
東山魁夷を中心に日本の風景画をたどる展覧会【福田美術館】
2025年2月10日
今回は、街を歩くのではなく、東京メトロ半蔵門線に乗って沿線の美術館を訪れてみました。
東京都現代美術館では、坂本龍一の音と時間をテーマにした日本初の大規模個展を開催。音と映像が交錯するインスタレーションを体感。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、銅版画家・南桂子の詩情あふれる作品を展示。雲や舟が佇む幻想的な世界を楽しめる展覧会。
半蔵門ミュージアムでは、平山郁夫をはじめ昭和期の日本画家たちの作品を紹介。仏教美術と近代日本画の魅力に触れる静寂の空間。
東急プラザ渋谷では、北斎の世界に没入するデジタルアート展を開催。超高精細映像と最新技術で『冨嶽三十六景』などを新たな視点で体験。
今回も多彩な展覧会を紹介しているので、きっと心に響く展示が見つかるはずです。
東京都現代美術館(MOT)は、戦後美術を中心に、国内外の現代美術の動向を捉え、研究・収集・展示を行う場として1995年に開館しました。
年間6〜8本の企画展では、現代美術の最前線から歴史の再考まで、多様なテーマを探求。
3フロア・約4,000㎡に広がる展示空間では、自然光や異なる天井高を活かした構成により、訪れるたびに新鮮な驚きと発見があります。
会場のようす
また、「MOTコレクション」では、戦後から現代にかけての美術史をたどる作品群を紹介。
2フロア・約3,000㎡のスペースで、年間4期にわたり約100点を展示し、体験型作品や特集展示を通じて、現代美術の多面性や可能性を探ります。
現在、音楽家・アーティスト坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を紹介する日本初の大規模個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が開催中です。
会場のようす
展覧会では、坂本が問い続けた「時間とは何か」をテーマにした作品を展示。《TIME TIME》は、夏目漱石の『夢十夜』などを通じて時間の本質を探っています。
また、《LIFE–WELL TOKYO》では、中谷芙二子とのコラボにより、霧と音が交錯する幻想的なインスタレーションを展開。
さらに、初公開の《Music Plays Images X Images Play Music》では、1997年の演奏データと記録映像をもとに、坂本のピアノと映像が融合した作品を紹介します。
会場のようす
坂本龍一の創造の軌跡を辿る本展。会場に響き続ける音の余韻に包まれながら、特別な体験を楽しめそうです。
展覧会名:坂本龍一 | 音を視る 時を聴く
開催期間:2024年12月21日~2025年3月30日
会場:東京都現代美術館
公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/
水天宮前駅から徒歩1分の場所にあるミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション。その名にもある浜口陽三は、創業380年の歴史を誇るヤマサ醤油の第10代社長・濱口儀兵衛の三男として生まれます。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションのエントランス
彼は銅版画の技法「カラーメゾチント」を独自に開拓し、静謐で幻想的な作品世界を創出。その卓越した技術は多くの人びとを魅了しました。
1996年、長年暮らしたパリやサンフランシスコから帰国し、本人の賛意のもと自身の作品を展示する美術館が開設されました。
この美術館は隠れ家のような小さな空間で、常設展示はなく、年3〜4回の展覧会ごとに約60点の作品が入れ替わります。
銅版画を制作するワークショップも開催
また、彼の作品を紹介する展示に加え、銅版画ワークショップも開催、実際に版画制作を体験できる貴重な機会が提供されています。
浜口陽三の妻であり、銅版画家として活躍した南桂子(1911-2004)の展覧会が開催中です。
本展では、南の銅版画を中心に、リトグラフや油彩を含む約50点、さらに浜口陽三の作品約10点を展示しています。
会場のようす
南桂子の作品は、雲、舟、鳥などの小さなモチーフが静かに佇み、自由や孤独、旅の気配を感じさせます。
浮かぶ雲は、旅する姿にも、何かを待つ姿にも見え、鑑賞者の想像をかきたてます。
会場のようす
また、詩人・谷川俊太郎の詩集の挿絵を手がけた南桂子。本展では、詩集の展示も行い、繊細な銅版画と詩が響き合う空間を創出。
