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2024年11月1日
装いの力-異性装の日本史/渋谷区立松濤美術館
多様な性のあり方を尊重することが当たり前になりつつある現代。しかし、男性と女性2つの性別に分ける構造はまだまだ社会に根強く残っています。
たとえば恐竜やヒーローに憧れるのは男の子、スカートを履くのは女性などのイメージ・・・本当に身近に存在していますよね。
現在松濤美術館では、日本独自の“異性装”をテーマにした展覧会「装いの力―異性装の日本史」が開催中です。
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
私たちが生きる社会には、男性と女性という性の対立構造が存在しています。そんな性の境界を、身にまとう衣服によって超える文化が日本には古くからあります。それが「異性装」です。
異性装は古い神話や歴史上の人物たち、物語、能や歌舞伎といった芸能にも数多く見られます。
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
近代になると西洋の思想が急激に流れ込んできたことにより、異性装者を罰則の対象とする条例ができたりもしましたが、現代まで異性装が消えることはありませんでした。
確かに、テレビなどで異性装をした芸能人や企画などを見ても何も不思議に感じず、当たり前のように見ていますよね。
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
本展では、絵画から写真、写真、映像、衣裳、さらには漫画などを通して日本の異性装の歴史を紹介しつつ、性の越境を可能とする「装いの力」について考える展覧会です。
撮影スポットでは、美しい衣服をまとったパフォーマー・ドラァグクイーンのパネルと記念撮影もできますよ◎
日本の異性装の歴史は古く、なんと日本に現存する最古の書物『古事記』までさかのぼることができます。
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
古事記で知ることのできる異性装のエピソードは、九州討伐を命じられたヤマトタケルが、髪をおろして女性の衣服を着ることで敵を油断させ、その隙をついて討伐したというもの。とってもユニークですよね!
近世以降の、男色の対象となった「若衆」の登場や歌舞伎の役柄である女形などは、日本の異性装が特に花開いた風俗です。
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
紗綾地菖蒲桔梗松文 振袖 江戸時代(18世紀)奈良県立美術館(前期展示)
「若衆」は若い男性のことを指しますが、江戸時代には元服前の少年や、男色の対象となった少年や役者(陰間:かげま)を指すこともありました。
若衆は、本来女性の衣服である振袖を身に着けることもあったそうです。
本展では、古くから伝わる異性装の文化はもちろん、現代アーティストおよびエンターテイナーによるパフォーマンスやインスタレーションにも注目です!
現代アーティスト森村泰昌の作品やダムタイプによるパフォーマンス記録映像の展示のほか、1989年2月に始まったドラァグクイーンによるエンターテインメントダンスパーティー“DIAMONDS ARE FOREVER”メンバーによる、本展のためのスペシャルなインスタレーションが展開。
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展示風景
名画のなかの人物や歴史上の人物になり切り、セルフポートレート形式の作品を発表する森村泰昌。「見る・見られる」という視線に関する問題を提示するだけでなく、自身の性別やジェンダー、セクシュアリティを問いただしています。
異性装を考えるときに、ジェンダーなどに関する視点は欠かせません。展示室の最後では、こうした視点から異性装を取り入れる表現を紹介していますよ。
男らしく、女らしくいることとは?日本における異性装の歴史を知りながら、「装いの力」について考えてみてはいかがでしょうか。
多様な人びとが集まる渋谷の街にぴったりの展示ですよ。
※会期中、一部展示替えがあります。
【前期:9月3日~10月2日】
A期間:9月3日~9月19日/B期間:9月21日~10月2日
【後期:10月4日~10月30日】
C期間:10月4日~10月16日/D期間:10月18日~10月30日
※土・日曜日、祝休日、最終週は「日時指定予約制」です。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、展覧会の会期・開館時間・イベント等が変更・中止となる場合があります。最新情報は美術館公式サイトまたは公式SNS等でご確認ください。
本展のチケットを「5組10名様」にプレゼント!
〆切は2022年9月30日まで。
※当選は発送をもって代えさせていただきます。