アルフォンス・ミュシャ展/茅ヶ崎市美術館

ポスターから紅茶缶まで アルフォンス・ミュシャ展開催中【茅ヶ崎市美術館】

2024年7月9日

ポスターから紅茶缶まで アルフォンス・ミュシャ展開催中【茅ヶ崎市美術館】

アルフォンス・ミュシャ《4連作『四季』》1896年 OGATAコレクション
「春」「夏」「秋」「冬」の4作からなる装飾パネル

19世紀末から20世紀初頭に活躍したアール・ヌーヴォーの代表的作家、アルフォンス・ミュシャの作品を紹介する「アルフォンス・ミュシャ展 アール・ヌーヴォーの美しきミューズ」が、茅ヶ崎市美術館で6月18日から8月25日まで開催中です。

展示では、ミュシャのきらびやかなリトグラフや生活雑貨など208点を一挙紹介。魅惑のオリジナル物販コーナーもご紹介します。

パリ時代の華麗な作品たち


アルフォンス・ミュシャ《ジスモンダ》1895年 OGATAコレクション(写真中央右)
アルフォンス・ミュシャ《椿姫》1896年 OGATAコレクション(写真中央左)

本展は全8章。パリデビューから晩年のチェコ時代まで、ポスターや絵画、生活雑貨のデザインなどを紹介しています。

アルフォンス・ミュシャ(1860年~1939年)はチェコ出身の画家、イラストレーター、グラフィックデザイナーです。

1894年のクリスマス・イブに劇場から依頼を受けて制作した、女優サラ・ベルナール演じる劇「ジスモンダ」のポスター(上写真中央右)で一躍有名になりました。その後サラと6年間の契約を結んだミュシャは、この自信に満ちた魅力的な女優を多数描くこととなります。


アルフォンス・ミュシャ《黄道十二宮 ラ・プリュム誌のカレンダー》1896年 OZAWAコレクション。背後に12のゾディアック・サイン(星座)を描いたカレンダー


右:アルフォンス・ミュシャ《羽根》1899年 OGATAコレクション
左:アルフォンス・ミュシャ《桜草》1899年 OGATAコレクション

多色刷りのリトグラフ(石版画)で制作された装飾パネルは安価で大量生産できるため、室内装飾用として人びとのあいだに広まりました。


第3章 装飾資料集 装飾人物集 展示風景より
ミュシャが制作した全72枚の図版からなる図案集「装飾資料集」(1902年出版)は、「装飾デザインの総合辞典」とも言うべき資料として好評を博した


アルフォンス・ミュシャ《書籍「舞台衣装」から イザナミとサクマの舞台衣装》1890年 OGATAコレクション

日本を題材にしたバレエの舞台衣装を描いた挿絵です。

19世紀に流行したジャポニスム(日本趣味)の雰囲気が伺えますね。ミュシャは画学生時代から、生活のために雑誌の表紙や挿絵を描き始め、成功した後にも多くの作品を残しています。

各地で歓待を受けた、アメリカでの活動


アルフォンス・ミュシャ《ウェヴァリー自転車》1897年 OGATAコレクション
第6章 ミュシャとアメリカより

写真はアメリカ製「ウェヴァリー自転車」のポスター。月桂樹の枝を持つセミヌードの女性が印象的な作品です。自転車は、19世紀アメリカで女性の自立を促す乗り物として流行しました。

ミュシャは1904年にアメリカを訪れ、以降1910年までパリとアメリカを行き来しながら活動します。晩年の代表作となる《スラヴ叙事詩》の資金集めが目的だったと言われています。

祖国・チェコへの帰還


アルフォンス・ミュシャ《スラヴ叙事詩展》1928年 OGATAコレクション
連作《スラヴ叙事詩》が完成した1928年に、ミュシャが全作品をプラハ市に寄贈した際の式典のポスター

1910年に祖国チェコへ戻ったミュシャは20点からなる作品群《スラヴ叙事詩》を制作します。

本作は、スラヴ民族の歴史を描いた大作で、大きい作品は横8.1×縦6.1メートルにもなり、全作品がプラハ市に寄贈されています。ミュシャはその後、1939年にプラハで生涯を閉じました。


第7章 わが祖国チェコ 展示風景より

くらしの中で愛されるミュシャ


アルフォンス・ミュシャ《紅茶の缶》制作年不詳 OGATAコレクション
缶を目当てに紅茶を買う人が大勢いたであろうと思わせる、美しいパッケージ

最後の部屋にはミュシャがデザインしたパッケージやレストランのメニューなど、くらしにまつわるさまざまな作品が展示されています。

ミュシャの雑貨が欲しいと思った方は、入り口のミュージアムショップへどうぞ。

オリジナルグッズがひしめく、ファン必見の特設ショップ


物販コーナー
ミュシャのオリジナル商品が並ぶ特設ショップ

本展協力者のコレクター、尾形寿行氏の設立した株式会社尾形企画によるオリジナルグッズの販売コーナーです。ポストカードや展覧会のチケットホルダー、変わったところではうちわも販売されていました。

圧倒的な点数でミュシャ作品の魅力を一気に俯瞰できる展覧会です。繊細な曲線を再現する高い印刷技術やモデルになった女性たちのしなやかな立ち姿から、20世紀初頭のパリの勢いや明るさが想像できました。

茅ヶ崎市美術館では本展企画協力者の尾形寿行氏による作品解説「コレクターが語る ミュシャの魅力とあれこれ」を7月13日、8月10日に、小川稔館長によるトークイベント「館長によるギャラリートーク」(いずれも参加費無料、要観覧券)を7月28日にそれぞれ予定しています。

Exhibition Information