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2024年11月21日
「10分でわかるアート」は、世界中の有名な美術家たちや、美術用語などを分かりやすく紹介する連載コラムです。
作家たちのクスっと笑えてしまうエピソードや、なるほど!と、思わず人に話したくなってしまうちょっとした知識など。さまざまな切り口で、有名な作家について分かりやすく簡単に知ってもらうことを目的としています。
今回は、ルネサンス期最大のパトロン「メディチ家」について詳しくご紹介。
「この作品を作った作家についてもう少し知りたい!」「美術用語が難しくてわからない・・・」そんな方のヒントになれば幸いです。
メディチ家の大紋章
イタリアの都市フィレンツェは、中世の時代「フィレンツェ共和国」という一つの都市国家でした。
このフィレンツェ共和国で支配者として君臨していたのが大富豪メディチ家です。
14世紀から15世紀にかけて銀行家、政治家として繁栄したメディチ家。フィレンツェ共和国で実権を握ってからは、文化支援を積極的に行い、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)をはじめとする多くの芸術家たちを支援しました。
《ロレンツォ・デ・メディチの肖像画》
14世紀にイタリアで、古代ギリシャと古代ローマの文化を復興しようとする芸術運動「ルネサンス」が起ります。
「ルネサンス」とは、フランス語で「再生」「復活」を意味しています。
当時のヨーロッパには、芸術家を支えていたパトロンという存在がいました。
フィレンツェ共和国の主なパトロンは君主と教会でしたが、そこにメディチ家も加わります。
フィレンツェ共和国で実質的実権を握り、芸術家の支援を始めたメディチ家。
メディチ家からの支援を受け、活躍した芸術家の中には、サンドロ・ボッティチェッリ(1445-1510)、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ(1475-1564)などがいます。
フィレンツェで多くの芸術作品が生まれたルネサンス期。ここではメディチ家が支えた芸術家と作品たちを紹介します。
ドナテッロ(1386-1466)はルネサンス初期に活躍したイタリア出身の彫刻家です。
毛織物職人の家に生まれたドナテッロは、彫刻家ロレンツォ・ギベルティ(1381ごろ-1455)の工房に入ります。
その後、工房を離れ、最初に大理石の《ダビデ像》を、その後ブロンズ製の《ダビデ像》を制作しました。
ドナテッロ《ダビデ像》 1440年ごろ ブロンズ バルジェロ美術館
ダビデ像は旧約聖書に登場する羊飼いの少年です。
本作は、敵の大男ゴリアテを倒したあとの勇者の姿が表現されています。
ミケランジェロも《ダビデ像》を制作していますが、彼の作品よりもより少年らしい表情がうかがえます。
サンドロ・ボッティチェッリは、ルネサンス初期でもっとも業績を残したイタリア出身の画家です。
メディチ家から支援を受け、宗教画、神話画などを多く残しました。
サンドロ・ボッティチェッリ《春(プリマヴェーラ)》 1482年ごろ テンペラ ウフィツィ美術館
メディチ家の婚礼を記念するために描かれた作品と言われる本作。中央にヴィーナスを描き、春の訪れを知らせているようすが描かれています。
大手総合商社丸紅が所蔵するボッティチェリのテンペラ画《美しきシモネッタ》は、日本で唯一のボッティチェリ作品なのだそう。
運が良ければ、丸紅ミュージアムで観ることができますよ。
世界でもっとも知られている偉人レオナルド・ダ・ヴィンチ。ルネサンス期を代表する画家です。
画家以外にも数学者、科学者としても活動し、あらゆる可能性を研究し続けた「万能の天才」と称されています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》 1503年-1519年ごろ 油彩 ルーヴル美術館
ルーヴル美術館に常設展示されている《モナ・リザ》は、世界中の誰もが知る名画です。
ダ・ヴィンチが最後まで手放さなかった傑作と言われている本作。
モデルについては、さまざまな説がありますが、母の姿を描いたのではないかとも言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチについて詳しく知りたい人はこちら▼
ミケランジェロ・ブオナローティは、イタリア出身の彫刻家です。
13歳の時に彫刻家を目指し、フィレンツェ最大のパトロンであるメディチ家のもとで数々の超大作を残しました。
ミケランジェロ・ブオナローティ《ダビデ像》 1501年ー1504年 大理石 アカデミア美術館
ミケランジェロの代表作の一つ《ダビデ像》。古代ギリシャの彫刻から影響を受けた肉体美が表現されています。
ミケランジェロ・ブオナローティについて詳しく知りたい人はこちら▼
ドナテッロにボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチにミケランジェロ・・・ルネサンス期に活躍した芸術家たちを支えていたのはメディチ家でした。
メディチ家の支えがなかったら、彼らの才能も見出されていないかもしれないと思うと、メディチ家の存在は美術史においてとても大きかったのだと改めて感じました。
これからルネサンス期の作品を見るときには、背景にあるメディチ家のことも考えるきっかけに本記事がなってくれたらと思います!
【参考書籍】
・池上英洋『いちばん親切な西洋美術史』株式会社新星出版社 2016年
・日本博学倶楽部『「名画の巨匠」 謎解きガイド』株式会社PHP研究所 2016年