デビュー50周年記念 くらもちふさこ展/弥生美術館

くらもちふさこの画業に迫る!弥生美術館で原画やイラストなどを展示

2022年2月11日

デビュー50周年記念 くらもちふさこ展/弥生美術館

「いつもポケットにショパン」「天然コケッコー」「花に染む」など・・・第一線で活躍し続けるマンガ家・くらもちふさこの展覧会が、弥生美術館にて開催中です。

デビュー50周年記念 くらもちふさこ展/弥生美術館
「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」展示風景

1972年にデビューしてから今年で50周年を迎えるくらもちふさこ。その作品は、私たち読者だけでなく後進のマンガ家にも大きな影響を与えています。

本展では、初期から最新作まで代表作を中心とした原画を展示。マンガ家としての歩みを紹介します。かっこよすぎる“くらもち男子”にも注目です♪

※展覧会情報はこちら

くらもちふさこの画業の全貌を知る!

くらもちふさこは、初連載となる「おしゃべり階段」や「いつもポケットにショパン」で、その人気を確立します。その後も「東京のカサノバ」「A-Girl」「海の天辺」など、次々とヒット作を誕生させました。

また、1970~80年代は『別冊マーガレット』(集英社)の看板作家として活躍し、ユニークな画面構成や繊細な心理描写、誰にも真似できない豊かな表現方法は、多く読者を魅了しました。


「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」展示風景

特に謎めいていて、かっこいい“くらもち男子”は大人気!別マっ子の方、「懐かしい!」と思うのではないでしょうか?

1994年に発表された代表作「天然コケッコー」は第20回講談社漫画賞を受賞。さらには2018年に放送されたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で、「いつもポケットにショパン」など実際の作品が登場したことも記憶に新しいと思います。


「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」展示風景

長年少女マンガ界のトップを走り続けるくらもちふさこを、初期から最新作まで、盛りだくさんの内容で通覧できる展覧会となっています!

やっぱり「天コケ」!

くらもちふさこの代表作と聞くと、「天然コケッコー」を思い浮かべる方が多いと思います。

あらすじをおさらいしておくと・・・ある日、小さな村に住むそよが通う、全校生徒6名の小さな学校に、東京から広海(ひろみ)が転校してきます。ふたりだけの同級生の恋愛模様を中心に、村の日常がさまざまな角度から描かれた物語です。

当時、『別冊マーガレット』を卒業して落ち込んでいたところ、『コーラス』での連載が決まり、気持ちを新たにした作品だそうです。


「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」展示風景

くらもちふさこ作品の中でも一番の長期連載となった本作。展示スペースが大きくとられていますが、やはりくらもちふさこ本人にとっても、思い入れのある作品だそうです。

展示を観進めていくとズラリ原画が並んでいますが、こちらは「天コケ」第1話のワンシーンを展示しています。


「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」展示風景

本展を担当した外舘学芸員に聞いた見たところ、「第1話はやはり印象に残っている人も多いのではないかと思いますので、このエピソードを展示しました」とのこと。

繊細な心理描写や大胆な画面構成が盛り込まれた「天コケ」は、くらもちふさこの真骨頂!

鑑賞後には、作品を読み返したくなること間違いなしです!

代表作もずらりと並びます

展示室は、くらもちの画業を一からたどれる構成となっています。

「いつもポケットにショパン」は、「おしゃべり階段」や読み切り作品などで人気をじわじわと集めていたくらもちふさこの地位を一気に押し上げた出世作でもあります。


「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」展示風景

主人公の麻子と、同じピアノ教室に通っていた幼なじみ“きしんちゃん”のすれ違う思いや、麻子のピアノでの成長を描いた本作。切ない描写に涙した読者もいると思います。

「駅から5分」の続編である「花に染(そ)む」は、火災で父と母、兄を失った青年・陽大(はると)と中心に、弓道で結びつけられた登場人物たちを繊細に描いた作品です。実際に起こった殺人事件が制作のきっかけだったそうで、くらもちふさこ自身も苦労して作品にしたのだとか。

また、本作は第21回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。「マンガ」という存在を初めて知ったきっかけである手塚治虫の名前を冠した賞をもらったことは大きな喜びだったそうです。

思い入れのあるイラストには、制作時の心境をうかがい知れるKURAVOICEという小さなメッセージつきなので、こちらもあわせて楽しんでくださいね。

また、本展は作品保護のためカラー原画の展示替えが行われます。展示構成は変わりませんが、4回に分けてカラー原画が入れ替わるそうなので、何度行っても楽しめそうです!

メッセージコーナーや画集も気になる!

2階の展示室入り口には、くらもちふさこ先生にメッセージが書けるボードが出現!

懐かしい想いを、伝えてみてはいかがでしょうか?

また、本展に合わせて、画集「THEくらもちふさこ」(集英社/発行)が発売中です。

デビュー50周年を記念した、貴重なカラー原画が盛りだくさんの1冊です。

グッズは他にも、ポストカードやマステ、トートバッグなど盛りだくさん(アイテムはこちらから)。これまでの作品の愛蔵版なども販売されていますのでお見逃しなく。現金のみのお支払いですので、ご注意を!

さらには夢二カフェ港やにてコラボホットドリンクも販売中です。

「クンちゃん」「クラさんパンダ」どちらかお好きな柄を選ぶことができます。

こんぺいとう付きなのもかわいい!

 

少女マンガ好きにはたまらない、眼福な展覧会でした・・・!

本展担当の外舘惠子学芸員にインタビューした記事でも、くらもちふさこ展についてふれています。よければあわせてご覧ください。(前編後編