Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁/クヴェレ美術館

水戸に新美術館が誕生!昔と今をつなぐ、美の交差点【クヴェレ美術館】

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2026年3月5日

愛らしい「ふくろう」のロゴが印象的

茨城県水戸市の中心市街地である泉町。この場所にはかつて、旧川崎銀行水戸支店として建設された、市内で数少ない明治期の洋風建築が残されています。

この旧銀行棟の再活用を中心に「まちにいきる・歴史を感じる・生活を楽しむ」を運営方針とする文化施設「テツ・アートプラザ」が、2026年2月14日(土)にグランドオープン。

クヴェレホール、クヴェレ美術館、県内初出店のカフェ「niko and … COFFEE」で構成された同施設は、まちに開かれた文化交流の場として生まれ変わりました。

本記事では、2026年2月14日(土)に開館したばかりのクヴェレ美術館「開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁」をご紹介します。

クヴェレ美術館とは

クヴェレ美術館外観

クヴェレとは、ドイツ語で「泉」を意味する言葉。テツ・アートプラザが建つ、泉町にちなんで名付けられました。

また、「湧き上がる泉に人びとが集まり、交流が生まれる憩いの場になってほしい」という願いが込められています。

そんなクヴェレ美術館の中心となるコレクションは、日本近現代の絵画や工芸品、シルクロードの仏教美術や陶磁器などで、約630点の所蔵品があります。

開館を記念して、3期にわたり名品を披露する展覧会を予定。「Meet 美の交差点」展は、その1期となります。

横山大観をはじめとする、茨城ゆかりの作家たち

2階展示室のようす

本展でまず注目してほしいのが、2階展示室で鑑賞できる、茨城ゆかりの作家たちの作品です。

水戸市を代表する日本画家・横山大観や、牛久市で活動し県内に伝わるカッパや妖怪などの伝承をもとに、多くの作品を残した小川芋銭(おがわうせん)を展示。

ほかにも、下館(現・筑西市)出身の近代陶芸家・板谷波山などの作品が鑑賞できます。

(左から)板谷波山《葆光白磁蕗葉彫刻花瓶》大正初期、板谷波山《葆光彩磁延壽紋様香爐》大正後期

こちらは、横山大観の作品《放鶴》です。

横山大観《放鶴》大正1~2年頃(c.1912-13)

豪華な金屏風の大画面の中に、羽ばたく一羽の縁起の良い鶴と吉祥文様の松、松のある高台から一人の人物が見上げるようすが描かれています。

屏風の裏面にも金砂子が蒔かれており、贅沢なつくりといえます。

近代日本画を彩る、選りすぐりの名品を展示

2階展示室のもう一つの空間には、近代日本画の名品が展示されています。

2階展示室のようす

以下は、横山大観と同時代に活躍した京都画壇の作家・竹内栖鳳の作品《水郷》です。

竹内栖鳳《水郷》1934年

東北旅行の帰路、初めて茨城の潮来(いたこ)を訪れた際、潮来の水郷の美しさに魅了されたといいます。

それ以来、潮来付近を訪れては水郷の風景を写生し、多くの作品を残しました。

以下は、本展のチラシなどにもあしらわれた、上村松園の《雪》です。

上村松園《雪》昭和17年頃(c.1942)

円熟期の上村松園を代表する本作。

おしろいをした頬や耳がわずかに赤く染まる描写からは冬の冷気が伝わってきます。

細やかな色彩と描写が際立つ作品です。

上村松園は、鏑木清方と並び「美人画の巨匠」としても知られています。
このフロアには、清方の美人画も展示。「西の松園、東の清方」と称された2人の共演も楽しめます。

作品に対する思いと辿る、東洋陶磁コレクション

1階展示室のようす

1階の展示室には、故・吉田光男氏から寄贈された工芸作品の数々が並びます。

シルクロードにちなんだ東洋美術を中心とした個人コレクションで、総数は約250点。

水戸市出身の吉田氏は、若くして家業の石油会社を継ぎ、経営に携わる傍ら、水戸芸術館の創設に尽力されたり、収集品に関してエッセイを残すなど、文化人として知られています。

本展では、吉田氏が執筆したエッセイを交えながら、作品を紹介しています。

美術に触れ、日常に彩りを

同館エントランスでは、図録や展示作品のポストカードも販売中です。

アクリルコースターやオリジナルトートバッグなども購入できる

また、同館隣にあるクヴェレホールは、誰でも無料でゆったりとくつろげます。

クヴェレホールのようす。地域の芸術文化活動などを行う方にも活用してもらえるよう、貸し切り利用もできる

さらに奥には、県内初出店のカフェ「niko and … COFFEE」があります。

大人気のニコパンやスムージーなどの定番商品に加えて、スナック類など水戸TAP店限定メニューもあります。

また、カフェのガラスには、日本画家・川﨑麻央による新作《水戸今昔譚》全16図のうち8図が先行してお披露目されています。

水戸の昔と今をつなぐ、文化交流の場として誕生したテツ・アートプラザ。

クヴェレ美術館で展示を楽しんだ後は、カフェでくつろぐ。またはその逆も良いかもしれません。

ぜひ、この場所で美術を楽しみながら、一日ゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

Exhibition Information

展覧会名
クヴェレ美術館 開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁
開催期間
2026年2月14日~7月5日
会場
クヴェレ美術館
公式サイト
https://tap-mito.jp/
注意事項

※全絵画作品と一部工芸作品は前期(~4/22)と後期(4/28~)で展示替えします。