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2025年10月15日
ポップ・アート 時代を変えた4人/三重県立美術館

展覧会看板
いつもの高尚な雰囲気とはちょっと違ったインパクトのある看板がお出迎え。
三重県立美術館では「ポップ・アート 時代を変えた4人」展が開催中です。どんな展示になっているのか、期待もポップアップ!

エントランス風景
ロビーにいきなり現れたのがキャンベルスープ缶の山!これだけで頭の中まですっかり60’s。記念撮影をお忘れなく!
日常の物を芸術作品に取り込み、1960年代のアメリカのアート・シーンを席巻したポップ・アート。
中でもロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホル、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズはポップ・アートの旗手として知られます。
同じく60年代に音楽界を席巻した4人組、ご存じザ・ビートルズの愛称「FAB4(The Fabulous 4=素晴らしき4人)」になぞらえて紹介する、おもしろい試みです。

会場風景
会場には60年代アメリカの写真も。当時の雰囲気に浸りながら作品を観賞できます。
世界屈指のポップ・アート・コレクションを誇るホセルイス・ペレス氏所蔵の版画作品の日本初公開(巡回展)です。

(左)アンディ・ウォーホル《アンディ・ウォーホル作貯金箱。RCAカラー・スキャナーによるあくどい貯金さ。“豚の写真”みたいにキレイだろ?》1968年
(右)アンディ・ウォーホル《キャンベル・スープ/アンディ・ウォーホル【フェラス・ギャラリー】》1962年
アンディー・ウォーホル。「ポップ・アート」と聞いて真っ先にその名が浮かぶのはこの人ではないでしょうか。
「キャンベル・スープ缶」は中でも記念碑的な作品。ウォーホルがキャンベル・スープを描いたのは「自分が美しいと思うものをいつも描いているだけ」そして「スープが好きだから」。
ウォーホルの母は毎日キャンベルスープを食卓に出し、ウォーホルは大人になってからも食べ続けていたそうです。

ロイ・リキテンスタイン《バーン!/ロイ・リキテンスタイン【レオ・キャステリ・ギャラリー】》1963年
ウォーホルと並び称せられるのがロイ・リキテンスタイン。
アメリカンコミックの一コマをそのまま拡大したような作風は、誰もが見たことがあるのではないでしょうか。

(左)ジャスパー・ジョーンズ《モラトリアム》1969年
(右)ロバート・ラウシェンバーグ《ボストン交響楽団》1981年
60年代の風に吹かれながら次のテーマへ。「戦争をしないで、恋をしよう(音楽を奏でよう)」。
この時代は音楽界にも大きなうねりが起きていました。ビートルズ、ローリングストーンズ、ボブ・ディラン。新たな音楽はポップ・アートと結びつきます。
ウォーホルが手掛けたレコードジャケットの面々も展示されていました。無音の会場でしたが、懐かしの曲たちが聞こえてきそう!
60年代はベトナム戦争の時代でもありました。
星条旗のモチーフで有名なジャスパー・ジョーンズですが、『モラトリアム』で描かれた旗は異質。枯葉剤を想起させるオレンジ、迷彩服を思わせる緑のストライプ、そして中央に残る白い弾痕のような点など、戦争への反発を伝えています。

(左)ジェームズ・ローゼンクイスト《ペーパー・スーツ》1998年
(右)アンディ・ウォーホル《ザ・スーパー・ドレス》1966年
ポップ・アートはファッションの世界にも広がっていきます。百貨店のショーウィンドウや、プレタポルテのファッションブランドにも起用されました。
右側のワンピース、これもキャンベルスープ缶のモチーフ!ウォーホル人気でスープ製造会社のキャンベルがつくったものだそうです。

アンディ・ウォーホル作品 展示風景
商業デザイナーとしてキャリアをスタートさせたウォーホルは、イラストレーターとして成功を収めますが、1960年ごろから本格的にアーティストとして活動を始めます。

アンディ・ウォーホル《マリリン》1970年 《花》1970年 展示風景
ウォーホルの代名詞、『花』と『マリリン・モンロー』が壁にずらり。ビビッドな色彩の組み合わせを変化させた組作品ですが、色によって印象がずいぶん変わりますね。

アンディ・ウォーホル《牛》1971年
牛さんもこの通り!大量生産・大量消費の社会で生まれたポップ・アートにとって、日常的なイメージを大量生産する版画はとても親和性が高い手段でした。

ロイ・リキテンスタイン《どうしようもない/ロイ・リキテンスタイン【クンストハレ・ベルン】》1968年
有名なリキテンスタインの作品の横に、元となっているコミックの場面が並べられているのは貴重な展示!
そのまま拡大しただけでなく、インパクトを強めるために髪の色を変えたり線を強調したりと、あちこち工夫しているのが見てとれます。

(左)ロイ・リキテンスタイン《筆触/ロイ・リキテンスタイン【パサデナ美術館、ウォカー・アート・センター】1967年
(右)ロイ・リキテンスタイン《種をまく人》1990年
リキテンスタインはコミックばかりではありません。右の作品はゴッホの名作『種まく人』がモチーフ。よく見ると、確かにあの絵!とってもポップな『種まく人』です。

(左)ジャスパー・ジョーンズ《死体と鏡【マルゴ・リーヴィン・ギャラリー】》1978年
(右)ジャスパー・ジョーンズ《2つの旗【ホイットニー美術館】》1980年
ジャスパー・ジョーンズといえば星条旗ですが、他にもいろいろな作品が展示されていました。左の作品はクロスハッチ模様の連続。タイトルは『死体と鏡』・・・謎です。

ロバート・ラウシェンバーグ《1984年ロサンゼルス・オリンピック》
既製品・日用品・廃物などの身近なものを素材として抽象絵画風の絵画と組み合わせた「コンバイン・ペインティング」と呼ばれる作品で知られるロバート・ラウシェンバーグ。
1984年ロサンゼルスオリンピックのポスターも手掛けています。
展覧会の最後の章では、「素晴らしき4人」と共に活躍したアーティストたちが紹介されます。
「LOVE」の文字をモチーフとして知られるロバート・インディアナの立体作品は、東京・西新宿の待ち合わせスポットとしても有名です。

ショップ風景
日常生活に氾濫する「ありふれたモノ」を素材とし、版画などの手法で作品を増殖させたポップ・アート。60年代アメリカの尖った、エネルギッシュで明るい空気感が漂う展覧会です。
ショップにはオリジナルグッズも並びます。POPデザインのトートバッグやノートは、遠目でもビジュアルアイテムとしてバッチリ映えます。
スーパーで見かける絵柄じゃない、当時のラベルのキャンベルスープも販売中。この機会に、ひと缶いかがでしょうか。