、漆という素材に注目した展覧会「かたちのチカラ 素材で魅せる」展が開催されます。
こちらは文様のない漆作品を紹介し、かたちやその素材に備わった魅力について紹介するとのこと! こちらもぜひ、お楽しみに。
本展は【日時指定予約制】です。ご来館前に根津美術館公式ホームページより日時指定入館券をご購入ください。
※根津倶楽部会員、招待はがきをお持ちで入館無料の方も予約が必要です。