貴重な文化財を未来へ。東京国立博物館がクラウドファンディングを開始【インタビュー】
2025年10月23日
上村松園と美人画の軌跡/福田美術館

奈良美智《Long Tall Peace Sister, 2024》2024年 福田美術館蔵
京都の人気観光スポットの一つとして知られる嵯峨嵐山(さがあらしやま)。
その嵯峨嵐山にある福田美術館にて、現代アートコレクション第一弾として、世界的に高い評価を受けているアーティストの奈良美智と加藤泉の立体作品2作品が庭園に設置されました。
さらに2026年9月の展覧会でお披露目される最古の春画《稚児草紙(ちごそうし)》の一部も先行公開!
開館6周年を迎え、ますます進化し続ける福田美術館をレポートします。

福田美術館は嵯峨嵐山にある渡月橋を望む桂川沿いに位置し、四季折々で変化する嵐山の風景と共に日本画を楽しむことができる美術館です。
嵐山を映し出す「水鏡」に、縁側のような廊下、そして渡月橋を一望できるカフェなど嵐山の絶景を存分に楽しむことができます。

「たとえ美術に詳しくない方が見ても、感動を覚えるような」をコンセプトに、江戸時代から近代にかけての日本画の名作を展示している福田美術館。
現在開催中の展覧会「上村松園と美人画の軌跡」では松園の生誕150年を記念し、美人画コレクションの所蔵品から、28点もの松園作品を展示しています。

「上村松園と美人画の軌跡」展 第1章 展示風景
「蔵」をイメージした展示室内のガラスケースは、92%の高透過率と4m幅の大きなガラスで、まるで直に松園の作品を眺めているような感覚になります。
さらに展示室内には日本画を楽しめるよう解説パネルを設置。
コンセプト通り日本画を初めて観る人も分かりやすく楽しむことができます。

展示室内の解説パネル
日本画を楽しめる工夫がある福田美術館。
この度の奈良美智・加藤泉の立体作品設置に始まり、今後は現代アートをテーマとした展覧会も開催予定で若手アーティストの支援にも努めていくとのことです。

奈良美智《Long Tall Peace Sister, 2024》2024年 福田美術館蔵
今回公開された奈良美智の《Long Tall Peace Sister, 2024》は、新たなエディションとして福田美術館のために制作されたもの!
日本初公開であり、関西の美術館への常設も初となります。

奈良美智《Long Tall Peace Sister, 2024》(裏側)2024年 福田美術館蔵 *普段園庭へは出られないため、作品の裏側は見えません。
巨大オブジェが設置された庭園は、桂川と渡月橋を眺められるカフェの真正面。
赤松の緑あふれる庭園と嵐山の景色、そして現代アートとのコラボレーションがマッチする新しい絶景が誕生しました。

加藤泉《Untitled》2023年 福田美術館蔵
加藤泉の《Untitled》は、これまで制作してきたアートとプラモデルを横断する作品「プラモデルシリーズ」の彫刻と「石の彫刻シリーズ」の発展系として制作されました。
2023年麻布台ヒルズ開業に伴いオープンした「Gallery Restaurant舞台裏」にて初公開された本作。関西では初公開となります。

加藤泉《Untitled》(裏側) 2023年 福田美術館蔵 *普段園庭へは出られないため、作品の裏側は見えません。
本石を型取りしてアルミで鋳造し積み上げ、その上に加藤自身が直接ペインティングを施したユニークな本作。
彫刻ではなく、加藤が画家として絵を描いている「立体作品」という点が特徴です。

作者不明《稚児草紙》(一部) 福田美術館蔵
2026年9月開幕の展覧会「人のすがた・愛のかたち―最古の春画《稚児草紙》」にて、初公開される現存最古の春画《稚児草紙》の一部も先行公開されました。
《稚児草紙》は14世紀初め(鎌倉時代)に制作された現存最古の春画で、第1段から第5段までの5話が丁寧に描かれた絵巻物です。
舞台は京都の「仁和寺、嵯峨、法勝寺、北山」で、それぞれ異なる僧侶と稚児の愛の行為に詞書(ことばがき)が添えられています。
長らく京都の醍醐寺に保管されていた「幻の作品」と呼ばれる歴史的にも重要な作品です。

作者不明《稚児草紙》(一部) 福田美術館蔵
傷みのような筋が横に入っていますが、これは鎌倉時代の絵巻物の特徴の一つなのだそう。
人物がとても大きく描かれており、色もきれいに残っていて、ゆったりとした線で描かれています。
浮世絵の春画とはまた違った魅力を持つ、現存最古の春画の全貌を観ることができる来秋の展覧会が待ち遠しいです!

ミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」と渡月橋の風景 季節の福パフェ¥1600~(税込) と ほうじ茶ラテHOT / ICE ¥ 900
最後は福田美術館に来たらぜひ訪れて欲しい、ミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」を紹介します。
来館者のみ利用できるこちらのミュージアムカフェは、渡月橋と嵐山を180°見渡せるパノラマビューが絶景です!

季節の福パフェ¥1600~(税込)/ほうじ茶ラテHOT / ICE ¥ 900
今回は季節ごとに内容が変わる「季節の福パフェ」と「ほうじ茶ラテ」を注文しました。
カフェの正面には今回設置された奈良美智と加藤泉の立体作品2作品があり、癒される嵐山の景色と共に作品を眺めながらゆったりと過ごすことができますよ♪

カフェのすぐ隣にはミュージアムショップがあります。
ショップでは、オリジナルグッズやガチャガチャ、期間限定商品などさまざなグッズが並んでいます。

(左)「上村松園生誕150周年記念 緑寿庵清水 金平糖セット」税込3,600円(2缶セット)*販売期間:2025年10月11日(土)~在庫が無くなり次第終了
こちらは日本唯一の金平糖専門店として178年の歴史を持つ京都の老舗「緑寿庵清水」とコラボした「上村松園と美人画の軌跡」モチーフの金平糖。
熟練の職人が丹精込めて手作りしており、なんと約2週間かけて1種類の金平糖を作り上げているのだそう!
そんな美人画の名品をデザインしたプレミアムな金平糖は、数量限定で発売中です。
嵐山の景色や美術品、ミュージアムカフェはもちろんのこと、分かりやすい作品解説にほっとさせてくれるスタッフの方々の接客など、わざわざ足を運んで通いたくなる癒しの美術館でした♪
来年の展覧会も見逃せないものばかり!ぜひ、足を運んでみてください。
福田美術館の来年度の展覧会スケジュールは、こちらをチェック▼
前期:10月11日~12月1日
後期:12月3日~1月18日
※毎週火曜日・日曜日は「喋っていいDAY」