2022年7月5日

篠田桃紅を追悼する展覧会 ゆかりのある智美術館にて開催中

篠田桃紅展 夢の浮橋/菊池寛実記念 智美術館

篠田桃紅(しのだとうこう、1913-2021)は、戦後、日本の書の可能性を大きく広げた作家です。「墨象(ぼくしょう)」と呼ばれる水墨抽象画の表現を開拓しました。

2021年に逝去した篠田。作家を追悼する展覧会が、智美術館にて開催中です。


展示風景

同館と篠田はかねてより親交があり、同館で開催される篠田桃紅展は2017年以来3度目となります。本展では、107歳で逝去した作家を追悼するとともに、1950年代の作品から2010年代の近作まで紹介し、その創造の軌跡をたどります。

※展覧会情報はこちら

美術家・篠田桃紅

1913(大正2)年に生まれた篠田桃紅は、幼少よりほぼ独学で書を学び20代には書家としてのキャリアをスタートしました。1956~58年にかけては単身渡米し、当時アートシーンの中心だったニューヨークを拠点に水墨の作品を発表し海外でも評価を高めました。


展示風景

篠田の仕事は書、抽象画、版画、建築壁面、随筆まで実に多岐にわたります。

本展ではその篠田のバラエティに富む仕事を網羅的に紹介。特にリトグラフ制作は、1960年代より半世紀近くにおよび続けており、篠田の仕事のなかでも重要な位置にあります。


展示風景

篠田が生み出したリトグラフは、解き墨(リトグラフの描画材料)を使用した墨一色で構成されており、その一部分に手彩色を加えて作品にしていました。

70年以上作家として第一線で活躍し続けたその創作と篠田ならではの美意識に迫ります。

展示はザ・トールマン コレクション監修

本展では、篠田作品を取り扱うギャラリーとして40年来、作家と直接交流し、活動してきたザ・トールマン コレクションを監修に迎え、1950 年代から晩年までの篠田桃紅の肉筆、版画の他、着物などを紹介します。

篠田と親交のあったトールマン氏は、篠田作品の題名を付けることもあったのだとか。ふたりの信頼関係がうかがえますね。

篠田とゆかりのある智美術館に広がる特別な空間

智美術館とゆかりのある篠田桃紅。実は同館では常設で篠田の作品を2点鑑賞することができます。

まず、玄関ドアを入り、石の廊下を進んだ突き当たり正面に展示されている「ある女主人の肖像」。

1988年頃に制作された本作ですが、何をイメージしていると思いますか? こちらは当時同館の創設者であった菊池智(1923~2016)を象徴的に表しているのだそう。

本作はもともと美術館が建つ以前にあった菊池ゲストハウスを飾るために依頼されたものでした。篠田は依頼を受けて、ゲストハウスにふさわしい華やかな作品を制作しましたが、菊池はその作品に納得せず、より篠田の鋭い感性が感じられる作品を望んだのだとか!
篠田はその要望を理解し、新たに本作を制作したのでした。以来、菊池にとって本作は特に大切な作品となりました。

続いて地下の展示室へと進むために使用する螺旋階段には、ガラス作家の横山尚人(1937~)による手すりを設置しています。こちらで注目したいのが階段の壁面。銀の和紙が貼られ、その上にはもう一点の篠田桃紅によるコラージュ作品が常設されています。

この作品は、篠田自身が書いた「いろは歌」の料紙を用い、新たに「真行草」という三文字をコラージュとして創り上げたものです。

天井から漏れる柔らかいによって、手すりと篠田のコラージュ作品が絶妙にマッチしていますよ。階段でありながらまるで展示空間のように楽しめますので、ぜひ立ち止まったり壁面をじっくり観ながら展示室へと進んでみてくださいね。

 

篠田桃紅の創作世界をあますことなく紹介する本展。会期中はギャラリートークなどの関連イベントも開催されますので、詳しくは公式サイトをご確認ください。

Exhibition Information

展覧会名
篠田桃紅展 夢の浮橋
開催期間
2022年6月18日~8月28日 終了しました
会場
菊池寛実記念 智美術館
公式サイト
https://www.musee-tomo.or.jp/