PROMOTION
イマーシブ空間でミュシャの美しい世界に入り込む。ホリデーシーズンにおすすめの展覧会【渋谷ヒカリエ】
2024年12月17日
儒教のかたち こころの鑑/サントリー美術館
サントリー美術館にて、「儒教のかたち こころの鑑 ―日本美術に見る儒教―」が、2025年1月26日まで開催中です。
紀元前6世紀の中国で、孔子と弟子たちが唱えた思想である儒教。
本展は、日本美術の中にある儒教の教えに注目し、日本人の「こころ」を知る展覧会です。
本記事では、2024年12月25日から始まった後期展示のようすを紹介します。
日本美術と聞くと、仏像やお釈迦様が描かれた仏画などの「仏教美術」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
今回、サントリー美術館で紹介する日本美術は「儒教美術」と呼ばれるものです。
しかし、儒教美術と聞いてもいまいちピンとこない方も多いかも・・・?
儒教は仏教よりも早くに大陸から伝わり、日本のこころの在り方にも大きく影響した思想です。
特に江戸時代には、身分問わず武家から民衆、そして子どもに至るまで儒教を積極的に学ぶことが奨励されました。
本展では、日本人のこころに根ざした儒教思想から生まれた名品を紹介します。
狩野派絵師の名品も勢ぞろいな本展。
中でも、狩野松栄(かのうしょうえい)と狩野永徳親子の競演は見逃せないポイントのひとつです。
松栄・永徳ともに画題は、儒教の教えを代表する『二十四孝(にじゅうしこう)』です。
孝という徳を重視する儒教において、親孝行など優れた行いで知られる中国古来24人の伝説をまとめた書物である『二十四孝』。
画面に描かれたさまざまな孝行のなかでも、三国時代の呉の人物、孟宗(もうそう)の逸話は日本で大変好まれたと言います。
この逸話は、ある冬の日、病に伏せた母のために孟宗という男性が竹林に分け入り、たけのこを探すという話です。
しかし、季節は冬。しかも、雪の積もる竹林でたけのこが見つかるわけもないのですが・・・孟宗の願いが天に届いたのか、運よくたけのこを見つけることができました。
それを母に与えると病は癒えて、長生きしたのだとか。
実は、私たちにも「孟宗」の逸話は浸透しているのですよ。
スーパーでよく見かけるたけのこの品種名は、「孟宗筍(もうそうちく)」と言い、名前の由来にもなっているのです。
明日人に話したくなる豆知識も、本展で学ぶことができますよ。
12月26日から始まった後期展示では、サントリー美術館を代表する狩野探幽の《桐鳳凰図屏風》が展示されます。
本作の中にも、儒教の思想が隠れているのだそう。
儒教において鳳凰は、理想の世をつくる君主の出現を予兆する聖獣とされています。
本展担当の大城杏奈学芸員は、本作について以下のように話しています。
太平の時代をつくるという江戸幕府の姿勢、狩野派絵師たちの画題にも直結していたと考えられます。
サントリー美術館 大城杏奈学芸員
また、儒教の知識に基づいてつくられた浮世絵や染織・漆工などといった近世以降の美術品も紹介。
特に、江戸の庶民たちに儒教の教えを広めた錦絵は、後期で総入れ替えされています。
日本人の思想に浸透した儒教から生まれた作品を紹介する本展。
煌びやかながらも、一つひとつに儒教の大事な教えを描かれた作品は、年始の美術鑑賞に相応しいでしょう。
サントリー美術館は、1月2日から開館しています。ぜひ、足を運んでみては?