塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
国際交流基金のフランスにおける拠点である、パリ日本文化会館。1997年の開館以来、日本文化や日本のアートなどをさまざまな角度から、より多くの人びとに紹介する活動を続けています。
パリ日本文化会館と町田市立国際版画美術館との共催で「文明開化の子どもたち」展が、2022年5月21日まで開催中です。
肉亭夏良「訓童小学校教導之図」明治7年(1874)、公文教育研究会
本展では、子どものために作られたおもちゃ絵や教育錦絵や書籍約140点の資料の展示を通じ、文明開化により変化する日本社会のようすとその中で学び遊んだ子どもたちの姿を紹介します。
■プロローグ 明治・日本へようこそ!
明治時代になると、街中には文明開化により洋風建築や洋装の人びとが登場します。プロローグでは、西洋文化と出会い変わりゆく都市や人たちのようすを、色鮮やかな浮世絵を展示して紹介します。
■第1 章 浮世絵で“学ぶ”
明治5年の「学制」の公布に伴い、子どもたちの学びの場は従来の「寺子屋」から西洋のスタイルに倣った「学校」へと移ってゆきます。1章では、明治期にはじまった学校教育とその教材として用いられた教育錦絵を展示します。
■第2章 浮世絵で“遊ぶ”
月岡芳年「月百姿 金時山の月」明治23年(1890)町田市立国際版画美術館
江戸から明治にかけて浮世絵は、子どもにとってのおもちゃでもありました。手遊びに用いられたおもちゃ絵、かわいい動物や物語の登場人物、おばけなどのキャラクターが描かれた物語絵は、知識や想像力を育むものとして親しまれました。2章では、子どもたちの遊びのなかで親しまれた浮世絵を紹介します。
■第3 章 子どもたちへのまなざし
明治期に優れた子ども絵を残した4名の浮世絵師を紹介します。子ども絵は中国よりもたらされ、江戸期の浮世絵において身近な子どもたちの生活を描くジャンルとして発展しました。
江戸懐古の風潮が高まった明治末期の浮世絵には、昔ながらの遊びに興じる着物姿の子どもたちが描かれ、どこか懐かしく愛らしい姿が人気を博しました。
山本昇雲「いますかた つるし柿」明治39年(1906)町田市立国際版画美術館
いずれも木版画の高い技術を尽くした魅力的な作品が多く、浮世絵がメディアとしての役目を終える20世紀初頭に至るまで、子ども絵が人気のジャンルであったことがうかがえます。
■エピローグ ビゴーのみた日本
最後に、変わりゆく近代日本を見つめ描いたフランス人画家、ジョルジュ・ビゴー(1860- 1927)の作品を紹介します。
江戸期の浮世絵にあこがれ明治15年(1882)に来日したビゴーは、近代化とともに変貌を遂げる日本を時に厳しくみつめたことで知られます。その作品は、浮世絵とは異なる視点で往時の生きた日本像を今に伝えています。
会期:2022年3月30日~2022年5月21日
開館時間:火~土曜日 11:00~19:00
※最終入場は18:15まで。18:45には展示室からの退場をお願いします。
※木曜日のみ、~21:00(最終入場は20:15まで)
休館日:日曜日、月曜日
会 場:パリ日本文化会館展示ホール(本展はフランスで開催されます)
主催:パリ日本文化会館、町田市立国際版画美術館
特別協力:公文教育研究会
協力:日本航空株式会社
※その他、本展に関する詳しい情報は展覧会公式サイトをご覧ください。
フランスで明治期の「子ども浮世絵」を本格的に紹介する初めての機会となる本展。
本展をきっかけに、フランスの人びとにも改めて日本の「浮世絵」の良さが伝わるといいですね。