さらに、1階では小野龍一氏作曲「南桂子のためのピアノピース」をヘッドフォンで鑑賞でき、音楽と作品が呼応する特別な体験が楽しめます。
※画像は美術館より特別に許可を得ています。
展覧会名:南桂子展 ―小さな雲
開催期間:2025年1月18日~3月30日
会場:ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
公式サイト:https://www.yamasa.com/musee/exhibitions/20250118-0330/
半蔵門駅4番出口すぐに位置する半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般公開する文化施設。
館内は地下1階から3階まで広がり、静寂の中で仏教文化に触れることができます。
半蔵門ミュージアムのエントランス
地下1階の展示室は、御堂をイメージした落ち着いた空間。運慶作とされる重要文化財「大日如来坐像」やガンダーラ仏伝浮彫をはじめ、仏像や仏画、経典などが展示され、定期的な入れ替えによって訪れるたびに新たな発見があります。
1階のエントランス奥には、自然光が差し込むガラス張りのギャラリーがあり、夜は街を優しく照らす設計に。
2階にはラウンジや多目的スペースが設けられ、読書や休憩の場として利用できます。
会場のようす 地下展示室「祈りの世界」
3階にはシアターとホールを完備。大日如来坐像や曼荼羅、ガンダーラ仏教美術に関する映像を上映し、展示と併せて仏教文化への理解を深められる空間となっています。
会場のようす 地下展示室「祈りの世界」
平山郁夫をはじめ、昭和を彩った日本画家たちの多彩な表現
現在、特集展示「平山郁夫《想一想》と昭和期の日本画家たち」が開催中。2025年は“昭和100年”の節目にあたり、昭和の時代に活躍した日本画家たちの作品を紹介します。
平山郁夫の《想一想》では、釈尊がブッダガヤで悟りを開く場面を幻想的に表現。また、横山大観や児玉希望が描く力強い太陽、川合玉堂・川﨑小虎・堅山南風・堂本印象が表現する繊細な動植物画も見どころの一つです。
会場のようす 地下展示室 左:堂本印象《白き百合》1960年代、左:小倉遊亀《佳果》昭和30年代 ©︎tetsuju
さらに、鏑木清方や伊東深水の優美な人物画、小倉遊亀の静物画、加藤東一の風景画など、多彩な作品が展示されています。
静寂に包まれた空間で、仏教美術と昭和期の日本画が織りなす深い世界観をぜひご堪能ください。
展覧会名:平山郁夫《想一想》と昭和期の日本画家たち
開催期間:2024年12月11日~2025年3月30日
会場:半蔵門ミュージアム
公式サイト:https://www.hanzomonmuseum.jp/exhibits/special.html
『HOKUSAI : ANOTHER STORY in TOKYO』は、日本を代表する浮世絵師・葛飾北斎の世界に没入できる、次世代型のイマーシブ体験型展覧会が東急プラザ渋谷で開催中です。
会場のようす
展覧会では、超高精細な大型LED映像を駆使し、北斎が浮世絵を描く際に見ていた景色を臨場感たっぷりに再現。
さらに、映像に連動した音や風、足元の振動演出によって、視覚・聴覚・触覚を刺激しながら、北斎の感覚を追体験できます。代表作『冨嶽三十六景』も、時間と空間を超えて目の前に蘇ります。
会場のようす
会場では、北斎の世界を体感できる3つの部屋が用意されています。「大地の部屋」では、まるで自分の足で歩いているかのように冨嶽の世界を体験できます。床型ハプティクスデバイスを使用し、北斎が描いた富士や四季折々の自然を実際に踏みしめているような感覚を。
「風の部屋」では、『冨嶽三十六景』に描かれた“見えない風”を最新の風制御デバイスで再現。風を感じながら、まるで江戸の空を舞っているような感覚を楽しめます。
会場のようす
さらに「北斎の部屋」では、北斎の見た世界に没入。高精細映像や立体音響、風や振動などの最先端技術を駆使し、まるで北斎の頭の中に入り込んだかのような体験を提供します。最新テクノロジーと浮世絵の融合が生み出す、新感覚の没入体験をぜひご堪能ください。
また、工芸、彫刻、音楽、建築、ファッション、デザインなど、多方面に影響を与えた葛飾北斎。本展では、北斎の作品に刺激を受けた現代アーティストたちとの時を超えたコラボレーションも実現しました。
会場のようす
会場内にはコラボエリアを設置し、チケットなしでも自由に観覧可能。北斎の創造力が現代にどう響くのか、その魅力をぜひご体感ください。
展覧会名:ホクサイ:アナザー ストーリー イン トウキョウ
開催期間:2025年2月1日~6月1日
会場:東急プラザ渋谷
公式サイト:https://hokusai.anotherstory.world/