PROMOTION
クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
マリー・ローランサンとモード/京都市京セラ美術館
京都市京セラ美術館にて開催中の、美術展「マリー・ローランサンとモード」のレビューをお届けします。
第一次世界大戦が終わり、世の中が華やかさを取り戻した1920年代は、フランス語でレザネ・フォル(=狂騒の時代)と呼ばれ、ピカソなどの芸術家がパリで活躍した時代でした。
こちらの展覧会では、画家マリー・ローランサンと、ファッションデザイナーココ・シャネルの対比を軸に、1920年代のパリジェンヌたちを取り巻いた芸術やファッションを紹介しています。
~展覧会の構成~
Ⅰ.レザネ・フォルのパリ
Ⅱ.越境するアート
Ⅲ.モダンガールの変遷
エピローグ
~おすすめポイント~
1.ローランサンとシャネルの対比、二人を結び付けたカール・ラガーフェルド
2.マリー・ローランサンのセンスを堪能
3.おしゃれなグッズの数々
女性の社会進出が後押しされた1920年代に共に活躍したローランサンとシャネルですが、それぞれの作風は方向性が違います。
シャネルは、動きやすさを重視した「新しい女性ファッション」を掲げ、女性服のトレンドを作りました。
一方ローランサンは、フェミニンさを大切にした優しい色使いの肖像画で、社交界の女性たちに人気を博しました。
会場では、片側にローランサンの作品を、反対側にシャネルの作品を配置する事で、二人の価値観の違いを比較しやすくなっています。
おまけに、シャネルが気に入らず受け取らなかったという、ローランサンが描いた因縁の肖像画も展示されています。
マリー・ローランサン「マドモアゼル・シャネルの肖像」
その約90年後、シャネルのデザイナーだったカール・ラガーフェルドが、2011年春夏のオートクチュールコレクションで、ローランサンの作品から着想を得たという淡いピンク色をメインにしたデザインを発表しました。
ラガーフェルドといえば、ファッション界で屈指の影響力を持つ美術館であるアメリカ・NYのメトロポリタン美術館復職研究所で、彼をテーマにした大規模展覧会が始まったばかりの、ファッション界の重鎮です。
伝説のデザイナーが手掛けた、価値観の違う二人を再びパリで結び付けたドレスは必見です。
マリー・ローランサンといえば、薄いグレーとパステルピンク。白い肌に、シンプルな顔立ち。
この、何を描いてもサンローラン流になる唯一無二の作風は、すぐに見分けがつきますよね。
今回改めて、時代背景を知ると共に30点以上の作品を一気に見てみて、ローランサンはずば抜けてセンスが良い、とてもオシャレな女性だと感じました。
マリー・ローランサン「わたしの肖像」
例えば人物画は、モデルに似ていることよりも、どんなファッションをしているかに重きを置いて描かれています。
顔は記号的に表現され、アイラインにアイブロウ、チーク、リップ…と、まるでメイクの見本イラストのようです。
ファッションに感度の高い人でないと、こんな描き方はしないですよね。
とはいえ細部は描き込まず、淡い色使いと、あえてムラになるような薄塗りが絶妙なバランスです。
描く内容が伝わる事よりも、作品の雰囲気や空気感を大切にしているような、アートディレクター的な感覚を持っていたことが伺えます。
このセンスが、社交界の女性たちに愛され、舞台美術や衣装デザインまで手掛けた所以なのでしょう。
マリー・ローランサン「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」
華やかな交友関係も相まって、「あの時代のインフルエンサー」といったところでしょうか。
かわいい犬がよく登場するところや、サインの配置が凝っているあたりが「ローランサン、Instagramとか得意そうだな」などと想像してしまいました(笑)
帽子を被った人物画が並ぶ会場内
さすがはマリー・ローランサンを扱った展覧会、展覧会グッズもおしゃれでかわいいものばかりでした。
ローランサン作品と同じくらい、同時代に活躍したイラストレーター ジョルジュ・バルビエの作品が数多くグッズ化されていました。
私のイチオシはクッションカバーです。
ローランサンとシャネルだけでなく、マン・レイ、ジョルジュ・バルビエなど同時代に活躍したアーティストの作品を通じて、狂騒の時代の空気感や美意識を感じる事ができる展覧会です。
現代でも色褪せないモダンなセンスを味わいに、ぜひ足を運んでみてください。
京セラ美術館にて同時開催中の展覧会
京セラ美術館にて今後開催予定の展覧会