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2024年11月1日
丸山コレクション 西アジア遊牧民の染織 塩袋と伝統のギャッベ展/たばこと塩の博物館
たばこと塩に関する資料の収集、調査・研究を行い、その歴史と文化を広く紹介するたばこと塩の博物館。たばこと塩をテーマにしたユニークな常設展示や、幅広い特別展を鑑賞することができます。
そんな同館では現在、「丸山コレクション 西アジア遊牧民の染織 塩袋と伝統のギャッベ展」が開催中です。
本展では、現地でも入手不可能な百~数十年前の絨毯を中心とした遊牧民染織品の一大コレクションである「丸山コレクション」から、厳選した初公開の約90点を通して、西アジア遊牧民の文化を紹介します。
※展覧会詳細はこちら
イランを中心とした西アジア地域に展開するカシュガイ族やクルド族、バルーチ族といった遊牧民たちは、伝統的に、各部族のシンボルとなる文様を羊毛で織り込んだ塩袋を制作・伝承してきました。
塩袋は、遊牧生活に不可欠な“塩の役割”を物語る好資料でもあるのだそう! たばこと塩の博物館では、過去2回の特別展で紹介しました。
丸山コレクションは、現地でも入手が難しい百~数十年前のじゅうたんを中心とした遊牧染織品の一大コレクションです。同コレクションは、個人の資料であるため通常は非公開とされています。
本展では、貴重な丸山コレクションから塩袋のほか、太い糸で粗く織られ、素朴で大ぶりなデザインを描き出した“じゅうたんの原型”とも言われるギャッベなどを紹介。遊牧民が生活の中で使う染織品約90点を展示します。すべて初公開となります!
塩袋は塩を入れるための専用の袋で、イランでは「ナマクダン」と呼ばれます。
袋の先端が出っ張っているこの不思議な形は、遊牧民たちとともに旅をする家畜が袋の中に頭を入れて塩を舐めないように凸型になっているのだそう。塩を欲しがる家畜の習性を利用し群れをコントロールするなど、遊牧生活に不可欠な“塩の役割”を物語る資料として注目されています。
また、持ち主がすぐわかるように部族を象徴する柄など、特徴的な文様が織り込まれていたり、房飾りがついていたりと、染織品として見ても楽しめます。
遊牧民の日常生活の中でもっとも身近にある織物「ギャッベ」は、敷いたり掛けたり、多目的に使われてきました。
販売や他人へのプレゼントとしてではなく、自分や家族だけが使用する前提で作られているため、工芸品というよりは愛玩品のような存在だといいます。
日常生活で使いやすいようなかわいらしいモチーフが織られることも多く、織り手が自由な発想で作った生活用具としての味わいがあります。
一見するとゴワゴワとした触りごこちなのかなと思いますが・・・じゅうたんより織りが粗いため、柔らかく、優しい触りごこちのものが多いそうです。
展示室入り口には、1点だけギャッベを触れるコーナーもありますよ。作品に触れる際は、館の指示に従ってくださいね。
じゅうたんと比べて薄く、軽量で扱いも容易なことから、敷く、掛ける、覆うなど、多用途に使われる遊牧生活に必須の日用品である「キリム」。イランではギリムとも呼ばれ、遊牧民らしい毛織物として継承されてきました。
じゅうたん同様、キリムも工芸アートとしての愛好者も多く、コレクション・アイテムとして人気を集めています。さらに生地はとても頑丈であり、補修を重ねながら長年使われてきたキリムは、その味わい深さからコレクターのあいだで高い人気を誇ります。
また、写真右側に展示されている「食卓布(ソフレ)」は、遊牧民がテントのなかに座って飲食する際に敷いて、テーブルがわりに使用する染織品です。
正方形か縦長、大きさは畳半畳ほどのサイズで、羊毛のほかに木綿製のものもあり、パン生地をこねて寝かすのにも使われるのだそう。しかし、近年では遊牧民族が激減し、かつてのソフレはほぼ消えて、ビニール製シートが常用されているといいます。
貴重な個人コレクションから、西アジアの遊牧民が日常の中で使用していた染織品を紹介する本展。
会場内は赤や黄色、こっくりとした茶色などの暖色系のギャッベがずらりと並び、まるで異国を旅しているようでした。
たばこと塩の博物館で、魅力的な西アジアの遊牧民の生活に触れてみてはいかがでしょうか。