2022年5月19日

107歳で逝去した篠田桃紅の全貌に迫る展覧会。新宿で6月22日まで開催中

篠田桃紅展/東京オペラシティ アートギャラリー

個性豊かな書表現から墨による独自の抽象表現の領域を拓き、探求し続けた美術家・篠田桃紅(しのだ とうこう/1913-2021)
自立した生き方を求めて書の世界に身を投じた篠田は、戦後まもないころに単身でニューヨークへ渡り、活動の場を大きく拡げました。


展示風景

2021年3月に惜しくも107歳で逝去した篠田の仕事の全貌を紹介する展覧会が、東京オペラシティ アートギャラリーにて開催中です。

作家没後1年に開催される本展では、篠田の70年を超える活動を総数120点以上の作品と資料で紹介します。

※展覧会詳細はこちら

美術家、篠田桃紅の知られざる仕事の全貌を紹介

1913年、篠田桃紅は中国・大連に生まれ、東京で育ちました。5歳の時に父の手ほどきで、初めて墨と筆に触れた篠田。以後、独学で書を極めます。

第二次世界大戦後の1956年に渡米し、ニューヨークを拠点にボストンやシカゴ、パリ、シンシナティなどで個展を開催。58年に帰国したあとは、壁画や壁書、レリーフといった建築に関わる仕事や、増上寺大本堂の襖絵などの大作を手掛けるなど、その創作活動は多岐にわたりました。


篠田桃紅ポートレイト、1957年、ニューヨークのスタジオにて

2005年には、ニューズウィーク(日本版)の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれるなど、晩年まで精力的な活動を続けた篠田。2021年のそごう美術館での個展の開催目前、107歳の長い生涯に幕を閉じました。

篠田の没後1年に開催される本展では、70年以上にもわたる篠田の知られているようで知られていない仕事の全貌を、総数約120点以上の作品と資料で紹介。独自の抽象表現で、生涯孤高を貫いた篠田の生き方にも注目です。

本展の見どころ作品

初期作品

漢学や書画など漢籍の素養が高い人物であった厳格な父の教育のもと、漢詩や和歌、書を学んで成長した篠田。その後、一人で自由に生きるために家を出て、書を教えながら暮らし始めました。


展示風景

書家として出発した篠田は、伝統に縛られない自由な表現を目指します。文字に自分なりの「宇宙」を感じ取ることで、空間と時間、運動を構築する独自の能力を獲得しました。

徹底して文字と向き合うことで、逆に文字の制約から離れ、自由な冒険に乗り出した篠田。本展では、篠田の初期作品を展示し、文字のルールにとらわれない、自由な「かたち」の創出に向かったプロセスを紹介します。

1970年代以降に制作された連作

「抽象表現は自由なようでいて、内的な制約はかえって強い」と篠田は述べています。制約があるからこそ、抽象表現の秩序が保たれると篠田は考えていたようです。

彼女の制作が、造形上のひとつのモチーフを徹底して探求する連作のかたちを取ったのも、こうした意識の表れかもしれません。そうした篠田の意識が感じられる1970年代以降の、代表的な連作から重要作を展示します。


展示風景

本展とあわせて楽しみたい!同時開催の展覧会

ギャラリー3&4 寺田小太郎メモリアルギャラリーでは、「収蔵品展073 1960─80年代の抽象」も開催中です。

収蔵品展では、寺田コレクションの中から、1960年代から1980年代の作品を中心に展示。「具体」の吉原治良や白髪一雄、「もの派」の李禹煥、独自の精神世界を表現した難波田龍起など、時代をけん引した作家の作品のほか、日本の抽象表現に影響を与えたアントニ・タピエスやサム・フランシスなど、海外作家の作品も合わせて紹介します。


展示風景

また、アートギャラリー 4Fコリドールでは、新進気鋭の作家を紹介する「project N 86 諏訪未知 SUWA Michi」も開催中です。


展示風景

2つの展示の観覧料は、篠田桃紅展の料金に含まれています。お時間のある方は、こちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

篠田桃紅没後1年に開催される本展は、首都圏では初の回顧展です。

作品の魅力を引き立てるために、空間構成もこだわったとのこと。作品と空間の響き合いに注目しつつ、落ち着いた空間で篠田の作品を堪能してみては。

Exhibition Information

展覧会名
篠田桃紅展
開催期間
2022年4月16日~6月22日 終了しました
会場
東京オペラシティ アートギャラリー
公式サイト
https://www.operacity.jp/ag/