ピエール=オーギュスト・ルノワール/10分でわかるアート
2021年11月17日
第11回菊池ビエンナーレ 陶芸の現在/菊池寛実記念 智美術館

菊池寛実記念 智美術館にて、「第11回菊池ビエンナーレ 陶芸の現在」が開催中です。
「菊池ビエンナーレ」は、陶芸の振興を目的に、菊池美術財団および同館が2004年度より隔年で開催している陶芸の公募展です。
第11回を迎えた今回の応募総数は、過去最多となる452点。本展では、受賞作品5点を含む入選46点を一堂に展示します。

制作内容や応募者の年齢、キャリアの制限を設けずに広く作品を募集し、陶芸表現の現在を捉え、その可能性を探る「菊池ビエンナーレ」。
第11回では、これまでと同様に出品点数は1人1点、作品の形態や大きさに制限を設けずに募集されました。
今回の応募数は、過去最多となる452点!
そのうち国外からの応募は、33の国と地域から86点。前回よりも大幅に増加しました。
国外からの応募増加について、「今年から国外応募についての規定を変更したことが影響していると考えています」と、担当者は話しました。
入選率は約1割と厳しい審査となった「第11回菊池ビエンナーレ」。
本展では、452点の作品から2回の審査を経て選出された入選作の46点を一堂に紹介します。

第11回大賞は、中根楽氏《境界の思考》が受賞しました。
中根氏は応募時29歳。菊池ビエンナーレにおいて、若手陶芸家の大賞受賞は初めてのことです。

【大賞】中根楽《境界の思考》
「境界」をテーマとした本作。
作品の下の部分に注目すると、茶碗と同じように高台が作られていることがわかります。
しかし、茶碗と呼ぶにはかなりの大きさですね。
器とオブジェの中間を見事に表現した《境界の思考》。認識の境界についてを鑑賞者に問いかけます。
岩のようにも見える本作はとても重そうですが、ひもづくりの技法で成形され、内部が中空構造となっているため、実際は成人女性2人で動かせるほどの重さなのだとか。

(右)中根楽氏
会期中は、予約不要で出品作家と審査員によるトークも開催されます。
中根氏と審査員の正村美里氏のトークは、2026年1月31日(土)15:00より開催。
詳細は、美術館公式サイトをご確認ください。

優秀賞を受賞したヘルミー・ブルグマン氏《David XVIII》は、展示室でも異彩を放つ作品です。
作品名にナンバーが入っている通り、《David》は一つの型からシリーズを制作し、各作品異なる扱い方で仕上げることで、鑑賞者に人間の存在についてを考える機会を与えます。
本作品は固定具なしで自立するように制作されており、造形力や技術力の高さが伺えます。

菊池寛実記念 智美術館の展示室内の設計は、アメリカ人デザイナーのリチャード・モリナロリ(1951-)によるものです。
同館設立者で現代陶芸のコレクターであった菊池智(1923-2016)と交流があったリチャード。
智の美意識を隅々までに反映させた展示空間は、現代の陶芸を鑑賞するにふさわしい特別な空間です。
新年は、1月2日(金)から開館。
ぜひ、菊池寛実記念 智美術館で、新しい年に陶芸の現在を鑑賞してみてはいかがでしょうか。