2022年4月19日

奈良国立博物館の名品展が東京で初開催。渋谷で仏教美術を学んでみよう!

SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより/渋谷区立松濤美術館

日本の仏教美術の歴史を彩る名品を多数所蔵する奈良国立博物館。現在、渋谷区立松濤美術館で奈良国立博物館の所蔵品を紹介する展覧会「SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより」が開催中です。

スフマート Sfumart 取材レポート SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより 渋谷区立松濤美術館
展示風景

本展では、奈良国立博物館の所蔵品から国宝《牛皮華鬘(ごひけまん)》、重要文化財《如意輪観音菩薩坐像》などを含む、計83件を名品展という形で紹介。都内で同館の所蔵品を公開するのは、渋谷区立松濤美術館が初とのことです。

そんな本展の見どころを、ここではご紹介していきます。

※展覧会詳細はこちら

奈良国立博物館とは

明治28(1895)年4月、帝国奈良博物館として開館した奈良国立博物館。127年の歴史を有する同館は、天平文化が花開いた平城京跡に近接する東大寺や興福寺、春日大社などに囲まれた奈良公園の一角にあります。

とくに、仏教と関わり深い古美術品や考古遺品などの保存、調査・研究、展示を通じて、仏教美術の魅力とその背景にある歴史や文化を、多くの人びとに広く伝えています。毎秋に開催される「正倉院展」の会場として、知っている方も多いのではないでしょうか。

東京国立博物館に次いで、長い歴史を持つ博物館である奈良国立博物館ですが、意外にもその所蔵品を名品展として東京で公開したことはありませんでした。

本展は、同館の数ある仏教美術の名品から厳選した83件を名品展という形で、東京で初めて紹介する貴重な展覧会です。

お釈迦さまの遺骨が入った「仏舎利」

世界三大宗教のひとつである「仏教」は、紀元前5世紀から4世紀のインドで釈迦(しゃか/ゴータマ・シッダールタ)という人物によって始められました。

釈迦は、インドとネパールの国境付近にあった王国の王子として生まれた人物です。不自由のない生活を送ってきた釈迦ですが、ある日「命あるものは必ず死んでしまう」という誰も逃れることのできない問題に深く思い悩むようになります。その苦しみを解決するため、29歳のときに出家して断食の苦行などを始めます。しかし、苦行を行ってもその答えにたどり着くことができませんでした。

35歳のときに苦行をやめ、現在の仏教の聖地である「ブッダガヤ」にあった菩提樹(ぼだいじゅ)の下で瞑想に入り、悟りを得た釈迦。その後、80歳で亡くなるまでインド各地をめぐり説法を行います。

スフマート Sfumart 取材レポート SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより 渋谷区立松濤美術館
重要文化財《宝篋印塔塔嵌装舎利厨子 附 法華経》 鎌倉時代 嘉禄2年(1226) 奈良国立博物館蔵(前期展示)

釈迦の遺骨は「仏舎利(ぶっしゃり)」と呼ばれ、紀元前1世紀に仏像が造り出されるまでは、仏舎利が仏教の主要な礼拝対象でした。

本展では、仏舎利が入っていた舎利厨子(しゃりずし)などを展示しています。ところで、「しゃり」と聞くとお寿司の「銀シャリ」を思い出す方も多いのではないでしょうか。

仏舎利は、分骨されてインド各地に建立されたストゥーパという塔に安置されました。諸説ありますが、その分骨の際に細かく砕いた骨の形と白さが米粒に似ていることから「米=しゃり」と例えたという説もあります。

人に不幸をもたらす悪鬼を退治する神さまを描いた「辟邪絵」

スフマート Sfumart 取材レポート SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより 渋谷区立松濤美術館
(左から)国宝《辟邪絵 栴檀乾闥婆》平安~鎌倉時代 12世紀/国宝《辟邪絵 天刑星》平安~鎌倉時代 12世紀 いずれも、奈良国立博物館蔵(前期展示)

「辟邪絵(へきじゃえ)」とは中国の辟邪信仰に基づき、鍾馗(しょうき)や毘沙門天(びしゃもんてん)などの善神が、人に不幸をもたらす悪鬼を退治するようすを描いたものです。

現在は五幅の掛軸に改装されていますが、元は詞書(絵巻物の内容を説明する文章のこと)とともに一巻の絵巻として伝来しました。

また本作は、生前の行いに応じて死後におもむく地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天の6つの世界を描いた六道絵(ろくどうえ)の一種とする解釈もあります。

美しい仏教工芸品にも注目

インドでは釈迦や高僧(位の高い僧侶のこと)に、生花で作った花輪をささげる習慣がありました。やがて、花輪を木や金属などの耐久性のある別素材で作り、堂内を飾る装飾品として使われるようになりました。本展で展示されている華鬘(けまん)も、花輪をかたどったものです。

スフマート Sfumart 取材レポート SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより 渋谷区立松濤美術館
国宝《牛皮華鬘 登号》平安時代 11世紀  奈良国立博物館蔵(前期展示)

本作は京都市の東寺に伝来した牛皮製の華鬘で、現在では原型をとどめる13枚と残片が残っています。

極楽浄土に住む人面の鳥である迦陵頻伽(かりょうびんが)や、仏の世界に咲くといわれる花を模した文様が施された本作。仏を喜ばせたいと願った人びとの想いが伝わってきます。

 

奈良国立博物館の所蔵品を名品展という形で都内で初めての紹介する本展。

私たちの生活の中には、仏教由来の文化や言葉がたくさんあります。この春の大型連休は、渋谷で仏教について学んでみていかがでしょうか。

なお、本展は前後期で展示替えがあります。詳しくは美術館公式サイトをご確認ください。

スフマート Sfumart 取材レポート SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより 渋谷区立松濤美術館
(左から)重要文化財《如意輪観音菩薩坐像》平安時代 9~10世紀/《毘沙門天立像》鎌倉時代 13世紀 いずれも、奈良国立博物館蔵(通期展示)

Exhibition Information

展覧会名
SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより
開催期間
2022年4月9日~5月29日 終了しました
会場
渋谷区立松濤美術館
公式サイト
https://shoto-museum.jp/
注意事項

会期中展示替えあり

前期:4月9日~5月8日、後期:5月10日~5月29日

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、土日祝日および5月24日(火)以降の最終週は「日時指定予約制」です。美術館公式サイトにて日時指定の予約をお願いします。また、会期や開館時間など変更する場合があります。最新の情報は美術館公式サイトをご確認ください。